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【おすすめラノベ教室】ラノベに苦手意識持ってない?

「ライトノベルって一体どんなもの?」……そんな疑問を持つ方必見!ライトノベルの定義や歴史、純文学との関連を解説します。

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目次

1.ある日の編集部

2.「ライトノベル」ってなに?その答えを定義から見ていこう。

3.ファンタジーから学園ものへ。時代とともに移り変わる、ラノベの流行。

4.その作品、もしかしたらラノベかも?ラノベと純文学の関係。

5.ラノベを読まない人にこそおすすめしたい、ラノベ3選。

6.まとめ

【登場人物】

豊城(24歳)
純文学は好きでよく読むが、ライトノベルは読んだことがない。

田中(26歳)
ライトノベルから純文学まで、気になった本は手当たり次第読むタイプの読書家。好きなライトノベル作品は『キノの旅』。

 

ある日の編集部

ある日、P+D MAGAZINE編集部のメンバーである豊城さんと田中さんは次なる企画を構想していました。

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豊城:次はどんな企画がいいかなあ……田中さんはどんな企画をやりたいですか?

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田中:うーん、ラノベ企画とかどう?

豊城:えっ、ラノベって転生した異世界で無駄に強くなって女の子にモテまくるやつですよね?そんなワンパターンのもので企画作るのはさすがに難しいのではないでしょうか。

田中:……たしかに最近は異世界転生ものが飽和状態にあるのは事実だけど、それがすべてじゃないから!!しかもそれ、「異世界転生ライトノベル」の記事の知識じゃん!!

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豊城:えっ、おっ、落ち着いてください。

田中:じゃあ聞くけどさぁ!!豊城さんってラノベ読んだことはあるの?

豊城:あまり読んだことがないかも……なんというか、私には合わないんじゃないかな?って思ってしまって。

田中:それはたぶん、「表紙が萌え系美少女イラスト」、「いつの間にか主人公がモテてしまう小説」なんて偏見があるからだよね、そうだよね。それじゃあ、そんなラノベ初心者の豊城さんの疑問を解決しつつ、おすすめの作品を紹介していこうじゃないか!!

豊城:……はい。

 
 
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「ライトノベル」ってなに?その答えを定義から見ていこう。

豊城:そもそも、ライトノベルってどういう作品のことをいうんですか?

田中:いい質問だね!だけどその質問に対する答えとしては、「ライトノベルの明確な定義はない」としか言えないんだよ。

豊城:えぇ〜?!あんなに啖呵切ったくせにそんな答えなんですか?

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田中:まあまあ、その理由を今から解説するから。豊城さんが疑問を持ったように、これまでにもライトノベルの定義はさまざまな議論がされてきたんだよ。「ライトノベルを発行しているレーベルから出版されている」、「萌え系のイラストが使われている」、「中高生をターゲットとしている」といった定義を提唱する人たちもいたけど、よくよく考えると例外も多くて「これぞ!」という定義が難しいんだ。

豊城:なんだかすごくややこしいですね。

田中:ライトノベルのような作品が必ずしもライトノベルのレーベルから出ているわけではないし、萌え系のイラストどころかイラストが使われていないものも少なからず発行されているよ。それに、「中高生をターゲットとしている」という定義も、どんどんファンの年代が広がっていることからあいまいになってるね。

豊城:現に中高生ではない田中さんもラノベを読んでいるわけですしね。

田中:……うっ、うん。

豊城:急にテンション下げるのはやめてください。そういえば、「ライトノベル」ってなんで「ライトノベル」っていうんですか?

田中:それを説明するためには、豊城さんが生まれる少し前までさかのぼる必要があるね。今から30年くらい前、パソコンで誰かとコミュニケーションをとることができるのはアカウントを取った会員だけだった。それが「ニフティーサーブ」っていうサービスなんだ。

豊城:今では全然考えられない……。

田中:ニフティーサーブでは「フォーラム」という機能によって、特定の話題や趣味のことを話すことができた。このフォーラムのなかには「SFファンタジー」の話題を中心にしたものもあったんだ。ちなみにSF作品が人気を集めていた理由は日本のSF小説を解説した記事にもあるように、アニメや映画のヒットだけど、ファンタジー小説が大ブームになった理由ってなんだと思う?

