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【純文学を追求】吉行淳之介のオススメ作品を紹介!

候補となった文学作品に真摯に向き合いながら、自身の著作にも決して手を抜くことなく純文学を追求し続けていた吉行淳之介。雑誌編集者や作家として活躍した吉行淳之介の文学作品をご紹介しています。

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吉行淳之介といえば、純文学から軽妙なエッセイ、数々の著名人との対談まで幅広い活動で知られている作家です。文学賞の選考委員も多くつとめており、候補となった文学作品に真摯に向き合いながら、自身の著作にも決して手を抜くことなく純文学を追求し続けていました。雑誌編集者や作家として活躍しつつ、女性関係でも浮名を流した、人間味ある吉行淳之介の文学作品をご紹介します。

原色の街・驟雨(げんしょくのまち・しゅうう)

原色の街・驟雨
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101143013

戦後を生きる娼婦と男たちとの関係から、肉体と精神、社会と人間といったテーマを描き出す、吉行淳之介の初期作品です。第31回芥川賞を受賞した表題作『驟雨』では、1人の娼婦に深く思いを寄せるようになった男性が、つねに他人にさらけだされる彼女の身体と、その中にある鋭い知性との間で戸惑い迷う姿が、鮮烈な文体で描写されます。娼婦目線の作品である『原色の街」』とあわせて読むことで、性を通して人間の生を考えさせられる一冊です。

見知らぬ女がやすやすと体を開く奇怪な街。空襲で両親を失いこの街に流れついた女学校出の娼婦あけみと汽船会社の社員元木との交わりをとおし、肉体という確かなものと精神という不確かなものとの相関をさぐる。

夕暮まで

夕暮まで
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/4101143110

22歳といううら若き女性と、中年男性との関係を描いた物語です。自身の「処女」にこだわりながら、処女喪失以外の肉体関係は受け入れる女性と、妻子持ちながら自身の欲望に忠実な中年男性。赤裸々に表現される2人の性愛は一見センセーショナルですが、そこに底流する精神のさまよいや交流が突きつけられるからこそ、この物語は、人間とは何かというテーマを深く考えさせられる作品になっています。第31回野間文芸賞を受賞。中年男性と若い女性の愛人カップルを指して、「夕暮れ族」という流行語も生まれました。

自分の人生と“処女”の扱いに戸惑う22歳の杉子に対して、中年男の佐々の怖れと好奇心が揺れる。二人の奇妙な肉体関係を描き出す。

砂の上の植物群

砂の上の植物群
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/410114303X

男女の肉体関係と、登場人物それぞれがとらわれる精神的呪縛や苦悩とを、濃密な筆致で表現した作品です。セールスマンの男性が出会った、18歳上の女性。彼女との倒錯した性関係がエスカレートしていく中、男性は自身の存在への満足感と嫌悪感という両極の感情を味わいます。それらの感情すら、さらなる性的充足への手段へと変え、肉体関係にのめり込んでいく男女。いくら交わろうとも解消されない孤独感が、現代人の胸を打つ一冊です。

常識を越えることによって獲得される人間の性の充足! 性全体の様態を豊かに描いて、現代人の孤独感と、生命の充実感をさぐる。

暗室

暗室
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B000J99OY0

第29回谷崎潤一郎賞を受賞した作品で、他作品と同じく、性愛の根底にある孤独について深く切り込んだ作品です。幻想的で不気味な挿話が、淡々と脈絡なくつなげられていくなかで、主人公の男性作家と女性たちとの不安定な生活がさらけ出されていきます。吉行淳之介特有の、硬質で冷静な文章によってあらわにされる彼らの生活や感情は、性愛だけでなく人間の生や死といったテーマまでを突きつけ、読むものの心を捉えて離さない作品です。

屋根裏部屋に隠されて暮す兄妹、腹を上にして池の底に横たわる150匹のメダカ――脈絡なく繋げられた不気味な挿話から、作家中田と女たちとの危うい日常生活が鮮明に浮かび上る。性の様々な構図と官能の世界を描いて、性の本質を解剖し、深層の孤独を抽出した吉行文学の真骨頂。「暗い部屋」の扉の向こうに在るものは……。

焔の中(ほのおのなか)

焔の中

戦時中に青春時代を過ごした吉行淳之介の、半自伝的小説です。二度にわたり召集令状を受けた吉行淳之介も、戦争を間近で感じながら生きた1人でした。そのような閉塞した境遇にありながら、どこか客観的に戦争を見つめつつ、友人関係や性への欲望、肉親への親愛など青年らしい感情も大いに抱きながら生きた青春時代。吉行淳之介の内面に深く迫ることができる、自伝としても戦争体験記としても重要な作品といえます。

狂おしいほどの閉塞感の中にあっても、10代から20代の青年らしい友人との、他愛のない会話、性への欲望、反面、母への慕情など巧緻な筆致で描かれる。

終わりに

吉行淳之介のオススメ作品は如何でしたか?

途中でご紹介した「ほのおの中」は、P+D MAGAZINEにてデジタル、紙の書籍で発売中です。

ためし読みもこちらからチェックできますので、是非、吉行淳之介の純文学を堪能していてください。

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