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ライトノベルのルールと文法――“萌え系”小説の「お約束」とは?

ライトノベル(=ラノベ)という書籍ジャンルは、ファンタジーやSF、あるいは若者向け小説から始まり、独特の世界を形成し、若者に今も絶大な支持を得ています。そんなラノベには、実は他ジャンルと違った、ラノベならではの約束事や、言葉の使い方があります。今回は、具体的な例をあげながらラノベのルールと文法をご紹介し、ラノベとは何かを考えてみたいと思います。

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序論

 ラノベの源流をたどると、筒井康隆作『時をかける少女』(1967年)、笹本祐一作『妖精作戦』(1984年)といった作品に行き着きます。さらに昔にさかのぼれば、ジュール・ヴェルヌ作『海底二万里』(1870年 ※1956―1957に翻訳)、C・S・ルイス作『ナルニア国物語』(1950年~1956年 ※1966年に翻訳) などの作品も、ラノベの誕生に大きな影響を与えています。ラノベの歴史は、ファンタジーやSFを抜きにして語るわけにはいかないのです。

 ラノベというジャンルの初期形成に大きな影響を与えたのは、神坂一かんざかはじめ作『スレイヤーズ!』(1990年)の出現ではないかと思います。なぜなら、ほぼ同時期に水野良によって書かれたファンタジー小説『ロードス島戦記』(1988年)と比較すると、言葉遣いや用語といった様々な要素が、明らかに違っていることがわかるからです。

スレイヤーズ
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ロードス島戦記
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 文章や会話文のイメージというものは、読む人によって違います。ですが、『ロードス島戦記』と『スレイヤーズ!』の文章を読み比べてみると、背広を着た紳士を思わせる整った文体の前者に対して、後者は流行のカジュアルな服を着た若者を思わせる、くだけたしゃべり方、擬音や(紙の)余白の多さが印象に残ります。以下、この2作品の冒頭場面を引用します。

ニースは神殿の宿舎にある自室に、一人の客を迎えていた。
 大地母神と崇められるマーファの聖印が刺繡された純白の神官衣をまとい、素朴な造りの椅子に浅く腰かけている。五十余年の齢を重ねた人生の証として、豊かで艶やかだった黒髪は灰色になり、その顔には深い皺が何本も刻まれていた。
 だが、老いた印象はまるで感じない。その背はまっすぐに伸ばされ、近寄るだけで誰もが彼女の存在を感じ、振り返らせるような生命力を全身から発していた。
「旅に出るというの?」
 ニースは彼女にしては滅多にないことだが、怪訝な表情を浮かべて客に問いかける。
「うむ、旅に出る」
 小さなテーブル越しに向かいあって座っている客は、短くそう答えた。
 人間の半分ほどの寸胴な体格。体に不釣合いに大きい顔には、髪の色と同じ、灰色の髭が生えていた。その先端は、丁寧に切り揃えられている。
 客は大地の妖精ドワーフなのだ。
(水野良『ロードス島戦記』角川スニーカー文庫、1988)

 

ほんの少しして、一人の男が森のなかから道に出てくる。あたしの行く手をさえぎる形で。
「やっと追いついたぜ、嬢ちゃん」
 頭から髪の毛が絶滅しているアイ・パッチのおっさんは、今日びゾンビやスケルトンでも使わないような、ふっるーいお決まりのセリフを吐いた。
 上半身裸の、『私は盗賊の頭です!』と力説しているかのよーな風貌だった。円月刀なんぞを持っているのが、いかにもそれもんである。──もっとも、遅くても話の中盤あたりにはあっさりとやられてしまう役どころ、といったふうだが。
 チャーム・ポイントは獣脂を塗ぬりたくったかのようにぎとぎとと油ぎった肌(ずげげげっ)。
(神坂一『スレイヤーズ!』富士見ファンタジア文庫、1990)

 こうして見比べると、同じファンタジー小説でもかなり雰囲気が違うことがわかります。ここに一般小説とラノベを区別する秘密が隠されているのではないでしょうか。『ロードス島戦記』の文体は夏目漱石やトーマス・マンのような古典文学作品を感じさせ、『スレイヤーズ!』の文体は2019年現在の、川原礫かわはられき作『ソードアート・オンライン』やアネコユサギ作『盾の勇者の成り上がり』といった最新のラノベの話題作に似ているのではないかと考えられます。

 ではラノベをラノベたらしめている文体とは何なのか、ラノベ、ひいては“萌え”文化の約束ごとやルールとはどんなものなのか、次に明らかにしてみましょう。

美少女の出ないラノベはない!?