豊城:SF小説は最初、海外から持ち込まれたってこの記事にもありますが、ファンタジーも同じだったのでは?日本からファンタジーが生まれるのってあまり考えにくいです。

田中:豊城さんの言った通り、海外のファンタジー作品が翻訳されたことは日本にファンタジーが根付いたきっかけのひとつ。たとえば『ナルニア国物語』は1966年に、『指輪物語』は1972年に、『ゲド戦記』は1976年に翻訳されているように、最初はファンタジー小説といえば児童文学が主だったんだよ。

豊城:どれも好きな作品ばかりです。それに、映画化されているものが多いですね。

田中:この後、ファンタジーが児童文学から少し上の世代、つまり中高生向けに書かれるようになっていく。作品名を具体的に挙げると栗本薫の『グイン・サーガ』シリーズだったり、菊地秀行の『魔界都市』シリーズといったところかな。
(合わせて読みたい:幻の『映画・魔界水滸伝』のキャストが存在?その気になる内容とは…

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豊城:あれっ、この『魔界都市シリーズ』って異世界の新宿が舞台なんですか?『ナルニア国物語』だったり『指輪物語』のようなファンタジーとは少し違うんですね。

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田中:ファンタジーにもいろいろな種類があって、剣と魔法が出てくるようなものを「ハイ・ファンタジー」、現実の世界を舞台に不思議なことが起こるものを「ロー・ファンタジー」というんだよ。

そんなファンタジーは、1986年に発売されたゲーム、「ドラゴンクエスト」によってさらにブームが加速していくことになるんだ。

豊城:まさか小説以外のものがきっかけで、ファンタジー小説がブームになるなんて!つまり、児童文学にはじまり、中高生向けのファンタジー小説が生み出された後、ドラクエの発売によってファンタジーの人気が確実なものになったわけですね。

田中:そういうこと。話を戻すと、ニフティーサーブの「SFファンタジー」フォーラムでは「SFやファンタジーとは違う、新しく生まれたタイプの小説について語るフォーラム」を作ろうとなったわけ。そこで会議室の管理を行うシステムオペレーションだった神北恵太氏によって、手軽に読めることから「ライトノベル」と名付けられたんだよ。

豊城:「手軽」って、ファーストフードみたいですね。

田中:実際に「ファーストノベル」って候補には上がってたらしいよ。他にも「こざっぱりした」っていう意味から「ニート(neat)ノベル」もあったとか。

豊城:ニートっていうとあの……

田中:今想像したであろうニートは「NEET」だから、全然意味が違うよ。

豊城:もしも「ニートノベル」になってたら、いろいろと意味がややこしくなってきそうですね。

田中:ほんとだね。

 

ファンタジーから学園ものへ。時代とともに移り変わる、ラノベの流行。

豊城:どうして「ライトノベル」って呼ばれているのかはわかりましたけど、これまでにはどんな作品が人気だったんですか?

田中:「ライトノベル」の言葉が生まれた1990年には、その後のライトノベルの方向性を大きく変えた作品、神坂一による『スレイヤーズ!』が発売されたよ。売り上げはシリーズ累計で2000万部、20年以上にわたってシリーズが作られたメガヒット作品なんだ。

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豊城:この『スレイヤーズ!』ってどんな作品なんですか?

田中:簡単に言うと、自称「美少女天才魔導師」の主人公、リナ=インバースが仲間と旅をする冒険ファンタジー。これだけ聞くと「そのどこが人気なの?」って思うだろうけど、王道のファンタジーを強烈なリナ=インバースのキャラクターが壊してしまったところにその人気の秘密があるんだよ。世界を滅ぼしかねない威力の魔法を使ったり、盗賊から金品を奪ったりっていうキャラはそれまでなかなかいなかったからね。

豊城:黒幕を倒すために、仲間を集めて旅をするような「THE ファンタジー」の作品とは全然違いますね!

