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【検証】サブカルの殿堂、ヴィレッジヴァンガードで昭和文学は売れるのか?

おもしろ雑貨の取り扱いなどで知られる「遊べる本屋」、ヴィレッジヴァンガードで、ディープな昭和文学は売れるのでしょうか?P+D MAGAZINEが検証してみました。

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文芸コーナーは縮小しつつあるが……

さて、ヴィレッジヴァンガード下北沢店の主な利用層は10代〜20代の若者たち。なかでも、バンドマンの聖地・下北沢だけあって、音楽関連グッズの売れ行きが目玉だそう。

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(長谷川)「CDが売れないと言われるようになってしばらく経ちますし、下北沢店でも実際に音楽コーナーを縮小したことが過去にありました。ただ、CDだけ売ろうとすると無理がありますが、バンドやアイドルの関連グッズはブームもあってよく売れるんですね。実際に、うちの店舗はでんぱ組.incのツアー物販とコラボしたオリジナル商品を展開していますし、下北沢発のバンド、KEYTALKとコラボしたリュックサックは飛ぶように売れているヒット商品です。」

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そんな購買傾向がある中で、気になる文芸作品の売れ行きは……?と探ってみれば、やはりと言うべきか、全体的に下り坂の傾向に。ここ4年のあいだに20棚近くの書籍棚がなくなったといいます。

これには長谷川さんも悔しげな表情でしたが、そこはプロの販売員、ただでは転びません。例えば、リーダーである松永天馬さんが小説家デビューも果たしたバンド、アーバンギャルドのサイン会実施に合わせて、メンバーの勧める20冊の選書コーナーを設けるなど、まさに「絡め手」とも言える戦法で文芸作品の売り込みをしているといいます。


「好きな人が好きなものは好きになる」……まさに“いいね&シェア”の時代に合わせた売り方ですね!

 

文芸なくしてヴィレッジヴァンガードなし

ここで、この企画の前提となっている、「ヴィレッジヴァンガードで昭和文芸は売れるのか?」という疑問に立ち返りましょう。

世間一般からすれば、「ヴィレバンって、“おしゃれなドンキ”みたいなものなんじゃないの?」というイメージを持っている人もいるかもしれません。しかし、実際に書籍担当として売り場を作っている長谷川さんには「文芸なくしてヴィレッジヴァンガードなし」という確固たる思いがありました。

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(長谷川)「正直、うちから書籍をごっそり抜いてしまえば、ドンキホーテさんと大して変わらない客層になると思います。ただ、私たちは“良いものは良い”という思いで売り場を作っていますし、その“良いもの”の中にはもちろん、過去の文学作品が含まれています。もしも文芸コーナーに置かれるのが、キャピキャピした映像化作品の原作小説だらけというような事態になれば、それこそ従来のファンからすれば“ヴィレッジ終わったな……”ということになると思います。」

実際に、ヴィレッジヴァンガード下北沢店の文芸コーナーを覗いてみれば、お堅いイメージのある文学と、お客さんとの距離を一気に縮める工夫がされていました。

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例えば、時代に警鐘を鳴らす海外のディストピア文学に、「有名ミュージシャンの太鼓判」POPを書いていたり……。

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あの又吉直樹が芥川賞を受賞する前に、本人に直接選書してもらった(!)文芸作品のコーナーがあったりと、ライト層からディープな文学通までを“そそる”ための工夫がいたるところに!

そして、今回のP+D BOOKS とのコラボ棚が設置されたのは、

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文芸コーナーの目玉、又吉コーナーの手前にある一番の“アタリ”の場所!

本来であれば、もう少し目立たない所で展開していたであろう昭和文芸フェアですが、「一回仕掛けてみないとお客さんの反応はわからない」という長谷川さんの判断により、この位置に置かれました。

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(長谷川)「うちのお客さんは本当に多種多様で、文芸好きだけが文芸コーナーに立ち寄るかといえばそうではなくて、雑貨にしか興味がないような中学生の女の子がこのコーナーにフラッと足を踏み入れてしまうというようなことも多々あるんですね。そういう偶然が一つのビジネスチャンスになっているので、そういうお客さんをいかに“術にはめる”のかが、私たちスタッフの腕の見せ所だと思います。」

長谷川さん……アンタ、“漢”だよ!!(感涙)

 

 

(次ページ:昭和文芸ダービー、長谷川さんの1位予想はあの◯◯!

 

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