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昭和文芸を代表する流行作家『立原正秋』-直木賞受賞までの軌跡-

2016年12月。昭和文芸を代表する稀代の流行作家、「立原正秋」。その史上初の電子全集が配信開始されました。立原正秋の生い立ち〜芥川賞受賞までの軌跡をまとめます。

立原正秋電子全集の注目点、魅力をご紹介!

自身の生原稿など、お宝が沢山!

電子全集の目が離せない特徴として、長女・立原幹氏により毎回、その回の注目作品や時代背景等のテーマに沿って執筆される回想録「東ヶ谷山房 残像」が掲載されるほか、立原正秋研究の第一人者である武田勝彦氏の評論、評伝等、立原氏の作品に関連したエッセイがふんだんに掲載されます。各巻に、立原氏自身の生原稿(中には貴重な未発表作品の書きかけ原稿も)やスナップ写真などの「お宝」資料が毎号付録として収録されています。

立原の愛した、鎌倉の風景も

その他にも、立原正秋が終生愛した街・鎌倉を、作品シーンに沿って、孫・立原継望氏撮影の写真でカラフルに紹介するという特典がつきます。第1回では、立原氏の墓がある鎌倉瑞泉寺とその周辺、第2回では多くの作品の舞台となった鶴岡八幡宮や小町通り等の鎌倉駅周辺を立原氏の作品の一部抜粋と併せ、幹氏の解説、継望氏撮影の美しい写真との三重奏で綴られていくのです。

流鏑馬

電子全集内に、立原正秋の大ファン『吉本ばなな』が寄稿

自身が立原正秋のファンであり、多大なる影響を受けているという吉本ばなな氏が「立原正秋と私」というオマージュを第1回に特別寄稿しています。

「立原正秋の世界は、私が帰っていく青春の場所、永遠にうつろわない故郷のような世界だ」

と、吉本氏は語っています。吉本氏によると、立原作品には、人生そのものに消えない光を投げかける「コード」があって、その「コード」反応するテーマを持ったもの(つまり吉本氏)が読むと、ひとめでわかるようになっている、とのこと、詳細は是非とも第1回収録の寄稿文をお読みください。吉本ばななファンにとっても必読の一文です。

 

立原正秋全集、各巻の配信予定

第1回(12月11日)
冬の旅・・・水仙
少年非行をテーマとした大ベストセラー『冬の旅』ほか3編
『冬の旅』『ちぎれ雲』『水仙』『空蝉』

第2回(1月8日)
鎌倉の恋人たち
鎌倉を舞台に懸命に生きる若者たちの青春を描く
『恋人たち』『はましぎ』『流鏑馬』『鎌倉夫人』

第3回(2月12日)
短編集Ⅰ 他人の自由
キリスト教の影響も滲ませる初期短編11篇
『他人の自由』『血の畑』『聖クララ村』『美しい村』etc.

第4回(3月11日)
残りの雪 化粧坂の別れ
古都に美しく燃え上がる男女の宿命的な愛を描く
『残りの雪』『山居記』『夏のことぶれ』

第5回(4月22日)
美について エッセイ&詩編
立原が傾倒した日本の中世文化。庭園、美術、陶芸
『日本の庭』『美術雑篇』『紫匂ひ』『詩集・光と風』

 

おわりに

立原氏の作品の多くが、鎌倉、京都や奈良と伝統ある土地を舞台して交わされる男女のやりとりを主題としていながら、荒唐無稽に陥らなかったのは、立原氏自身の美を求める心が切実だったからでしょうか。

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立原正秋氏は、日本の伝統美を追求しつつ、愛と情念の世界を、光と冬の風景の中に展開してきた作家でした。
そして、2016年1月6日は立原氏の生誕90年の日となります。

>>立原正秋電子全集特設サイトはこちら

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