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小学生が選んだ「最強の本」はこれだ! “こどもの本”総選挙 事務局インタビュー

全国の小学生が“一番好きな本”を選んで投票するイベント、「小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙」の結果が発表されました! 見事トップ10に輝いた作品の読みどころと、“こどもの本”総選挙の裏側について、総選挙事務局の方にお話を聞きました。

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2017年11月から2018年2月にわたって投票を受けつけ、こどもたちの間で大きな話題を呼んだ「小学生がえらぶ! “こどもの本”総選挙」。全国の小学生が一番好きな本を1冊選び投票するというこのイベントは、最終的に約12万票もの票数を集め大盛況のうちに終了しました。

5月5日のこどもの日には、人気トップ10を発表。1位には、こどもにも大人にも支持を集める『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(今泉忠明監修)が選ばれました。

今回はそんな“こどもの本”総選挙の結果を受け、総選挙事務局長を務めたポプラ社の岡本大さんに、イベントの背景についてお話をお聞きしました。また、インタビューの後半では、実際にトップ10となった作品の読みどころも1冊ずつ紹介してもらっています。こどもにも、こどもに人気の本を知りたい大人にも、必見の内容です!

大人が選んだ本ではない、本当の“こどもの本”が知りたかった

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(“こどもの本”総選挙 事務局長担当の岡本大さん)


──「“こどもの本”総選挙」は、どういった経緯で開催されたのでしょうか。

岡本:ポプラ社が昨年、創業70年を迎え、70周年にふさわしい企画をみんなで考えようというプロジェクトが立ち上がったんです。弊社がこれまで刊行してきた本のミュージアムを開いてはどうかとか、企画案が何十本も出たんですが、その中に、“こどものための、こどもの本の選挙”という案があって。

70周年という記念すべき年だからこそ、「自分たちの利益だけでなく、今後の出版業界全体に貢献できるようなイベントをやったほうがいいよね」ということはみんなが思っていたので、自然とこの案に決まりました。

 
──小学生が選ぶ、というコンセプトも最初から決まっていたのですか?

岡本:いえ、最初は大人もこどもも投票できるようにして、いわゆる“児童書”の1位を決めてはどうかという話もありました。ただ、僕たちが“大人の本”だと思っている本でもこどもは普通に読んでいる、ということもありますし、“児童書”というくくり方は大人の都合に過ぎないんじゃないかという思いもあって。だからこそ、本を自分から選んで読み始める小学生を対象にして、本の種類もオールジャンルなんでもあり、という選挙にしようということになりました。

 
──投票開始は昨年の11月1日でしたが、最初から票は順調に集まりましたか?

岡本:そうですね。翌日2日にはポプラ社にハガキが届き始めて、北海道から沖縄まで、全国から続々と集まってきました。もともとは全体で1万くらいの票が集まればいいねという話をしていたのですが、最終的には約12万票という結果になり、事務局のメンバーも「まさか12倍とは……」という感じでした(笑)。

投票期間中は、こどもたちからの投票だけでなく、学校の司書さんから「こどもの読書を推進するために今回のような企画をしてくれて嬉しい」というお手紙をいただくこともありました。SNSなどでは大人の方も今回の選挙を話題にしてくださって、自分だったらこれに投票したなという意見もたくさんいただいたので嬉しかったですね。

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──最終結果はトップ100まで公表されましたよね。この結果を見て、驚いたことなどはありましたか?

岡本:トップ10に4冊ランクインしているヨシタケシンスケさんの絵本や、『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』など、大人が面白いと思うんだろうな、と感じるシュールな作品が多く入っていたのはちょっと意外でした。そういう意味では、こどもが面白く感じるもののセンスが大人のセンスに近づいているのかもしれないですね。

それから、35位にランクインした『二日月』(いとうみく作・丸山ゆき絵)や47位の『ワンダー』(R・J・パラシオ 作)は夏休みの課題図書に指定されている本なのですが、こういった作品もこどもたちに実際に人気があるというのは発見でした。課題図書というと、あまりこどもが自ら選んで読んでいるイメージがなかったのですが、やっぱり面白い本や素敵な本は、こどもたちの心にちゃんと届くんだなと。

トップ10の本の“おすすめポイント”はココ!

──ありがとうございます。では、ここからは、実際に「こどもの本総選挙」でトップ10にランクインした本のおすすめポイントを教えていただけますか。

岡本:はい! ではまずは、10位の『りゆうがあります』(ヨシタケシンスケ作・絵)から。

りゆうがあります
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これは、親が「ストローをかじっちゃだめ」、「鼻をほじっちゃだめ」とこどものクセを注意することがあると思うのですが、そのすべてにこどもが「実はこんな理由があるんだよ」とひたすら言い訳する……というストーリーです。
こどもが繰り出すいろんな言い訳には笑わされたり、驚かされたりしますし、いつも見ているものの“視点を変える”ということを知るのにいい絵本だと思います。

