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『労働法改革は現場に学べ!これからの雇用・労働法制』

岩瀬達哉●ノンフィクション作家

雇用環境と社会保障制度の変革を前に

労働法改革は現場に学べ!これからの雇用・労働法制

労働法改革

小嶌典明著

労働新書

800円+税

経済がグローバル化し、少子高齢化に歯止めがかからないなか、2016年は、雇用環境に加え医療、年金といった社会保障制度でも変革の年となる。

 

使い捨てが当たり前だった「非正規の職員・従業員」は、18年から「労働契約の通算契約期間が5年を超えれば、それだけで無期雇用への転換を図らなければならない」と法改正された。これによって極端な場合、若年層のフリーター、主婦パートなどが、常勤雇用者となることができる。

 

非正規にとっての福音は、しかし企業の人事担当者にとっては頭痛の種でもある。この難問に答えてくれるのが本書だ。「今ならば、法の制約を受けることなく」、非正規のなかから、すべり込みで必要な人材のみを採用することができる。その微妙なノウハウに加え、人事評価制度のあり方や組合との団体交渉など、広範な指摘や解説は、目からうろこの連続である。

 

少子高齢化社会では、老人の医療費が増大し、「日本は医療費で破綻する」と言われる。しかしこの言説は、統計数字のカラクリと実態を隠す欺瞞によって生み出されたもの、と喝破したのが『沈みゆく大国アメリカ〈逃げ切れ! 日本の医療〉』(堤未果/集英社新書)だ。「日本は、医療費が実は諸外国と比べてもかなり低く、さらに患者の自己負担率はとても高い国」という。その現実を直視することなく、政府が打ち出す危機感にられていては、医療の質とサービスの低下を招くばかり。「ごく普通の人々の無関心」が、社会に危機をもたらすと本書は警告する。

 

老後生活の頼みの綱である年金についても、同様のことが言える。今後20年間で、年金の給付額は約3割減額されるが、それを補完する手立てを、早くから打っておくことは重要だ。

 

『知って得する年金のもらい方』(磯村元史/プレジデント社)は、“準公的年金”とも言うべき国民年金の付加年金や個人型の確定拠出年金などのメリットを詳述。老後の生活設計には欠かせない一冊だ。

(週刊ポスト年1.1/8号より)

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