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【著者インタビュー】岸田雪子『いじめで死なせない 子どもの命を救う 大人の気づきと言葉』

日本テレビの記者として、長年いじめの問題を取材してきた岸田雪子さんによる渾身のルポルタージュ。子どもから発せられる「SOS」のサインや、それをキャッチした親がどう行動したかなど、具体例を紹介しながら、大人ができることを探る一冊です。

【大切な本に出会う場所 SEVEN’S LIBRARY 話題の著者にインタビュー】

毎年約300人の小中高校生が自ら命を絶つこの国で、何が起きているのか。長年の取材で解き 明かした渾身ルポ

『いじめで死なせない 子どもの命を救う 大人の気づきと言葉』
いじめで死なせない 子どもの命を救う 大人の気づきと言葉 書影
新潮社 1512円

〈子育てでは、知っているのと知らないのとでは大きく違ってくることがある。例えば「二歳のころはイヤイヤ期とも呼ばれ、反抗するものだ」と知っていれば、そのころの子どもが何でもかんでもイヤ!と言っても、驚かずにいられる。いじめの対応にも似たところがあり、親が知っていれば、いじめ被害も、加害行為も減らすためにできることがあるはずだ〉(「はじめに」より)。悲劇を生まないために大人にできることを取材を通して明らかにする。

岸田雪子
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●KISHIDA YUKIKO 1970年生まれ。早稲田大学法学部を卒業、東京大学大学院情報学環教育部を修了後、日本テレビに入社。報道局社会部文部省(現文部科学省)担当記者、政治部自民党担当記者を務めた後、ディレクターとして『真相報道バンキシャ!』『NEWS ZERO』の立ち上げにかかわる。2004年より報道キャスターとして数々の番組を担当。『情報ライブ ミヤネ屋』で宮根誠司との掛け合いも話題に。’17年からは再び文科省記者クラブを担当。現在は社長室に所属。

いじめは子どもだけで解決できる簡単な問題ではないと知ってほしい

日本テレビの記者として長年、いじめの問題を取材してきた岸田さん。20代のとき社会部記者としていじめによる少女の自殺を取材したことがきっかけで、その後、政治部に異動したり、報道キャスターとして現場を離れたりしたあいだも、時間を見つけては学校やフリースクールを訪ね、子どもたちの声を聞いてきた。
「いじめの被害を受けた子どもたちの声がきちんと大人に届いていないことが、いじめが繰り返される原因の1つではないかと思うんです。子どもが健やかに生きられる環境をつくるのは大人の役割です。もっと実態を知って、それぞれできることを考えなければ、とこういうタイトルにしました」
心を押しつぶすようなひどいいじめを経験し、大人になってからも後遺症に苦しむ人も少なくないそう。耐えきれず、死を選ぶ子どももいる。本では、子どもから発せられる「SOS」のサインや、それをキャッチした親がどう行動したか、といった例が具体的に紹介されている。
いじめが原因で子どもを亡くすといういたましい経験をした親御さんも、岸田さんに胸のうちを語っている。
「二度とこういう悲しいことを繰り返してほしくないからこそ、話してくださるのだと思います。知ってさえすれば防げる、子どもだけで解決できる問題ではない、という思いがあって、貴重なお話を聞かせていただきました」
東日本大震災で被災、福島から横浜に引っ越した小学生が、転校先の学校で「賠償金があるだろう」などと言われ金銭を要求されていた事件は社会問題化したが、その彼にも直接会って話を聞いている。
「口数は少ないけど、信念が伝わってきました。『震災で人がいっぱい死んだからぼくは生きると決めた』と彼は書いているんです。実は、震災で親しい友だちを亡くしている。小学生にとって重すぎる経験ですが、命が失われることの悲しさを知っているからこそ、生きようと心に決めることができたのですね」
つらい時期を乗り越えて生き延びた子どもたちの声は、今苦しんでいる子どもたちにこそ届いてほしい。

素顔を知りたくて SEVEN’S Question

Q1 最近読んで面白かった本は?
『大家さんと僕』(矢部太郎)。大家さんが亡くなられた、と聞いて読み返して泣きました。

Q2 新刊が出たら必ず読む作家は?
東野圭吾さん。好きな作品を読み返すことが多くて、最近だと『カッコウの卵は誰のもの』を再読しました。

Q3 好きなテレビ番組は?
『チコちゃんに叱られる』。昔、番組の企画書を書いたこともあるぐらい子ども目線で発信できる番組をやりたいと思っていたので、最初に見たときは「やられた」と思いました。

Q4 最近気になる出来事は?
子どもへの虐待件数が増え続けているニュースに胸が痛みます。特に「心理的虐待」が増加。子どもへの暴力だけでなく、夫婦げんかも子どもにとっては虐待にあたること、多くの人に知ってほしいと思います。

Q5 最近ハマっていることは?
SUP(スタンドアップパドルボード)を始めてから、休みの日に海の上でボーッとするのが好きです。あとは「立ち食いソバ」めぐりが好きで、仕事の合間にいろんな「立ち食いソバ屋」さんで食べ歩きしています。

Q6 次のテーマは?
家族や親子をテーマに、人生100年時代にエールを送るような作品を制作してみたいです。

●取材・構成/佐久間文子
●撮影/五十嵐美弥

(女性セブン 2018年10.18号より)

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