 
9位は『銭天堂 : ふしぎ駄菓子屋』(廣嶋玲子作・jyajya絵)。今年9作目が出た、2013年から続く大人気シリーズの1作目です。銭天堂シリーズはトップ100に6冊ランクインしていることからも、こどもたちに本当に人気が高いことが窺えます。

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出典:http://amzn.asia/10Nr7Gz

不思議な駄菓子を売る「銭天堂」というお店を舞台にした物語で、きちんと決められた通りに駄菓子を食べた人は願いが叶うけれど、間違った食べ方をすると大変なことが起きる……というような、ハラハラドキドキできるお話です。

 
8位は『ぼくらの七日間戦争』(宗田理作・はしもとしん絵)。これは1985年発表の本ですが、2007年にリバイバルしたものが発行されたこともあり、図書館などでこどもたちに再び読まれるようになってきたようです。

ぼくらの七日間戦争
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大人の教育に反抗した中学生たちが廃工場に立てこもって“戦争”を挑むというストーリーなのですが、投票してくれたこどもからは「こどもたちが大人に反乱を起こすのがかっこいい」というコメントが寄せられるなど、人気でした。この本はいま小学生のこどもを持つ親御さんたちも小さい頃読んでいたようで、大人からの反響も多かったですね。

 
7位はヨシタケシンスケさん作・絵『このあとどうしちゃおう』。主人公のおじいちゃんが亡くなってしまうところから始まる物語なのですが、おじいちゃんの部屋に残されていたノートをめくると、“自分が死んでしまったら、どうなりたいか”というさまざまな空想が描かれていて……というストーリーです。

このあと
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テーマ自体は“死”という重いものなのですが、そう感じさせないシュールなイラストとユニークな文章で綴られているのが、ヨシタケさんの魅力だと思いますね。こどもからも「死ぬのがこわくなくなった」という意見が寄せられました。

 
それから、6位・5位には『おしりたんてい いせきからのSOS』、『おしりたんてい かいとうVSたんてい』(トロル作・絵)が続けて入りました。おしりたんていシリーズはトップ100にも多数ランクインしていることからも、こどもたちには人気が高いようです。顔の形がおしりに見える“おしりたんてい”というキャラクターのインパクトはもちろん、純粋にミステリとしてのレベルが高いことが、こんなにも支持されている理由かなと思います。

いせきからの
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かいとう
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4位にランクインしたのが、『おもしろい!進化のふしぎ 続ざんねんないきもの事典』(今泉忠明監修)

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大人にも人気の高い大ヒット作『ざんねんないきもの事典』の第2弾なので、読んだことのある方が多いかもしれません。これまでも動物の強さやすごさに言及する事典は多くあったと思うのですが、“残念なポイント”を紹介する事典という新しさが、そのヒットの原因だったのかなと思います。
こどもたちからは、「動物にもできないことがあるとわかって、元気が出てきた」といったコメントが寄せられました。

 
3位は『りんごかもしれない』(ヨシタケシンスケ作・絵)。ヨシタケさんの初の絵本作品ですね。テーブルの上に置いてあるりんごを見て、「もしかしたらこれは大きなさくらんぼの一部かもしれない」、「宇宙から落ちてきた星なのかもしれない」とこどもが想像を巡らせるというストーリーです。

りんごかも
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想像力がどんどん膨らんでいって、ありえない展開に夢中になれるのが、こどもに支持される理由なのかなと思います。「給食の時間に、『これはみかんの形をしたUFOかもしれない』とクラスで盛り上がった」というコメントがこどもから寄せられたのですが、本を通してすごく面白い遊び方をしているなと感じました。

 
2位は『あるかしら書店』(ヨシタケシンスケ作・絵)。あったらいいな、と思うような本が次々と出てくる架空の書店のお話です。

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ふたつの本を合わせないと読めない「2人で読む本」や、本を読むのに付き合ってくれる「読書サポートロボ」など、ヨシタケさんらしい空想の世界が次々と広がります。「何回でも読みたくなる本」というコメントがあったように、こどもにとっては夢が膨らむ1冊なのかなと思います。

 
そして、栄えある1位は『おもしろい!進化のふしぎ ざんねんないきもの事典』(今泉忠明監修)。4位でご紹介した『ざんねんないきもの事典』シリーズの第1弾です。

ざんねん
出典:http://amzn.asia/74QHxqB

以前、監修者の今泉先生にお話を聞いたのですが、これまで長らくこども向けの本を出してこられた中で一番売れたのが1万8000部だったというんです。それが、この『ざんねんないきもの事典』で一気にミリオンセラーになったという……。やはり、こどもにも大人にも愛される本が一番強いのかもしれません。

 
──トップ10の紹介、ありがとうございます! “こどもの本”総選挙、ぜひこれからも更新され続ける結果を見ていきたいなと思うのですが、来年以降も開催される予定なのでしょうか。

岡本:まだ今のところは決まっていないのですが、かなり前向きにやりたいなとは考えています! また、今回の結果でどういう本がこどもたちに本当に人気なのかが見えてきたので、それがこれからの本づくりにも活かされてくるとよいな、とも思っています。

 
──今回は、本当にありがとうございました!

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