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誰かの手帳、覗き見たくないですか?“他人の手帳”を展示する「手帳類図書室」に行ってみた。

顔も名前も知らない誰かの手帳を手にとって読める、“手帳類図書室”。コレクションした手帳の展示を行う志良堂正史さんに、手帳を集めたことによる発見や今後の展望をうかがうとともに、コレクションの一部をご紹介いただきました。

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では、続いて志良堂さんがコレクションした手帳から、特にユニークな3冊をご紹介いただきます。どのようなことが書き込まれているのか、個性豊かな内容をお楽しみください。

コレクションはここから始まった。ハートウォーミングな内容が魅力の手帳。/【1冊目】

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志良堂:書き込みがあまり見られず、情報量がそれほど多くはない手帳ではありますが、ところどころにある詩的なフレーズや小ネタが光る1冊です。

――「ばあちゃんに彼女つくれって言われた」、「いそげ結婚!!」という言葉から、「持ち主はいい人だったんだろうな」と思わせる力がありますね。

志良堂:絶対いい人ですよね。この手帳は大学生の頃のものだとお聞きしましたが、現在は公務員のようなお仕事に就いて、結婚もされたそうです。お顔は拝見していないのですが、メディアで紹介する旨をお伝えするとき、近況をやり取りするようになっています。

 

圧倒的なインプット量に脱帽!その人の血や骨となったさまざまな記録。/【2冊目】

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志良堂:この手帳は、貼り付けてある美術展の半券や新聞の切り抜きをめくると、日々のスケジュールや食べたものの記録が事細かに書かれています。持ち主はデザイナーとして今も働いている60歳くらいの方ですが、積極的なインプットをしているからこそ、長く一線で活躍できるのかもしれませんね。そんな勝手な想像は、手帳収集の醍醐味でもあります。

――週に1本以上は DVDを観たり、美術展に足を運んだりと積極的にインプットをされている一方、食べたもので食生活や「事務所泊」が集中する時期のスケジュールからは、日常的な姿も垣間見えます。

志良堂:日々の生き方が、なんとなく浮かび上がってきますよね。「事務所泊が続いているのは、きっと納品があったからだろう」、「ていねいな食生活を記録しているけれど、レシートを控えているのかな」とか。そして「この人、この展示に行ったんだ。私も行ったなあ」といったように、読んだ人の記憶を呼び覚ます手帳でもあります。

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そして、こちらも同じ持ち主から買い取った手帳です。さっきのものと合わせて、セットで見るのがいいのではないかと思います。

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こちらはスケジュール帳というよりも、移動した場所や食べ物、心に残った名言が中心ですね。先ほどの手帳には観たDVDのタイトルだけが記載されていましたが、こちらには作品によっては辛口のレビューもあります。

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――毎日しっかりと記録されている食生活の記載を見ていると、かなり几帳面な人という印象がありますね。

志良堂:飲み会と思わしき日は酔いが覚めてから食べたものの写真をもとに書くのか、記憶を頼りに書くのか。それともその場で書くのか……そんな想像も楽しいです。

――ポケットやカバンに入るサイズのものなので、取り出してすぐに書いていたのかもしれませんね。名言集のノートは1冊でもう作品として成り立っていますし。先ほどの手帳と合わせると、新たな一面が見えてきそうです。

志良堂:大きさや冊数を踏まえると、補助といった印象を受けてしまうかもしれません。ただ、同一人物による大小の手帳があるのは、面白いのではないかと。食べ物やインプットした美術展やDVDのログは、その人のもとになった要素の記録です。そんな面白さを、「解釈の会」を通して見つけたいですね。

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さまざまな構想が詰まったアイデアノートと、突然のプライベート【3冊目】

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志良堂:こちらは美大生から買い取った、複数の手帳です。知らない単語がどんどん出てくるような、ゴチャゴチャしたところが見所の1冊です。この方のように、「掃除をしていたら出てきた」と学生時代のものを一度に数冊お持ちいただくことも珍しくないんですよ。

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――落書きしているかと思えば次の日の予定が書いてあったり、話題がどんどん移り変わるのがまるでSNSのようですね。クリスマスイブの予定にある、「彼氏と品川プリンスホテルでデート」なんて予定がうきうき書かれているのも、学生らしいというか。

志良堂:実はそれ、買取の際に伝えられたのですが友達が勝手に書いたものらしいです。作品のアイデアばかりだったここまでの手帳を見ていると、たしかに突然好きな人のことを書くのは違和感があるんですよね。筆跡も異なりますし。デジタルと違い、筆記用具の種類や筆跡など、受け取れる情報の多様性が体験できるのも手帳の魅力です。

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――なるほど。手帳はこれまで関わってこなかった人の姿が見えてきますね。

志良堂:人のプライベートというと、普段はどうしても身近な人のものしか見られません。しかし、それが手帳であれば100年前の人とかじゃなく、一緒に同じ時代を生きている人のことを客観的に見られる。手帳には、そんな面白さがあるのかもな、と思います。

 

<了>

 

【手帳類図書室 詳細】

ギャラリー:Picaresque(ピカレスク)
〒151-0053
東京都渋谷区代々木4-54-7

毎週土日 11:00〜18:00
※時期により営業日時は変動。

利用料金 1時間500円

手帳類図書室ホームページ:https://techorui.jp/

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