 ずばり結論から言ってしまえば、「ラノベ=美少女」、と言っても過言ではありません。
 もちろん例外はあります。また、ラノベ以外の小説にも美少女は登場します。それでも、ラノベにとって美少女とは絶対不可欠な要素であり、美少女のいないラノベとはカツのないカツ丼のようなものなのです。
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 美少女、というのもポイントです。鎌池和馬かまちかずま作『とある魔術の禁書目録インデックス』、谷川流たにがわながる作『涼宮ハルヒの憂鬱』といった有名なラノベを無作為に挙げると、ほとんどの場合、ヒロインや主要な女性登場人物は10代半ばから後半のティーンエージャーです。竹宮ゆゆこ作『ゴールデンタイム』などヒロインが女子大生の作品もありますが、そうした例は多くはありませんし、竹宮ゆゆこ氏はどちらかというと一般文芸の分野で活躍している作家です。様々なラノベを調べると、ほとんどの作品は女性キャラの割合が多く、さらにその年齢は10代半ばから後半であることがわかります。これは、一般文芸との大きな違いと言ってよいでしょう。

 さらに、10代の女性というだけでなく、ラノベに登場する美少女は現実の少女とも違っています。ピーター・パンが空を自由に飛べて決して大人にならないネバーランドの住人であるのと同様に、ラノベの美少女は、美少女というカテゴリーの、現実の人間を超越した存在だとも言えます。
 たとえば、三雲岳斗みくもがくと作『レベリオン』の秋篠香澄あきしのかすみは女子高生ながら博士号を持つ科学者で、川口士かわぐちつかさ作『魔弾の王と戦姫ヴァナディース』のエレオノーラ・ヴィルターリアは16歳という年齢ながら一国の領主で、武将でもあります。10代の少女が、大人が就くであろう職業につき、魔法や超能力以上に非現実的な人間離れした腕力や知能で活躍するところは、まさしくラノベならではのファンタジー(幻想)と言えるでしょう。

ゲームのルールに沿って動く登場人物たち

 ラノベの登場人物は、野球のチームのように人数も立場もきっちりと決められている傾向があります。これも当然例外はありますが、有名作品のキャラを見ていくと、おおむねラノベというゲームのルールに忠実に従っていることがわかります。
 ラノベの主要登場人物が10人いたとすると、7人が美少女、1人が主人公の少年、1人がその友人の少年、残る1人が主人公に敵対する男性=恋敵の色男や悪人などとなります 。典型的なラノベの一つであるヤマグチノボル作『ゼロの使い魔』や前述の『ソードアート・オンライン』などは、そのキャラクター比率でしょう。
 そして、登場するキャラは各々の役割に忠実に動きます。試しに、ラノベキャラの類型をいくつか具体的に 挙げてみましょう。

 
主人公
例:平賀才人ひらがさいと(『ゼロの使い魔』)、坂井悠二(高橋弥七郎『灼眼のシャナ』)
平凡な高校生。美少女たちに翻弄される日常を送る。時に悲しい過去を持つ美少女を救ってあげたり、悪人の企みを打ち砕いたりする。

友人
例:ギーシュ・ド・グラモン(『ゼロの使い魔』)、土御門元春つちみかどもとはる(『とある魔術の禁書目録』)
軽口を叩くような性格が多い。おもに主人公の悪友として振る舞う。重要なポイントとして、主人公の恋敵となってヒロインたちの誰かに想いを寄せることはあまりない。