田中:『スレイヤーズ!』以降も、ゲスい主人公が結果的に国を救ってしまう、中村うさぎ原作の『ゴクドーくん漫遊記』、主人公が異世界で王になる中国風のファンタジー作品、小野不由美原作の『十二国記』のように、それぞれの特徴を持ったファンタジー作品が続々と発表されるけど、徐々にファンタジーも飽和状態になってくる。そんな中、1998年になるとさらにライトノベルの新たな方向性を示し、より今っぽさに近づいた作品、上遠野浩平による『ブギーポップは笑わない』が登場する。

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豊城:ファンタジーに次ぐ方向性で現代よりのものとなると、もしかして「学園もの」ですか?

田中:そのとおり!こちらはとある学園に潜む化物を、女子高生に宿った別人格の「ブギーポップ」が倒す……という作品なんだけど、ストーリーそのものにあまりもの珍しさはないんだよね。でも、それまでライトノベルでは主流だった「ハイ・ファンタジー」ではなく「ロー・ファンタジー」として大ヒットしたのは大きかった。

豊城:1998年ってことは、「世界の危機」や「この世の終わり」を左右するヒロインと主人公の関係性を描いた「セカイ系」が流行っていた時期とも重なりますね。

田中:「セカイ系」における世界は「自分たちが暮らす日常世界が終わってしまうかもしれない状況」だからこそ、剣や魔法、ドラゴンが出てくる非日常の世界とは無縁でなければいけない。どこかにファンタジーの要素はあったとしても、世界が終わる危機を強調させるためには、よりリアルさを追求する必要が出てきたんだよ。

豊城:ラノベっててっきり学園を舞台にしたものばかりだと思ってたけど、むしろそんな学園ものが増えてきたのはここ20年くらい前だったなんて。しかも小説以外のところの影響が強いって、なかなかおもしろいですね。

田中:『ブギーポップは笑わない』をきっかけに学園ものが流行っていった結果、2003年に登場したのが谷川流の『涼宮ハルヒの憂鬱』。学園もの、SF、ラブコメ、セカイ系と、いろいろな要素がこれでもかってくらい入っていて、ラノベをあまり読まない層からの知名度もかなり高い作品だよ。SOS団っていう学校非公認クラブで物語が繰り広げられる点でいえば、「日常系」の要素もあるね。

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豊城:「ただの人間には興味ありません」っていうセリフだったり、アニメの主題歌の「ハレ晴レユカイ」は私もなんとなく知ってます。

田中:それと、この作品の主人公、キョンは、自由気ままなヒロイン、ハルヒに対して「やれやれ」と言いながら振り回されるキャラクター。「ハルヒ」のヒットをきっかけに、ライトノベルの主人公はキョンのような「やれやれ系」が多くなっていくんだよ。自己主張が強くない「やれやれ系」は性格や趣味嗜好に偏りが無いことでもあるから、どんな人が読んでも共感しやすかったんだ。

豊城:やれやれ系というと、村上春樹の要素がありますね。

田中:ラノベの「やれやれ系」って「人生を達観しているように見せながら、常に呆れた感じで周りを傍観している様子や人物」のことを言うから、まあ遠くはないかもね。

豊城:うわあ……私あんまり好きになれないタイプです。

田中:斜に構えてるのに女の子のほうから寄ってくるし、頑張らなくてもちょっと本気出せば物事がうまくいくから嫌いって人は多い。この辺りは後の「俺TUEEE系」おれつえええけいにつながってくるね。

豊城:また新しい系統の主人公が!

田中:これは努力せずとも最初から主人公が強い設定のこと。徐々に「やれやれ系」の主人公から、「俺TUEEE系」の主人公が定番になっていくんだよ。『ソード・アート・オンライン』の主人公、キリトは「俺TUEEE系」で、オンラインゲームが舞台だからこれまでの系譜を受け継いだ今どきの作品って感じだね。

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豊城:作風そのものだけでなく、主人公の傾向まで変わるんですね。

(次ページ:これまでラノベを読んでいなかったはずの豊城さんに衝撃の事実が!ラノベのイメージは変わるのか?)

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