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『沖縄現代史』

与那原 恵●ノンフィクションライター

複雑に絡み合ってきた保守・革新の主張

沖縄現代史

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櫻澤 誠著

中公新書

920円+税

沖縄の米軍普天間飛行場の辺野古移設問題の先行きが見えない。翁長雄志知事による埋め立て承認取り消し処分に対抗して、国は撤回を求める訴訟を起こした。これに対して県は抗告訴訟を起こす構えを見せている。

過酷な沖縄戦、二十七年間に及んだ米軍統治、その結果としての基地の過重負担。そうした歴史的体験による本土との温度差が顕在化して久しい。だが日本政府は基地問題を沖縄の中に閉じ込める姿勢を崩さず、反発は高まっていった。その中で翁長知事は保革を超えた「オール沖縄」のシンボルとなり、支持を集めたのだ。

 

戦後沖縄の基地問題を中心に、経済振興政策、沖縄の文化・歴史的アイデンティティの確立など、多面的にとらえたのが『沖縄現代史』である。詳細な記述から浮かび上がるのは、戦後の日米関係を背景に沖縄が抱えた矛盾、政治家たちの苦悩の足跡である。

 

戦後沖縄の保守・革新の主張は複雑に絡み合ってきた。保守は基地容認派、革新は基地反対派という単純な図式ではとらえられない。例えば、一九七八年から十二年間にわたって保守県政を維持した知事、西銘順治は国との緊密な連携をもたらした。その一方彼は、米軍基地の返還・再開発を掲げ、わずかながらも進展させた実績がある。また首里城復元事業などにも着手し、今日の琉球文化再評価の機運の素地を作ってもいた。

 

さかのぼれば琉球王国時代、大国・中国と日本との狭間で苦難の道を歩んだ歴史がある。一六〇九年の摩・島津氏の侵攻後に混乱に陥った琉球は、日本の経済圏に包摂されながらも、琉球文化を前面に押し出して王国再興を図り、したたかな外交技術を駆使して近世琉球を生きのびたのだ。

 

王国崩壊後の近代から戦後、そして現在も沖縄内部には多様な意見が対立してきた。だが、日本にとって沖縄とは何か、を問いつづけてきたことは一貫している。今日の「オール沖縄」が醸成された背景と、沖縄人の思索の蓄積を日本政府は正視していない。

(週刊ポスト2016年1.1/8号より)

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