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VR、ポスト・アポカリプス……、知るともっと楽しいSF用語辞典

いつの時代も、SF作品には読者の想像を超える出来事やキャラクターが描かれてきました。魅力的なSF作品をさらに楽しむため、古今東西のSF作品に多く見られる用語を押さえておきましょう。

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地球外の生命体や、宇宙の果てを旅する技術……、いつの時代も、SF作品には読者の想像を超える出来事が登場してきました。しかし、SF作品に頻出する技術や用語は、人によってはピンとこないことがあるのも事実です。

そこで、今回P+D MAGAZINE編集部ではSF作品に多く見られる用語を解説。これを押さえておけば、SF作品が今よりもさらに楽しめるでしょう。

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“バーチャル・リアリティ”

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「バーチャル・リアリティ」(Virtual Reality)の略であり、日本では「仮想現実」と訳される。また、頭部に装着したゴーグル型の端末に投影された、左右の目にわずかにずれた映像によって奥行きのある3D映像を実現する仕組みのこと。

最近では、テレビや雑誌などで「VR」という言葉を耳にすることも多くなってきました。2016年、PlayStation VRの発売をきっかけに、一般家庭でVRを体験することも珍しいものではなくなりつつあります。

今でこそVRはゴーグル型の端末を装着して体験する、というイメージがありますが、まだそのようなイメージが定着していなかった頃、アメリカのSF作家、スタンリイ・グローマン・ワインボウムは1935年に発表した短編小説『Pygmalion’s Spectacles』でゴーグル型のVRを登場させています。

また、2018年に公開され、ヒットした映画『レディ・プレイヤー1』(原作の邦題:『ゲームウォーズ』)は仮想現実“OASIS”を舞台に、開発者の莫大な遺産を探す物語です。

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『レディ・プレイヤー1』に登場するキャラクターは、誰もが仮想現実のOASISにのめり込んでいます。どんな非現実的なものであっても、本物だと思い込んでしまうほどのリアリティを持つVRは、家にいながら様々な体験を味わえるので、未来の生活を激変させるかもしれませんね。

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“パラレルワールド”

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ある選択肢から枝分かれされ、並行して存在する別の現実世界のこと。

たとえば、あなたが時間通りに起床し、出社することができたとします。その一方で、「目覚まし時計が鳴らなかった」、「電車がトラブルにより運転を見合わせていた」……、そんな理由から「遅刻してしまう未来」に行き着く可能性もゼロではありません。

森見登美彦『四畳半神話大系』は、そんなパラレルワールドを題材にした作品です。

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出典:http://amzn.asia/d/ggJQs8F

京都の大学の3回生である主人公、“私”は入学当初、サークル活動を通じて「薔薇色のキャンパスライフ」を送ることを夢見ていました。しかし実際は、プライドが高く、社交性の低い性格が災いしてサークルで孤立するばかり。そんな“私”の「もしもあのとき、別のサークルを選んでいれば」という並行世界で物語は構成されています。

物語のクライマックスで、“私”は「ドアや窓を開けても、行く先々で四畳半の自室が続いている」世界に迷い込みます。やがて“私”はそれらの部屋ひとつひとつに「買いそびれたはずの本」や「身に覚えのない自主制作映画のビデオテープ」があることに気がつきます。実はそれらの四畳半の部屋は、いずれもパラレルワールドに生きる“私”の部屋でした。

何を食べるか、どこに行くのかといった些細な選択肢によって生み出され続けているパラレルワールド。私たちのどこか知らないところで別の世界があるのかもしれない、と思うと壮大な気持ちになりますね。

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“歴史改変”

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史実とは異なる歴史をたどった世界を描くSF作品のこと。もとから異なる歴史をたどった作品での出来事をつづった作品のほか、破滅的な未来からやってきた主人公が運命を回避しようと歴史を改変する作品、過去に赴いた主人公の行動が意図せず歴史を改変してしまう作品もある。