家庭的ヒロイン
例:シエスタ(『ゼロの使い魔』)、田村麻奈実(伏見(ふしみ)つかさ『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』)
温厚かつ家庭的な性格な女の子。主人公の幼馴染や同級生が多い。朝、主人公を起こしに来たり弁当を作ってあげたりと世話を焼いたり、困っている主人公に優しく相談に乗ったりする。不意に現れた非日常のヒロインに主人公を奪われる、恋愛の敗者となることが多い。

ツンデレヒロイン
例:ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(『ゼロの使い魔』)、御坂美琴みさかみこと(『とある魔術の禁書目録』)
ラノベの代名詞の一つともいえるキャラクター類型。主人公にツンツンと素っ気ない態度を取るが、実はデレデレとした恋心を抱いている、というタイプで、メインヒロインになることが多い。冬原パトラ作『異世界はスマートフォンとともに。』(2015年刊行)、伏瀬ふせ作『転生したらスライムだった件』(2014年刊行)などで知られる、近年、小説投稿サイト『小説家になろう』に投稿されたラノベには、少ない傾向がある。

優等生ヒロイン
例:七草さえぐさ真由美(『魔法科高校の劣等生』)、更識楯無さらしきたてなし(『IS〈インフィニット・ストラトス〉』)
主人公がいるクラスの委員長、あるいは学校の生徒会長など。眼鏡っ娘や凛とした美人かつ文武両道で公平無私な性格や、豪快で毅然とした性格などが多い。

 

 これらの人物像は、ラノベを何作品も読んでいると見えてくる、あるいは美少女の多い漫画やアニメなどで見かけるイメージをまとめたものです。完全にこれにぴったりと当てはまる、という作品があるとは限りません。しかし、あるラノベを無作為に選び、登場人物の性格や言動を見ていくと、多くの場合この類型に当てはめることができます。

 もちろん、類型があるのはラノベに限りません。刑事ドラマには嫌味なエリート警官が出てきたりしますし、ホラー映画では浮かれ騒いでいるカップルが殺人鬼に殺されるなどのお約束があります。重要なのは、ラノベの登場人物は、幼馴染なら小柄で目立たない容姿の柔和な顔つき、ツンデレなら金髪のツインテールで吊り目の気の強そうな顔つき、といった具合に、あるキャラクターを想像する時に非常に記号化してイメージしやすい構造になっている、という点です。そうしたキャラたちが、怪物が出現する、テロリストが暗躍するなどといった問題の解決のために行動します。その過程で、恋愛が大きな比重を占めるのも、ラノベの特徴です。
 キャラクターを記号として把握するということについては、東浩紀あずまひろき著『動物化するポストモダン』の中でも分析されています。たとえば、

かつては作品の背後に物語があった。しかしその重要性が低下するとともに、オタク系文化ではキャラクターの重要性が増し、さらに今度はそのキャラクターを生み出す「萌え要素」のデータベースが整備されるようになった。
(東浩紀『動物化するポストモダン』講談社現代新書、2001年)

特定のキャラクターに「萌える」人々は関連商品を集中的に購入するので、制作者からすれば、作品そのものの質よりも、設定やイラストを通して萌えの欲望をいかに喚起するかが、企画の成否を直接に握ることになる。
(同上)

 こうした東氏の指摘は、『Fate』や『艦隊これくしょん』などの多くの“萌え系”の有名コンテンツでキャラクターが重要視され、そのデザインや性格、台詞などがファンの注目を集めているという状況 を考えると、2019年の現在でも的を射たものだと言えるでしょう。

 ラノベは小説の分野において美少女というキーワードを軸に、新たなコンテンツ産業の一翼を担っているといえます。ラノベ作品が漫画、アニメ、ゲームなどと盛んなメディアミックスが行われていることも、その表れでしょう。東野圭吾や湊かなえといった一般文芸の有名作家の作品は映画化やドラマ化は盛んに行われていますが、アニメやゲームになる話は、多くは耳にしません。そこでも、コンテンツの住み分けが行われていることがわかります。

