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【著者インタビュー】望月衣塑子『「安倍晋三」大研究』 /首相の「嘘」と「強さ」の理由が明らかに

東京新聞の記者・望月衣塑子氏と、写真家であり編集者でもある佐々木芳郎氏がタッグを組み、安倍首相の生い立ちからご飯論法、歴史観まで、徹底的に分析した書を紹介します。

【大切な本に出会う場所 SEVEN’S LIBRARY 話題の著者にインタビュー】

官邸が最も嫌う新聞記者が安倍首相の生い立ちからご飯論法、歴史観まで俎上に載せて、話を聞いて分析して、まとめた一冊

『「安倍晋三」大研究』
「安倍晋三」大研究 書影
KKベストセラーズ 1620円

望月さんと写真家・編集者の佐々木芳郎さんがタッグを組み、今年11月に首相在職期間が憲政史上最長にならんとする安倍晋三氏を様々な角度から分析する。ぼうごなつこさんによる伝記まんが、父・晋太郎氏の元番記者で、安倍首相の乳母も取材した政治ジャーナリストの野上忠興さんや、思想家・内田樹さんとの対談など盛りだくさん。安倍首相の「嘘」と「強さ」の理由が明らかになる。

望月衣塑子
望月衣塑子
●MOCHIZUKI ISOKO 1975年生まれ。東京新聞記者。慶應義塾大学法学部卒。千葉、埼玉など各県警担当、東京地検特捜部担当を歴任。社会部ではセクハラ問題や武器輸出、軍学共同、森友・加計問題などを取材。著書に『武器輸出と日本企業』、現在映画(原案)も上映中の『新聞記者』、 『権力と新聞の大問題』『安倍政治100のファクトチェック』など。

これまでの首相と違って安倍さんは、メディアをはっきり選別しています

 望月さんと言えば内閣官房長官記者会見でのすが氏とのバトルが有名だが、参院選を前に、政治家安倍晋三とは何者かを探る本が出た。特別取材班との共著で、誕生から第一次内閣辞任までをたどったまんがや、争点をずらす「安倍話法」の考察、安倍氏をよく知る人々のインタビューなどが収録されている。
「まんがを読んで安倍さんにどんな印象を抱くかは人それぞれだと思いますが、小さいときから政治家になる意志を持っていて、あとはやっぱり、憲法改正など、おじいさんの岸信介の影響は大きいですね。逆に、父(安倍晋太郎)の影響はほとんど感じられません」
 安倍政権の官僚評価を思想家の内田樹氏が「安倍マイレージ・システム」と呼ぶのが秀逸だ。現内閣は官僚の信賞必罰が徹底しており、「この査定システムの異常なほどの単純さが官僚たちには好感されている」と内田氏は語っている。
「政治家でも、自分を裏切ったり反旗を翻したりした人のことはいつまでも忘れない。逆に、自分を慕う人の面倒は見る。メディアに対しても、これまでの首相は公平に取材に応じましたが、安倍さんは特定の新聞、テレビの単独取材にだけ応じてメディアをはっきり選別しています」
 新聞労連が官邸記者を対象にしたアンケートでは、質問が長い、パフォーマンスであるといった望月記者への批判もある一方、官邸とつながっている社があり身動きがとれない、といった閉塞感を訴える回答も寄せられたという。
「本当はみんな聞くべきことを聞きたい。でも安倍政権の6年の間に、メディアが萎縮する重苦しい雰囲気が作られてしまった」
 取材場所には、キャリーケースを引いて現れた。「出張ですか?」と聞くと、「出張じゃないです。パソコンと資料が重くて、毎日これ。重宝なのに、こういう使い方する人あんまりいませんね(笑い)」。
 東京地検特捜部担当のときは、会社の車に蒲団と枕を置き、車中で仮眠をとっていたそう。取材以外に講演などもこなし、多忙でストレスの多い日々が続くが、「女性週刊誌の皇室記事は読まれるんですか? 読者の男性の割合は?」と、取材中にも逆質問を編集者にぶつける根っからの取材者だった。

素顔を知りたくて SEVEN’S Question-2

Q1 最近読んで面白かった本は?
石戸諭『リスクと生きる、死者と生きる』。南彰『報道事変』。『報道事変』はインターネットの登場以降、いかにメディアが変質してきたか考えさせられます。

Q2 一番リラックスする時間は?
子供といるとき。子供って面白いですよね。テレビで菅さんが会見してると、「この人、悪い人」って言ったり。私は家で何も言ってないんですけどね(笑い)。

Q3 趣味はなんですか?
前はゴルフが好きだったんですけど、政治の世界を見てしまうと、「ゴルフなんかしてる場合じゃない」と思って最近はしてません。温泉は好き。映画を見てコメントくださいと言われることが増えて、映画を見るのがストレス解消になっています。

Q4 最近面白かった映画は?
『新聞記者』が公開されることもあって見たのと『記者たち』も面白かったですね。あと、韓国の『共犯者たち』。韓国映画、勢いがあるなって思います。

Q5 珍しい名前の由来は?
初め男の子だといわれていて、萩原朔太郎の「朔」で"はじめ"という名前をつけるつもりが、女の子とわかって急遽「衣」と「子」をつけたらしいです。彫塑とか塑像とか、ものをつくる子供になってほしい、という願いをこめて。

●取材・構成/佐久間文子
●撮影/佐々木芳郎

(女性セブン 2019年8.1号より)

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