歴史改変SFの舞台は、現在私たちが生きている世界とは異なる歴史を持った世界です。映画やゲーム、アニメでも人気のジャンル、「スチームパンク」も、「エネルギーの中心が電力ではなく蒸気であり続けた世界」といった歴史改変を踏まえています。

歴史改変SFでは、戦争といった世界規模での歴史が改変されることも珍しくありません。たとえばピーター・トライアス『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』では、第二次世界大戦で枢軸国側が勝利した世界が描かれています。

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アメリカ西海岸に存在する日本合衆国(United States of Japan)の検閲局で働く帝國陸軍の石村大尉、特別高等警察の槻野つきの課員のふたりは、合衆国への抵抗勢力に協力したとされる石村のかつての上官、六浦賀むつらが将軍を捜索することとなります。六浦賀将軍は「アメリカが戦争に勝った架空の世界をもとにしたシミュレーションゲーム」、通称『USA』を開発していました。

『ユナイテッド・ステイツ・オブ・ジャパン』では頻繁に「電卓」というアイテムが登場しますが、これは私たちの想像する計算機ではありません。これはいわばスマートフォンのようなものであり、『USA』もその電卓で遊べるゲームです。この他にも街を“メカ”と呼ばれる巨大な機械兵が空を監視する……という近未来的な描写が見られますが、そもそも今作の舞台は1988年。「第二次世界大戦の勝利国」というポイントを起点に、人々の生活の様式も大きく改変していることがうかがえます。

本当はありえたかもしれない虚構が、リアリティを持って描かれる……、そんな絶妙なアンバランスが味わえるのも、歴史改変SFの魅力といえるでしょう。

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“人工冬眠(コールドスリープ)”

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惑星間の物理的な移動、または未来に向けた時間の移動をする際、人体を低温状態に保つことで老化を防ぐ処置。

「遥か遠い惑星を探索する」、「医療が発達する未来に治療の望みを託す」といった目的から行われる“人工冬眠(コールドスリープ)”。時間経過による老化を防ぐだけでなく、処置を行うことで食料や酸素を削減し、宇宙船のスペース削減につなげるという理にかなった方法でもあります。

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ロバート・A・ハインラインの名作SF『夏への扉』では、コールドスリープが実用化された世界が描かれています。友人と恋人に裏切られ、失意の底にあった主人公のダンは、人工冬眠によって30年の眠りにつくことを決意します。金と覚悟さえあれば簡単に未来への片道切符を手にできる状況で、ダンはふたりへの復讐を果たそうとするのでした。

現実世界では遺体を冷凍保存し、医療技術が発展した未来に蘇生できることを望む「クライオニクス」という技術が存在します。現時点では、死亡により破壊されてしまった細胞の復元が難しいことから未だ非現実的な技術ではありますが、いつの日か「ひと眠りして目を覚ましたら未来だった」という状況もありえるかもしれません。

 

“ポスト・アポカリプス”

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大規模な戦争や自然災害、疫病などによって文明や人類が死に絶えた世界を舞台にした作品。

SF作品が描く世界は、優れた科学技術によって発展したものばかりではありません。それは行き過ぎた化学が破滅を招いた暗い世界を描く“ポスト・アポカリプス”から十分すぎるほどにうかがえます。

暗い未来を題材としていると聞くと、“ディストピア”を思い浮かべるかもしれません。しかし、あくまでも“ディストピア”は、一見平穏な世界に見えながらも、その裏で人間が徹底的な管理下におかれている設定。“ポスト・アポカリプス”は、社会制度そのものが崩壊しているため意味を成さず、サバイバル生活が強いられている状況です。

2017年に大ヒットしたアニメ『けものフレンズ』には「放棄されたソーラーパネル」や「壊れた橋」など、文明が崩壊したと思われる描写が登場し、「“ポスト・アポカリプス”作品なのではないか」という考察も生まれました。

