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【著者インタビュー】酒井順子『ガラスの50代』/心身ともに繊細で壊れやすい50代女性のむずかしい悩みを、スパッと活字に

50代になった酒井順子氏が、自身と同じ世代の女性の迷いや悩みをテーマに綴るエッセイ集。白髪を隠すか問題や、母と娘のむずかしい関係など、笑いながらも考えさせられる一冊となっています。

【大切な本に出会う場所 SEVEN’S LIBRARY 話題の著者にインタビュー】

もう若くない? いつまでも若い心で? 人生百年時代に問い直す悩み多き50代とは。連載時から話題のエッセイ集!

『ガラスの50代』

講談社 1550円

50代になった作家の酒井順子さんが、50代女性が遭遇する迷いや悩みについてつづったエッセイ集。「若見せバブル崩壊」「性人生の晩年を生きる」「初孫ショック」「好きなように老けさせて」など、楽しくも深い18編。巻末には読者のアンケートを収録し、「誰にも言えない秘密」「悩んでいること」など、50代のリアルな声も紹介している。

酒井順子

●SAKAI JUNKO 1966年生まれ。東京都出身。高校生のときに雑誌にコラムを書き始める。立教大学卒業後、広告代理店勤務を経て執筆活動に専念。2003年の『負け犬の遠吠え』がベストセラーになり、婦人公論文芸賞、講談社エッセイ賞を受賞。そのほかの著書に『ユーミンの罪』『地震と独身』『オリーブの罠』『子の無い人生』『源氏姉妹』『男尊女子』『百年の女―「婦人公論」が見た大正、昭和、平成』『次の人、どうぞ!』『家族終了』『平安ガールフレンズ』など多数。

年をとるって、誰にでも訪れる自然なこと。もっと普通に受け取った方が楽なんじゃないか

 みんなのモヤモヤした思いをスパッと活字にして楽しませてくれる酒井順子さん。新作は自身と同じ50代をテーマにしたエッセイ集だ。白髪を隠す隠さない問題、ユーミンのライブで涙、老母と娘のむずかしい関係など、笑いながらも考えさせられる一冊になっている。題名の『ガラスの50代』は光GENJIのヒット曲、「ガラスの十代」を思わせる。
「50代って、上の高齢者世代と下の若者世代の面倒を見なくてはならない世代ですけれども、実は心身ともに繊細で壊れやすい部分も抱えています。私自身、50代になって、もっと落ち着くのかと思ったら、意外に悩みの深まるお年ごろなんですよね」
 まわりの友人、知人を見ても、自分に自信がなくなってきたり、前方に見えてきたシルバーライフを受け入れる心構えをしたり、改めて自身を見つめ直す時期に入っている人が多いという。
 本や雑誌の中には、加齢を何とか前向きにとらえようと必死にアピールする記事もあるが、
「年をとるって、誰にでも訪れる自然なことなので、もっと普通に受け取った方が楽なんじゃないかなと。私自身は50年生きてきたということを、当たり前に受け入れたいと思っています」
 と酒井さんは静かに語る。
 今の50代が社会に出た30年前と現在では、女性の立場は変わりつつある。たとえば、かつては上司のセクハラ発言は黙認されていた。当時の上司たちといえば、今のシニア世代だ。
「シニア世代のセクハラ発言を、しょうがないなーと思いやりを持って聞ける最後の世代が私たち50代という気がします。ただ、それに同調しないで、フェミニズム意識高い系の若い人たちにも理解を示す。そういう橋渡し的な役割も担っているのかもしれません」
 新型コロナウイルスで外出自粛となったとき、酒井さんは堂々と家にいられることに、ほっとしたという。エッセイにそう書いたところ、読者から共感の声が次々に寄せられた。今まで、どこか無理をして会食や外出をしていた人がたくさんいたのだ。
「自分の本当の希望、欲望をこの機会に見つめ直して、コロナが終わった後も無理をしないで生きていこうとする人が増えるのではないかと思っています」

素顔を知りたくて SEVEN’S Question

Q1 最近読んで面白かった本は?
解説を書いた、菊池寛の『受難華』がすごく面白かったです。もうすぐ中公文庫で出ますから、読んでみてください。

Q2 新刊が出ると必ず買う好きな作家は?
故人が多いので、新刊がなかなか出ないんです(苦笑)。

Q3 最近気になる出来事は?
眞子様の結婚問題。あれこそ誰かに小説にしてほしいですね。

Q4 好きなテレビ番組は?
NHK『グレーテルのかまど』はよく見ます。お菓子はあまり作らないんですけど、料理番組系は好きですね。コロナ以降、日々の食事に何を作るか呻吟しているので、『きょうの料理』とか、コウケンテツさん、栗原心平さんのYouTubeチャンネルからヒントを得たりしています。

Q5 趣味は何ですか?
中華料理と卓球です。中華料理はずっと習っていました。

Q6 最近ハマっていることは?
腹筋ローラー、バドミントン、お取り寄せとかですかね。

Q7 ストレス発散法はありますか?
京都に行くことです。

●取材・構成/仲宇佐ゆり
●撮影/酒井順子

(女性セブン 2021年1.1号より)

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