「萌え絵」と文体で形作られる「漫画・アニメ的な小説」

 もう一つラノベに不可欠な要素を挙げるとすれば、やはり「萌え絵」でしょう。
 多くのラノベは、綾波レイや初音ミクといった有名キャラクターで知られるような美少女の萌え絵を表紙や挿絵にしています。西尾維新作『化物語ばけものがたり』のように挿絵のないラノベもありますが、これは一般文芸に分類されることもある作品であるため、前述の『ゼロの使い魔』や『ソードアート・オンライン』のような典型的なラノベとは違うと言えるでしょう。萌え絵がラノベの顔であり、萌え絵なくしてはラノベは成立しないと言い切ってしまうこともできるはずです。少なくとも、もし萌え絵がなかったら、今日のラノベはまったく違った様相を見せていたことでしょう。

 その萌え絵と、漫画やアニメのキャラクターのしゃべり方をそのまま文章にしたような、くだけた会話や擬音、感嘆符の多く含まれた文体とが、青春小説、あるいは児童小説も含む一般文芸とラノベとの大きな違いといえます。くだけた会話であると同時にラノベキャラの会話はどこか台本を読んでいるような、現実の人間ならあまりしないようなしゃべり方をします。また、ギャグ漫画を思わせる大げさな動作やボケとツッコミといった要素も、ラノベの特徴の一つです。若者同士がじゃれ合う場面で、賀東招二がとうしょうじ作『フルメタル・パニック!』のように女の子がハリセン(日本の漫才・コントなどで用いられる小道具)で男の子をひっぱたく、という描写は一般文芸ではあまりされないでしょう。

 さらに『動物化するポストモダン』では 、「デ・ジ・キャラット」、通称「でじこ」と呼ばれるキャラクターをもとに萌え要素の分析をしていて、その中で、でじこが「そうだにょ」「疲れたにょ」という独特の語尾をつけて話す点を萌え要素として挙げています。ラノベではありませんが、ゲーム『艦隊これくしょん』に登場するヒロインの1人の「初春はつはる」は、一人称が「わらわ」で、「わらわが初春じゃ。よろしく頼みますぞ」と、老婦人のような口調で話します。『とある魔術の禁書目録』を読めば、そのような奇抜な口調が山ほど出てきます。

 前述の、「ラノベはツンデレや委員長といった役割に忠実である」ということとも合わせて考えると、ラノベの文体の特徴とは、意図的に戦隊ヒーローもののような現実にはありえない世界観をもとにした芝居を演じることだといえます。役を演じることで、作品世界を現実の世界と意識的に切り離す。この構造はラノベの特徴で、漫画・アニメ・ゲームなどの「オタク・コンテンツ 」の特徴だとも言えるでしょう。コミックマーケットでコスプレイヤーたちが漫画やアニメのキャラに扮装するのは、この「演じる」という行為の一つの実例です。ゲームでいえば、『ドラゴンクエスト』などがあてはまるジャンル、RPG(=ロールプレイングゲーム)です。そして、オタク・コンテンツにおいて主流となるゲームは、キャラクターが動くRPGです。

文字通り異世界へ――「なろう系」が切り開いた新天地

 異世界という言葉が出たところで、この言葉が鍵となるラノベの最新流行について触れます。
 株式会社ヒナプロジェクトによって小説投稿サイト「小説家になろう」 (通称:なろう)が設立されたことが大きな転機となります。無料で作品の投稿・閲覧ができるサイトですが、多くの作品は美少女が登場するラノベです。2016年にあかつきなつめ作『この素晴らしい世界に祝福を!』と長月達平ながつきたっぺい作『Re:ゼロから始める異世界生活』の、「小説家になろう」発の2作品がアニメ化され、話題になりました。以後、冬原パトラ作『異世界はスマートフォンとともに。』、伏瀬ふせ作『転生したらスライムだった件』などの有名作品が続々とアニメ化、投稿作品の書籍化も数多く行われてラノベ界の新たな潮流となっていきました。通称「なろう系」と呼ばれ、ラノベファンの間でも議論を呼んでいる非常に新しいジャンルです。