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椎名誠『武装島田倉庫』は、戦争終結から20年を経てもなお、化学兵器や放射能の影響が残る日本でたくましく生きる男たちの物語です。荒れ果てたビルに住み、異体進化した危険生物の脅威に晒されながらも、淡々と倉庫で働く人々の様子がリアルに描かれています。

ポスト・アポカリプス作品の魅力といえば、荒廃した世界で生きる人々の姿。彼らの住む環境は、文明の恩恵を受けている私たちからしてみれば、とても恵まれたものとは言えないでしょう。しかし、「なんとかなる」という楽観的な姿勢を持ち、不便ながらもやっていく彼らが輝かしく見える部分もあります。恵まれた生活を送る一方でしがらみに苦しむ私たちが“ポスト・アポカリプス”に惹かれる理由は、まさしくそこにあるのです。

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“ロボット”

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人の代わりに何等かの作業を自律的に行う装置、もしくは機械のこと。SF作品には自律行動ができるもの、遠隔操作するもの、人間が乗り込んで操縦するものなどが登場する。

2014年、オックスフォード大学は驚くべき未来を予測しました。それは、「コンピューターの技術革新が著しいことから、人間はロボットなどの機械に仕事を奪われる可能性がある」というもの。今もロボットは工場などを中心に仕事をしていますが、いずれはさまざまな労働現場に導入され、結果として人間が仕事を失ってしまうことが考えられています。

そもそも、「ロボット」とは、チェコ語で強制労働を意味する「robota(ロボッタ)」という言葉と、スロヴァキア語で労働者を意味する「robotnik(ロボトニーク)」という言葉がもとになった言葉です。そして「ロボット」という言葉が初めて使われたのは、チェコの作家カレル・チャペックが手がけた戯曲『ロボット(R.U.R)』です。作中で描かれる「ロボットに仕事をさせることで労働から解放された人々」は、まさに私たちが憧れていた予想図でしょう。

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『ロボット(R.U.R)』に登場する社会は理想的にも思えますが、実際は労働が不要となったことで人間は文字通り指一本動かせないほどに堕落してしまいます。そんな中、ロボットたちが反乱を起こし、世界を支配するという最悪の展開に……。

カレル・チャペックがすでに予言していたような世界にならないためにも、人間は自らの役割を果たしつつ、ロボットとも、手を取り合って共存していく必要があります。

 

“AI”

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人間の頭脳が行っているような知的な作業を、コンピューターに行わせる技術のこと。

近年、“AI(人工知能)”の発展が著しいことがメディアによって報道されています。

もともとAIはデータ分析や言語処理といった目的で使われることが主でしたが、最近ではAIに絵や小説を創作させることも珍しくありません。実際に第3回星新一賞では“AI”が創作に関わった作品が1次審査に通過しているなど、さらなる動向が注目されています。

SF作品においても、古くからAIは定番の題材です。ただ、ロボットと同様にそれは人間にとって有益な存在であるだけでなく、人類の脅威として反逆を起こす存在としても描かれています。

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ロバート・A・ハインライン『月は無慈悲な夜の女王』は、圧政に苦しむ月世界植民地が地球政府に対し独立を宣言する物語。月側の勢力には、意思を持ったコンピューターのマイクが登場します。このマイクには、月世界に関する仕事を行ううちに知性を得た経緯があり、ユーモアのセンスさえも持ち合わせているというユニークなキャラクターです。

近年は“AI”が「無下に扱ってきた人間に対抗しようとする」、「高い知識を生かし、人間の存在を脅かす」といった悪者として描かれることも多いですが、扱い方によっては、良い友人のような存在にもなります。それを念頭に置いておけば、AIは私たちにとって最良のパートナーとなりうるはずです。

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“ファーストコンタクト”

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地球外生命体との最初の関わりを指す言葉。文化人類学用語「ファーストコンタクト」が由来。

