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工藤将太郎『入社1年目から差がついていた! お金が貯まる人は何が違うのか?』が説く、納得できるやりくりの方法

誰でもできる生活習慣を丁寧に解説。どうやったらお金が貯まるのかについて、良心的に説いています。経済アナリストの森永卓郎が解説します。

【ポスト・ブック・レビュー この人に訊け!】
森永卓郎【経済アナリスト】

入社1年目から差がついていた! お金が貯まる人は何が違うのか?

お金が貯まる人は何が違うのか_書影

工藤将太郎 著
すばる舎リンケージ 1400円+税
装丁/金澤浩二(FUKIDASHI Inc.)
装画/ユリコフ・カワヒロ

とても説得力があり納得できる「やり繰りの方法」

とても良心的な本だと思う。どうやったらお金が貯まるのかについて、誰でもできる生活習慣を、ていねいに解説しているからだ。
ある程度のお金を持つことは、とても重要だ。貯蓄がないと、いつも資金繰りに悩まされるし、ローンやリボルビング払いの利用で、金利の支払いに追われることにもなる。著者は、お金を貯める手段として、給与から天引きでお金を貯める「自動貯蓄」を推奨している。この指摘は重要だ。ケインズ経済学の根幹は、消費関数の安定性だと言われている。つまり、人間と言うのは手元にお金があると使ってしまう生き物なのだ。それは、古今東西変わらない人類の性だ。だから、消費した後にお金を貯めるのでなく、先に貯蓄しなければ、お金は貯まらないのだ。
先に貯蓄をして、残りのお金でやり繰りをする。そのとき、著者は節約を前面に打ち出さない。もちろん無駄遣いをやめるべきだとは言っているが、好きなことには思い切ってお金を使うべきだという。好きなことにお金を使うためだったら、やり繰りも真剣になるのだ。やり繰りの方法について、著者は具体的なアドバイスをたくさんしている。例えば、家計簿をつける、財布を短期、中期、長期、緊急予備資金の4つに分ける、クレジットカードは1枚、ポイントカードは2枚までとするなどだ。私自身、クレジットカードは40枚以上、ポイントカードは100枚以上持っているから、耳の痛い話なのだが、本書を読むと、とても説得力があり、納得できる。
さらに本書の一番よいところは、運用で一攫千金のような話をしないことだ。投資にはリスクがつきまとう。だから各人のリスクの許容範囲のなかで、投資を決めるべきだという至極まっとうな話をしているのだ。
本書は、おそらく若者に向けて書かれている。確かに、若いうちから貯蓄を始めたほうが有利なのは間違いないが、本書は中高年にも有用だと思う。お金の生活習慣を変えることは、長い老後を乗り切るためにも重要だからだ。

(週刊ポスト2017年7.7号より)

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