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 何が新しいかというと、「なろう系」はそのほとんどに共通する特徴として、主人公が事故死して生まれ変わったり生身のまま転移したりして、現代日本からファンタジー風の異世界へ転移することがあります。異世界への転移話自体は『ゼロの使い魔』の前例がありますし、『ナルニア国物語』やミヒャエル・エンデ作『はてしない物語』など、さらに古い例もあります。けれど、「小説家になろう」に投稿され、書籍として出版されたラノベのほとんど全部が異世界転生ものという状況は、さすがに前例がないのではないでしょうか。この新しさから「なろう系」として時には否定的な意味を込めて呼ばれ、同じラノベファンからも怪しまれたり嫌われることもあるジャンルですが、2010年代辺りから急速に読者の注目を集めたことは確かです。

「なろう系」は、それまでのラノベ以上に厳密なルールを持っています。まず、多くが異世界に転生すること、その際に神様から強力な魔法の力をもらうことがあります。ほとんど何の力も持たず異世界へ投げ出されて散々苦労する、といった作品はあまり目にしません。また、主人公が優遇されることを読者が強く求めることが多いという特徴もあります。「今のなろうで受けているもの」という言葉でgoogle検索をかけると出てくるページでは、「なろう系」読者がいかにストレスを嫌い、主人公が大勢の美少女に慕われて幸せになる展開を求めているかが細々と書かれています。興味深いのは、その中に「転生前の主人公は孤児、苛められっこ、引きこもり、ニート、フリーター、ブラック企業勤務だった設定を付けると良い」と書かれていることです。

 つまり、「なろう系」は現代日本で社会的、金銭的に満たされていない、あるいは精神的にゆとりのない読者層がストレス解消のためのツールとして求めているのです。さらに、「なろう系」は、文字通り異世界へ旅立ち、そこで幸せになりたいというストレートな願望が込められた作品群だといえます。

 触れたことのない読者にとって入り込みづらいラノベというジャンルの中でも、特に先鋭化されているのが「なろう系」です。人によっては、まったく理解できなかったり嫌悪感を抱いたりすることもあるかも知れません。しかしそこで注目したいのは、そういう作品群が、数100万部も売り上げているという現実です。「なろう系」もまたラノベの中でも一定の支持を得ているということです。

ラノベの世界の入り口を開くには

 ラノベとは何かということについては千差万別な意見があり、分析・考察する本も多く出版されていますが、ラノベとは「現実とは違う虚構の世界の物語」だと思います。
 ファンタジーやSFを起源とするという出自からも言えることですが、それだけでなく、登場する人間の話し方や見た目など、単に魔法やSF的要素だけではない「現実にこんな人間はいない」という意味でのファンタジーでもあります。たとえば、少女漫画でよく出てくるシチュエーションである、「女の子が食パンをくわえて走っていたら曲がり角で男の子とぶつかる」というようなことは現実にはもちろん、現実をモデルにした小説でもありえないことで、ラノベでよくある、優しいだけが取り柄の冴えない男の子が大勢の美少女と仲良くなることもありえないことです。

 では、ありえないことはくだらないことかといえば、それは違います。もしも本当にそうであるなら、神話や伝説などは人間社会から消えてしまうはずです。ありえないとわかっていても、その幻想を楽しみ、幻想に親しむのが人間なのではないでしょうか。空を飛び炎を吐く巨大な竜も、鎧に身を包んで魔法の槍を軽々と振るう凛々しい戦乙女も、現実にはいなくても素晴らしいものなのです。

 ラノベはなじみのない読者には不思議に見えて、どこが入り口でどうやって入り込めばいいのか戸惑うものかもしれません。しかし、ラノベはエンターテインメント作品であり、ただ虚心に楽しめばよいのです。この記事をきっかけに、あなたもラノベの世界に入ってみるのはいかがですか?

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