みなさんは、火星人と聞いたときに、「頭が大きく、手が細いタコのようなもの」をイメージするのではないでしょうか。このイメージは、H・G・ウェルズの『宇宙戦争』の影響が大きいとされています。地球侵略を目論む宇宙人たちを戦う物語は、圧倒的な戦力を前に抗おうとする人類の結束力が感じられるものとして昔から人気があります。

その一方で、人類に対して純粋な興味を持ち、コミュニケーションを取ろうとする地球外生命体を描く作品も少なくありません。テッド・チャン『あなたの人生の物語』は、言語学者、ルイーズが、地球を訪れたエイリアンと意思の疎通を図るために軍から協力を要請されることから始まる物語です。

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現実においても、地球外知的生命体が見つけて解読することを期待し、1977年に打ち上げられたボイジャー探査機に、地球の生命や文化の存在を記したレコード盤(ゴールデンレコード)が搭載されました。NASAによれば2012年に探査機が太陽圏の果てに到達できる見込みであり、ゴールデンレコードが遥か彼方に到達したことが判明しています。いつかそれをもとに、私たちの想像を超える“何か”が地球を訪れる日が来るとしたら、それはまさに“ファーストコンタクト”です。

 

“月旅行”

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月への旅行を行うこと。人類史上初の有人月面着陸は1969年7月にアポロ11号計画にて行われた。

2018年9月、世界初の民間旅行の乗客第1号として、ファッション通販サイト運営会社の社長、前澤友作氏が2023年に月への往復旅行を実施することを公表し、話題となりました。

旅費の詳細は明らかにされていないものの、莫大な金額にのぼることは間違いないとも言われている月への旅行。古くから月旅行はSF作品においても頻繁に描かれるテーマであり、月は人類にとって憧れの旅先だったといえます。

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ジュール・ヴェルヌ『月世界旅行』は、3人の男たちがあらゆる困難を乗り越え、月を目指す作品です。

彼らが月へ行く方法は、なんと彼らが乗り込んだ砲弾を巨大な大砲で垂直に打ち上げるというもの。荒唐無稽のように思えますが、執筆された当時としては最新の科学技術や知識が用いられており、後の人類初の月への上陸を予言していたとも言われています。

依然として費用面や技術面において、民間での月旅行はまだまだ遠い存在。しかし、宇宙技術がこのまま革新を続けていけば、いずれ私たちも「今度の休暇は月旅行に行こう」と気軽に計画できるようになるかもしれません。

 

“軌道エレベータ”

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地上と宇宙をつなぐ輸送機関“軌道エレベータ(宇宙エレベータとも)”のこと。

宇宙に行く手段としてイメージされることが多い、ロケット。しかし、ロケットは打ち上げに失敗すれば、多額の資金や時間が一瞬にして水の泡となります。一方で安全に宇宙へ移動するための手段として注目を集めているのが、地上と宇宙を直接つなげた輸送機関、“軌道エレベータ”です。

かつては宇宙と地上をつなぐのに適した素材がなく、“軌道エレベータ”は夢物語でしかありませんでした。しかし、20世紀末に十分な強度を持つ素材、カーボンナノチューブが発見されたことから、一気に“軌道エレベータ”は現実味を帯びたものとなります。

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アーサー・C・クラーク『楽園の泉』は、建設会社の技術部長として働く主人公・モーガンが、“宇宙エレベータ”実現を目指す物語です。

年老いて、残り少ない人生を宇宙エレベータの設計に捧げようとしたモーガンは、エレベータ設置を検討している場所に、長い歴史を持つ寺院が建っていることを知ります。人類の発展を促す科学か、それとも人類がこれまで信じてきた神か……。軌道エレベータという壮大な夢を追い求めるモーガンの姿に、読者は深く感動させられることでしょう。軌道エレベータ設計に必要な条件や技術を含め、フィクションとノンフィクションのバランスが魅力的な1冊です。

