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【ダメ人間No.1を決めろ!】現代文学“ダメ人間”ビブリオバトル

日本の現代文学の登場人物には、ダメなのになぜか憎めない、名キャラクターが多数存在します。今回は、そんな文学作品の中の“ダメ主人公”についてプレゼンし、その“愛すべきダメ人間”度を競う企画、「ダメ人間ビブリオバトル」を開催。果たして、栄えあるダメ人間王に決定するのは!?

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唐突ですが、皆さんちょっと考えてみてください。
人が誰かに対して、
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というセリフを口にしたとします。
そのとき、その人が相手に対して抱いている感情は、

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A~Cのうち、どれでしょう?

 
 
 
 
 

正解は、

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ですよね。

人が誰かに「ダメな人」と言うとき、その人の頭の中では

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という変換が自動的に行われています。
つまり「ダメな人(ダメなやつ)」とは必ずしも悪口ではなく、むしろほとんどの場合、「だけど好き」という反語の一種なのです。

 

日本文学は、“ダメ人間”に支えられている

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そもそも戦後日本の現代文学というものは、『人間失格』太宰治『堕落論』坂口安吾らに代表される、反道徳的、反権威的な小説家グループ“無頼派”の台頭によって花開きました。
酒やギャンブルをこよなく愛した無頼派は、いまで言う「ダメ人間」。そう、日本の現代文学は60年以上前から、ダメ人間によって支えられてきたのです。

作品の登場人物に目を向けてみても、それは同じ。日本の現代文学の登場人物には、ため息をつきたくなるくらいダメなのに、なぜか憎めない名キャラクターが、多数登場します。

P+D MAGAZINEでは今回、そんな文学作品の中の「ダメ人間」にスポットを当てる企画を開催。編集部員イチオシの現代文学作品のダメ主人公についてプレゼンし、その“愛すべきダメ人間”度を競う企画、題して「ダメ人間ビブリオバトル」です!

合わせて読みたい:【童貞による童貞のための小説No.1が決まる】激闘!童貞ビブリオバトル

 

「ダメ人間ビブリオバトル」プレゼンター紹介

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田中
P+D MAGAZINE編集部員。性格に難のある男子に弱い。

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トヨキ
P+D MAGAZINE編集部員。かつてヒモと付き合っていた。

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伊藤
P+D MAGAZINE編集部員。一見アウトローっぽいが性格がいい。

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また、判定をよりリアルかつ公平なものにするために、編集部員がツテを辿って探し出した、この人こそ! というプロのダメ人間の方を判定員としてお呼びしました。

判定員紹介

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Sさん
31歳。現役のヒモ。趣味の1人旅に出る際は、日本各地にいる友人・知人のもとを渡り歩く。食事のときは欠かさず「いただきます」を言うタイプ。

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Wさん
31歳。シェアハウスのオーナー。10代の頃は常に彼女が複数いた、自他ともに認める稀代の女たらし。メールの返信がマメで礼儀正しい。

 
 
 

……それでは、判定員のおふたりの感想コメントとともに、現代文学が生んだ選りすぐりの「愛すべきダメ人間」エピソードの数々をお楽しみください!!

 
 

【1人目】最初からクズ界の真打登場! 又吉直樹最新作『劇場』

『劇場』あらすじ

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出典:http://amzn.asia/erfleNj

売れない小劇団の脚本家兼演出家である永田は、ひょんなことから出会った沙希という女性と交際し始め、彼女の家に転がり込むようになる。同棲生活の中で、永田は沙希を精神的に追い詰め、束縛する。沙希は徐々に体調を崩してゆき……。

奇行に走る、売れない小劇団の脚本家

田中:私が紹介するダメ人間は、又吉直樹の注目の第2作『劇場』の主人公、永田です。

永田は中学生のときに演劇に出会い上京して、同級生の野原とともに小劇団を旗揚げし、脚本家になるんですが、まったく売れず、貧乏暮らしを続けているんですね。
そんなある日、永田はたまたま道端で見かけた若い女性、沙希に突然話しかけます。その1言目が、

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……というもので。実際、同じじゃないんですよ。率直に言ってめちゃくちゃ怖いじゃないですか。沙希は「違いますよ」って返すんですが、

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もう1回言ってくるんですよね。なぜか2回目はさっきより優しく
今度はさすがの沙希も無視します。でも、永田はなにを思ったのか、「あした、遊べる?」と続けて尋ねてくるんです。
……このエピソードだけで永田の“ヤバさ”は大体わかるかと思うんですが、沙希も沙希でちょっと変わった子で。永田のエキセントリックさに惹かれてしまって、2人はやがて付き合うことになります。

 
 

永田の2大ダメポイント:「してもらって当たり前」「口が巧い」

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田中:「付き合う」と言っても、沙希が1人暮らししている家に永田が転がり込んだ形です。……ふたりが付き合ってゆくにつれ、永田の常軌を逸した“ダメさ”がどんどん露呈していくんですよ。大まかに分けて、永田のダメさは「してもらって当たり前」という考えと、その「口の巧さ」に表れています。

 

そもそも、なぜ永田が沙希の家に転がり込んだかと言うと、月5万の自分の家の家賃が払えなくなったから。普通なら「本当にごめん」「すぐに出てくよ」ってなると思うんですが、永田は絶対にそんなことはしません。快適な沙希の家で暮らし、家賃を払わなくていいというラッキーな状況をただただ享受し、ヒモになります。

永田は、働きません。沙希もそんなにお金があるわけではないので、「今後のことも考えて、光熱費だけでも払ってもらえないか」と聞くんですね。すると永田は、「人の家の光熱費を払う理由がわからない」とその申し出を断ります。

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……で、沙希はすごく優しい子なので、納得しちゃうんですね。「たしかに。人の家の光熱費払う人いないよね! うけるー」って。

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永田は言葉を選ばずに言うならなかなかのクズですが、沙希のことを利用しているわけではないんです。あくまでも沙希のことが好きで、大切に思っているのに、その愛情がいつも空回りしてしまう。

永田は最後、ボロボロにしてしまった沙希に対し、「一番会いたい人に会いに行く。こんな当たり前のことが、なんでできへんかったんやろな。」とつぶやきます。彼は、自分とは違って、明るくて屈託のない、恵まれた沙希に嫉妬しているだけなんですよね。たしかにこじらせてはいるけど、根っからの悪人ではないんですよ。

判定員のコメント

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田中:どうでしたか、永田。

 

Wさん:どうしようもないやつだなあとは思いましたが……まあ、自分の彼女に対して永田のような振る舞いをする気持ちっていうのは、わかりますよね。
僕も高校時代、彼女が複数いたので、誕生日とかにもらったプレゼントのうちいくらかは売って金にしたりしてて。相手の誕生日には極力出費を抑えたいので、自分がもらったプレゼントの中でやりくりしてましたね。

 

田中:自分がもらったプレゼントの中で……?

 

Wさん:もらったものを上手に組み合わせるとセット商品っぽくなるんですよ。たとえば、ぬいぐるみに1000円のネックレスをつけるだけでグッと高そうになったり。ちょっとしたライフハックですね。

 
(次ページ:続いてのダメ人間は、母性本能をくすぐるニート!)

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