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【座談会】異なる世代のファンが「松本清張」を語る

骨太のミステリーで知られる松本清張。「昭和の顔」とも言える彼の作品を昭和生まれと平成生まれのファン3人が語りつくします。

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松本清張といえば映像化!ファンだからこそ言いたい、あれやこれ。

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犬:ちなみに、清張といえば何回もドラマや映画で映像化されていますよね。

堀越:私が最初に見た「鬼畜」を含め、昔のものはどれも良かったです。最近のものはどれも現代的にアレンジされてしまうんですよ。だって、作品が発表された当時は「この時代だったら連絡をするのに電話を探さなければ」、「隣の商店に行って電話を借りなければ」っていう時代なのに、スマートフォンを持っていますからね!(笑)希望をいうのであれば、元の時代設定のまま映像化してほしい!

青野:僕は『砂の器』をドラマで観たんですけど、ミステリーの部分は骨太ですし、いろいろな要素がある分、どこかにクローズアップしたらよりわかりやすくなるので、松本清張の作品は映像化しやすいと思います。

犬:つまり、本格ミステリー、人間の悲劇、権力構造との戦い、と様々な軸でドラマを打ち出せるということですね。原作にはその全てがあるけど、どれか一つにフォーカスすれば映像作品としてまとめやすい。娯楽としての映像化のしやすさ、翻訳しやすさというものが松本清張の作品にはあるということですね

 

旅館に黒電話?平成生まれのファンが松本清張の作品で知る昭和感

犬:平成生まれの青野くんは、松本清張の作品のどういったところから昭和の雰囲気を感じますか?

青野:旅館などですね。昭和っぽいというか情緒があるところです。

犬:それに、松本清張というと何故か黒電話のイメージがありますよね。おそらく映像のせいだと思いますが。

堀越:確かに!「電話が無いから商店で借りる」なんてことも今の人は分からないわけだよね。

 

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青野:僕はそういう昭和の風物について松本清張の作品で知ることもあります。文章そのものは旧字体ではないんですが、出てくる言葉やアイテムが具体的にイメージできないこともあるので……そんな時はGoogleで検索していますね。Googleを昭和と平成の翻訳機のように使っています。

犬:電車が出てくるような昭和のミステリーの背景として、例えば横溝正史の「八つ墓村」もそうですけど、電車が都市的な文化とローカルで土着的な文化を結んでいたところがあります。その一方で、その両者の不連続性が際立つというか、電車では繋がっているけれど、文化が繋がっていない、そんな地方と都会の断絶があった。閉塞的な地方社会がある一方、都会で働くビジネスマンたちの世界があって。そういう地方と都会という関係って、わりとイメージしやすい形でしたよね、昭和の時代は。でも今は、地方の現実として何があるかといえばイオンなどの大型ショッピングモールで。要は地方が均質化している

青野:そういうのが現代では描きにくいですよね。それはやはり、インターネットが全てをフラットにしてしまったということだと思います。

 

インターネット時代にこそ、松本清張が必要だ!

堀越:現代と松本清張の当時の作品を比べた時、やはり違うなと思うのは情緒があるか無いかですね。人と人、男と女の関係も今よりずっと純粋で、濃密でした。

青野:極端な話、男女のもつれなんてLINEでブロックして終わりになってしまうかもしれませんし。ストーリーにもならないっていう(笑)ドロドロになる前に切って終わり。

堀越:ドロドロしたとしても、浅いし、軽い。急に「別れ話になったから刺してしまえ」なんてことになりますよ。

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犬:人間の背景にあるストーリーが、青野さんの仰っているように「フラットになってしまった」から、殺人に至るまでの動機が一気にジャンプしてしまっている、唐突な印象を受けると。それでは、昭和と平成の時代比較にもなったということで、21世紀の今、お二人が改めて清張をお勧めする理由を教えてください。

堀越:ですね。壮大だけど、愛もカルマも背負いこんでいるという点で。

青野:今では「愛」も「いいね!」になってしまっていますもんね。僕はそこに愛と共に情緒があるからこそ、清張をお勧めしたいです。

犬:お二人が仰ったことを裏側から捉えれば、人間関係の中のドロドロとした面倒くさい部分をどうやって回避するか?という問題意識のもとに平成という時代が発展したのでしょうね。「深くて重い」情緒が切り捨てられるようになった背景にもそれ相応の理由があったはずで、昭和を懐かしむのは簡単だけど、その時代特有の生きづらさに後から気づくのは容易なことではない。もしそれを知りたければ清張作品を読め!というのが僕からの提案でしょうか(笑)

 

座談会を終えて

30年近くのあいだ本に深く携わっていた堀越さん、平成生まれとしてインターネットを活用している青野くん、作品を学術的な視点から読み解く加勢 犬先生、「松本清張は面白い!」という思いを除けば世代も分野もバラバラな3人による座談会、いかがでしたでしょうか。

 

様々な角度から松本清張の魅力を浮き彫りにする今回の座談会が成立したのも、20代、30代、40代と世代の異なるファンが集まることができたからこそ。良質な文芸作品が世代から世代へと読み継がれていくことによって、新しい面白さが次々と発掘されていくのだということを、改めて感じさせてくれる座談会となりました。

「松本清張の名前は聞いたことあったけど、実際に本を読んだことはない」そんな読者の方は是非、その作品を手にとって昭和文芸の“凄み”を体感してみてくださいね。

 

 

【編集部からお知らせ】

P+D BOOKSでは、松本清張の作品をペーパーバック&デジタルで続々復刊中!

2016年4月には、日航機墜落事故の真相を解明するドキュメンタリータッチの長編小説、『風の息』(下巻)が復刻。

松本清張の代表作、「日本の黒い霧」に続き、記録的手法を導入して真正面から挑んだ、“日本の暗部”を探求する名作、是非ご一読あれ!

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