 

“タイムトラベル(時間旅行)”

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通常の時間の流れとは別に、過去や未来へ自由に行き来すること。現在の技術では理論的に不可能だと考えられている。

時間を好きに行き来できる“タイムトラベル”ものは、SFの定番ジャンルです。しかし、主人公が過去に行くパターンの作品には“タイムパラドックス”という問題が生じます。たとえば自分が殺されることを知った登場人物が、過去に行って逆に犯人を殺してしまえば、本来の「自分が殺される」という時間の流れとの矛盾が起こります。この“タイムパラドックス”をいかに読者が納得できる形で解決させられるのかは、SF作家の手腕が問われる点のひとつです。

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タイムトラベルがSFの一大テーマとなった要因を語るうえで、H・G・ウェルズ『タイム・マシン』は避けて通れません。大型の「時間移動装置=タイムマシン」を開発し、自ら実験台として時間旅行に旅立った、科学者の“私”。その行き先は、80万2701年という途方もない未来でした。

“私”は到着した未来を散策するうち、“イーロイ”と名乗る未来人の一団に出会います。知能こそ低いものの、平和で穏やかな生活を送るイーロイ人と触れ合ううち、“私”は未来の世界に隠された真相を知ることとなるのでした。

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また、タイムトラベル作品でよく描かれる現象として、“タイムリープ”、“タイムループ”があります。

筒井康隆の作品『時をかける少女』では、主人公・和子がふとした出来事をきっかけに過去のある瞬間に移動する“タイムリープ”能力を得ますが、これは「時間(Time)」と「跳躍(leap)」を掛け合わせた造語。タイムトラベルと異なり、記憶を持ったままの過去の自分に意識だけがそのまま戻るため、“タイムパラドックス”を起こすことはありません。

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2014年にトム・クルーズ主演でハリウッド映画化された小説『All You Need Is Kill』(著:桜坂洋)は、異星人から殺されるたびに「記憶を保ったまま、出撃前日の朝にループし続ける」主人公の戦いを描いています。主人公が怪現象について周囲と共有できない一方、“タイムループ”を生かして経験を積み続けようと奮闘する……、という独自の設定は、リセットとコンティニューを繰り返すゲームのシステムから発想を得た、と作者は語っています。

ゲームオーバーになったとしても、リセットとコンティニューを選べばプレイヤーそのものに知識は蓄えられたまま。その考え方とタイムループを組み合わせたこの作品は、「ありそうでなかった」という斬新さからハリウッドでも大いに受け入れられました。

同じく“タイムループ”は、谷川流による人気ライトノベル『涼宮ハルヒシリーズ』のエピソード「エンドレスエイト」で登場し、それまでSF作品にあまり触れてこなかった層にも広く知られることとなりました。

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ごく普通の夏休みであったはずが、最後の2週間だけが1万回以上ループし続けていた……という衝撃の展開は、ありふれた夏休みに満足しないヒロイン・ハルヒが元凶となって引き起こしていたことがやがて明らかになります。主人公、キョンは謎の既視感を抱きながらハルヒに付き合わされていましたが、その既視感は何度も同じ夏休みをループして経験していたから、という理由がありました。

このように、“タイムトラベル”を題材にした作品であっても、移動手段や方法によってその表現はさまざま。今後は主人公たちの置かれた状況などから、どんなジャンルにあてはまるのか注目してみてはいかがでしょうか。

 

おわりに

これまで、さまざまな形で未来を描いてきたSF作品。その反面、「なかなかイメージとして画が浮かんでこない」と感じる人も多かったかもしれません。

しかし、SF作品は人の豊かな想像力や発想力こそが魅力のジャンルでもあります。このSF用語辞典を参考に、これまで難解だと思っていた方も、気軽にSF作品に触れてみてはいかがでしょうか。

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