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【後編】書籍化決定! 大好評連載・茨城県民マンガ『だっぺ帝国の逆襲』 画/佐藤ダイン×監修/青木智也 座談会

連載開始とともに大人気化し、ラジオ番組までできてしまった茨城県民マンガ『だっぺ帝国の逆襲』。単行本化が成ったいま、2人の新たな目標は? 漫画担当の佐藤ダイン氏、監修の青木智也氏が熱く語ります!

<「だっぺ帝国の逆襲」対談【前編】はこちら>

続編ができたら古河や鹿行に行ってみたいですね(青木)
僕はお祭りですね、笠間のひまつりとか、悪態まつりとか(佐藤)

――『だっぺ帝国の逆襲』では、水戸はもちろん、霞ヶ浦、筑波山、奥久慈などなどいろんなところを訪ねましたが、続編ができたら行ってみたいところはありますか?

青木:連載期間は長かったと思いますが、まだまだ紹介できていないところがたくさんあるんですよね。たとえば、東北本線が通っている古河市とか、結城紬と蔵造りの町並みで知られる結城市、それにSLが走る筑西市、映画「下妻物語」の下妻市なんかには行きたいですね。
 とくに古河はおもしろいですよ。戦国時代に鎌倉から公方が移動して古河公方(関東足利氏)となったり、宿場町として栄えたりして、小江戸的な雰囲気があります。また埼玉、群馬、栃木、千葉が全部近いので、茨城のなかでも独特の文化をもっています。
 あとは鹿行(ろっこう)地区。茨城の東側のエリアを鹿行というのですが、『だっぺ帝国の逆襲』の取材では鹿嶋や潮来などにも行っていないので。潮来は「あやめ祭り」が有名で、鹿嶋には鹿島神宮や鹿島アントラーズの本拠地カシマスタジアムがあります。

佐藤:僕は茨城の地理にも明るくなくて、水戸より北だったら少しはわかるくらいで、鹿行ってどこ? 行方(なめがた)って何? みたいな感じだったので……。
 コロナ禍でなかなか難しかったのですが、お祭りに行ってみたいですね。笠間のひまつり(陶炎祭)とか、大洗のあんこう祭り、偕楽園の梅まつり、あとは悪態祭り(笠間)みたいな奇祭……。人が集まれるようになったら、行ってみたいです。

――取材では食べていない、おいしそうなものもたくさんありますよね。

青木:大洗でB級グルメツアーにいきましたが(単行本第16話)、太麺に熱々のあんをかけた「スタミナラーメン」は食べなかったし、最近よく聞くようになった「下館ラーメン」もありますよ。
「つけけんちん蕎麦」も取材では食べていませんね。茨城は蕎麦をたくさん作っているんですが、野菜がたっぷり入った温かいけんちん汁をつけダレのかわりにするんです。

――ところで、連載の途中でラジオ(茨城放送『だっぺ帝国の逆襲』)が始まりましたね。

青木:茨城放送のオーナーさんが、P+D MAGAZINEでの連載をご覧になっていて、ツイッターとかで紹介してくれていたんです。「いいぞ、こういうのが茨城には必要だ」と。
 魅力度が最下位で、他の県より下に見られているところがあるので、「本当はそうじゃない」ということを伝えたい。でも、ストレートに「違う!」と主張しても聞いてもらえないので、おもしろく表現しよう――という『だっぺ帝国の逆襲』の趣旨に賛同していただいて、「ぜひ、ラジオ版でやりたい」ということになったようです。

――オーナーも茨城愛の強い方みたいですね。

青木:そうですね。茨城放送だけでなく、スポーツチームのオーナーでもあるんですよ。「茨城ロボッツ」というバスケットボールのチームなんですが、最近2部から1部に昇格したんですよね。
 茨城放送は愛称を「LuckyFM 茨城放送」にしたんですが、首都圏でも電波が入るようになったり、インターネットラジオのradikoで関東全域で聞けるようになったりとステップアップしていますね。

――番組への反響はいかがですか?

青木:すごく反響がありますね。(単行本第10話に登場した)茨城弁のかるたをたくさん投稿してくれたり、会社の朝礼で話題になったという話を聞いたり……。みなさん、「茨城」を強く求めているんですよ。ラジオではそれをダイレクトに感じます。

『だっぺ帝国の逆襲』の映画化、ぜひ実現しましょう!(青木)
ヒロインは、五月のモデル、根本凪さんでお願いします!!(佐藤)

――漫画自体の魅力とラジオの効果が相まって、連載中に見事「魅力度最下位」を脱出しましたね。

青木:『だっぺ帝国の逆襲』の効果はあったと思いますよ。「茨城って本当はそんなにダメな県じゃない」というみなさんの思いが通じたんじゃないかな。私はこれまでコツコツと活動を続けてきましたが、そこにおもしろい漫画とラジオがあったことで、大きな発信力になったのではないでしょうか。

佐藤:僕は、この作品をいいものにしようと思っていましたが、正直、「この漫画で茨城を変えてやる!」とまで意気込んでいたわけではありません。が、魅力度ランキングの順位が上がったときに、ちょっとは影響があったのかな、と思いましたね。

――茨城はこれから、順位を上げていけると思いますか?

