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【昭和の先駆者的作家】結城昌治のオススメ作品を紹介

「ハードボイルド小説の先駆者」といわれる結城昌治。ユーモアミステリも多く、文学賞受賞作品や著作の数も多い結城昌治のオススメ作品をご紹介いたします。

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ハードボイルド小説の先駆者と呼ばれる結城昌治。ミステリーにユーモアを取り入れるなど、新しい作風で人気を集めました。早稲田専門学校法律科を卒業後は、東京地方検察庁に事務官として就職しますが、1年ほどで肺結核を患います。1949年から1951年まで療養生活を送っていた時に、推理小説を読み始めるように。1959年に、『エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン』日本版の第1回短篇コンテストに応募した「寒中水泳」が入選し、日本人作家の作品としては初めて作品が掲載されることになります。翌年には東京地方検察庁を退職して専業作家となり、その後は数多くの推理小説を発表していきます。

白昼堂々

白昼堂々_書影
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B00NHF7864

1966年に週刊朝日に連載され、翌年に単行本が出版されました。スリとして名を挙げた主人公が、集団万引きのアイデアを思いつき、仲間を集め東京のデパートで実行する作戦を練るというストーリー。集団万引きの鮮やかな手口やテクニックには、なるほどと感心してしまいます。また彼らを捕まえようとする警察との攻防も実に巧妙です。やりとりにはユーモアもふんだんに盛り込まれ、楽しみながら一気に読める犯罪小説となっています。この作品は2度も映画化されており、そのストーリーの面白さゆえと言えるでしょう。

筑豊の廃坑の村。スリを生業とする人々の住むその村に、デパートの保安係をしている昔の仲間・銀三が現れて、もっと安全で割りのいい仕事―デパートの集団万引きを勧めた。

ひげのある男たち

ひげのある男たち_書影
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B00NHF7864

古いアパートで発見された若い女性の変死体。そしてその捜査線上に上がってくるのは、なぜかひげの男ばかり。現場近くで目撃されたひげの男や、被害者と一緒にいるところを目撃されたひげの男などなど。ひげの男の謎、巧みなミスリードやユーモアのある会話などでミステリーファンにも人気の作品となっています。1959年に出版されたので50年以上前に書かれた作品ですが、古さを感じさせず、今でも違和感なく読むことができます。

古ぼけたアパートの一室で発見された、若く美しい女性の変死体。事件につきまとう、ひげのある男のいくつもの影に、捜査に乗り出した郷原部長刑事たちは翻弄され続ける。

ゴメスの名はゴメス

ゴメスの名はゴメス_書影
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B00NHF7864

舞台はベトナム戦争直前のサイゴン。日本の商社に勤める主人公がスパイ作戦に巻き込まれていくというストーリーです。ベトナムの温度や空気をリアルに感じられる描写のすばらしさが臨場感を高めます。そして最初から最後まで読者を惹きつけて、そのまま一気に読ませる文章力。手に汗握る、ハードボイルド小説として高い評価を得ている作品です。

失踪した前任者・香取の行方を探すために、内戦下のサイゴンに赴任した坂本の周囲に起きる不可解な事件。自分を尾行していた男が「ゴメスの名は…」という言葉を残して殺されたとき、坂本は、熾烈なスパイ戦の渦中に投げ出されていた。

軍旗はためく下に

軍旗はためく下に_書影
出典:http://www.amazon.co.jp/dp/B00NHF7864

1970年に直木賞を受賞した作品。陸軍刑法に背いたとして処刑された兵士の物語です。複数の兵士が登場し、「敵前逃亡・奔敵」「従軍免脱」「司令官逃避」「敵前党与逃亡」「上官殺害」の5つのストーリーで構成される短編集のような形になっています。なぜ彼らは罪に問われ処刑されなければならなかったのか。関係者に取材を重ねて書き上げられた本作では、戦争についてのやるせない作者の思いが伝わってきます。

陸軍刑法の裁きのもと、祖国を遠く離れた戦場に処刑された帝国軍人たちの知られざる真実と非情を追及した力作。

志ん生一代

志ん生一代(上)_書影

人気の落語家、5代目古今亭志ん生の一生を描いた自伝的小説です。15歳で家を飛び出し、20歳で三遊亭小円朝に弟子入り、その後はしばらく売れない時期が続き、博打による借金で苦労する毎日でした。ギャンブル、酒、借金という志ん生の破天荒な生き様と、結城昌治のユーモアセンスのある文章がよくマッチしています。無茶苦茶でありながらどこか憎めない志ん生のキャラクター、さらに師匠や志ん生を支え続けた妻など、魅力的な彼の周りの登場人物たちもストーリーを盛り上げます。余人にはマネできない昭和芸人の人生が描かれている作品となっています。

「一人前のはなし家になるまで帰らないつもりでいたんだ」十五で家出し、二十歳で弟子入り。落語への情熱は本物だったが、十代から覚えた飲む打つ買うの三道楽はやめられない。師匠を怒らせ、仕事をしくじり、借金はかさんでゆく…。

最後に

1963年には、『夜の終る時』で日本推理作家協会賞を受賞し、1985年には『終着駅』で第19回吉川英治文学賞を受賞しています。文学賞受賞作品や著作の数も多く、常に新しい手法や作風で時代の先端を行っていた結城昌治の作品は、今でも色あせることなく引き込まれる作品ばかりです。

今回ご紹介した「志ん生一代」を始め、結城昌治の作品はP+D BOOKSで絶賛発売中です。試し読みも公開しておりますので、是非チェックしてみてください。

『志ん生一代(上)』の試し読みはこちら
『志ん生一代(下)』の試し読みはこちら

死者におくる花束はない_書影
『死者におくる花束はない』の試し読みはこちらから

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