青木:茨城は、水戸などの大都市に人口が集中しているのではなくて、県内全域に人口が散らばっている。いわばナチュラルソーシャルディスタンスですね。いまは、キャンプなどアウトドアが流行っていますから、「ちょっと田舎に行ってみたいな」というニーズをうまく取り込んで、普段は自然のあるいい環境で暮らし、必要なときには比較的早く東京に行ける「トカイナカ」(都会+田舎)としてアピールしていけば、ステップアップしていけるのではないかと思っています。

佐藤:僕は北関東が魅力度ランキングで下位争いをしているのは、PR効果を考えたらおもしろいんじゃないかと思うんですが、それを狙いに行ってしまうとシラケますよね。茨城には本当はおいしいものもあるし、いいところもあるということを、きちんとアピールしたうえで、下位にいるのが居心地がいいのかなと(笑)。

――もし、もう一度魅力度最下位になってしまったら、どうしましょう?

青木:いいじゃないですか。あのランキングを真に受けてしまう人もいますが、ビリになってもそれを笑いに変えるくらいの気持ちで、鷹揚に構えていたほうがいいと思いますよ。

――さて、では今後のお二人の夢を聞かせてください。

佐藤:僕の人生のテーマというか、将来像が変わりつつあるんですよ。これまでは結婚とかが人生のゴールだろうと、なんとなく思っていたのですが、もしかしたら、ずっとひとりかもしれないと考えたとき、じゃあ幸せって何だろうと考えてしまったんですね。
 これまでは基本的にひとりでいることが好きで、あまり人と関わってこなかったし、このまま関わらないで生きていこうと思っていたんですが、がっつり関わってみたらどうなるのかなと。もしかしたら、ひとりが好きだと思い込んでいるだけで、いままでと違う環境に飛び込んだら、別の自分が見つかるかもしれない。新しい価値観や、幸せの形が見つかるかもしれないと思って、離島でシェアハウス暮らしを始めました。

青木:私は自分のホームページで茨城を紹介することから始めて、本を書いたり、Tシャツを作ったり……。

――あれ、青木さん、そのTシャツもオリジナルですか?

青木:じつは「ご当地Tシャツ」を作っていて、「R6」はルート6(国道6号)、「ロッコク」はその茨城での愛称です。都内などでは「水戸街道」と呼ばれていますが……。ロッコクは茨城県内だと最南端の取手から最北端の北茨城まで至る、県民にとってはいちばん馴染みのある道なんですよ。茨城はご当地グッズが少ないということもあって、つくってみました。
 話を戻すと、いままで本やTシャツをつくったり、それからラッパーとして活動したり……そんなことを「茨城」というテーマでやってきました。これからもこの活動を続けていきつつ、今後はまた違ったアプローチができたらいいですね。たとえば『だっぺ帝国の逆襲』の映画化とか。
 映画なら、漫画より方言が使えるので、その指導をやらせてもらって(笑)。実現したらおもしろいなと思っています。

佐藤:『だっぺ帝国の逆襲』の五月は、でんぱ組.incの根本凪さんをモデルにしてるので、映画化が実現したらヒロインは彼女でお願いします! 凪さんは水戸出身なんですが、『だっぺ……』を始める前からずっと応援していたんですよ。

青木:佐藤さんにラジオに出ていただいたときにその話を聞いたのですが、リスナーさんからも、「そういえば似てる」って反響がありましたもんね。ぜひ実現させましょう!

――では、単行本発売を記念して、第2弾や映画化を期待しつつ、キメの一言をお願いします。

青木佐藤『だっぺ帝国の逆襲』、一生懸命つくっていますので、ぜひよろしくお願いします。しみじみやっぺ!

【単行本発売情報】


10月6日 全国書店・セイコーマート(茨城、埼玉)で発売
定価 1870円(税込) 電子版も同時発売。

■著者プロフィール

・画 佐藤ダイン
1984年、茨城県大子町出身。芸術系の大学在学中から漫画誌に投稿を続ける。サラリーマン生活、漫画家のアシスタントを経て、『桃色な片想い』(『月刊!スピリッツ』)でデビュー。
2016年、『僕に彼女が出来るまで』が『ふんわりジャンプ』で連載、単行本化される。

・監修 青木智也
1973年、茨城県常総市(旧石下町)出身。
東京でサラリーマン生活を経験するも、茨城にUターン。フリーのライター、コメンテイター、ラッパーとして活動を続ける。WEBサイト「茨城王(イバラキング)」を立ち上げるかたわら、常総ふるさと大使、いばらき統計サポーター、茨城県まちづくりアドバイザーなどとしても活動。茨城放送、ラヂオつくば等でパーソナリティも務める。

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