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柚木麻子の人気シリーズ最新作『幹事のアッコちゃん』

読むと元気が出る「アッコちゃん」シリーズ最新作について、著者・柚木麻子にインタビュー!ストレートに叱咤激励してくれるアッコちゃん節誕生の裏話・気になるプライベートな質問にもお答えいただいています。

【今日を楽しむSEVEN’S LIBRARY 話題の著者に訊きました!】

柚木麻子さん

ASAKO YUZUKI

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1981年生まれ。’08年「フォーゲットミー、ノットブルー」でオール讀物新人賞を受賞し、連作短編集『終点のあの子』でデビュー。’15年『ナイルパーチの女子会』で山本周五郎賞を受賞。本作担当編集者は「『私にふさわしいホテル』に登場する遠藤さんのモデルです(笑い)」。

見切り発車で決めた

初期設定に苦しめられて

「寅さん映画」の大変さ

がわかってきた(笑い)

 

つらいことがあっても

読めば元気が湧いてくる。

アッコちゃんの大きな声が

全編響きわたる

ベストセラー第3弾!

『幹事のアッコちゃん』

幹事のアッコちゃん

双葉社 1296円

『ランチのアッコちゃん』『3時のアッコちゃん』に続く第3弾。「東京ポトフ&スムージー」社長として活躍する傍ら、ますます面倒見のいいアッコちゃんに元気をもらえる。衝撃の展開に次回作の有無が気になるが、「濁しておきます。『またどこかでお逢いしましょう』という感じですかね」。

 

累計40万部に迫る人気シリーズ。「NOと言えない」派遣社員だった三智子は商社の正社員となり後輩を心配する立場に。表題作では、その宴会嫌いの後輩に、「東京ポトフ&スムージー」社長になった「アッコちゃん」が忘年会幹事の極意を伝授する。

「私、シリーズものって初めてなんです。第1作の『ランチのアッコちゃん』を書いたときにはそんなことまったく考えてなくて?それで寅さんの話になるんですけど」

寅さん? 映画『男はつらいよ』の「フーテンの寅」?

「あの映画だってもともとシリーズ化を考えて作られたものじゃないですよね。寅さん映画を見ると、初期設定を崩しちゃいけない大変さがわかるようになってきて。寅さんは誰とも結ばれてはいけないし、マドンナは幸せにならなきゃいけない。葛飾柴又の善男善女は危険な目に遭っちゃいけない。私も、見切り発車で決めたいろんなことに自分が苦しめられていて?と言いつつ、楽しんで書いてるんですけどね」

聞けば柚木さんは、親しい編集者と『男はつらいよ』についてしゃべる会、というのをつくっているそう。言われてみると、ポトフを移動販売し、行き当たりばったりながら出たとこ勝負に強い「アッコちゃん」の不思議な愛されかたには、寅さんに通じる何かがある気がしてくる。

会社員を描く小説だけに、おもに月曜日から金曜日までの5日間の出来事がテンポよく語られる。

「この作品はスピーディーなところが良さなので。私はスムージーを自分でつくれなんて書かないし、コンビニの野菜ジュースだっていいと思う。時間をかけて丁寧に暮らすのはすてきなことだけど、すごく頑張って仕事している女の人に『丁寧に暮らせ』っていうのはちょっと暴力じゃないかな、って気がします」

シリーズの担当編集者とは、学生時代、就活を通して知り合ったそうだ。新人賞を受賞してデビューして数年、なかなか原稿が載らない時期に、道でばったり再会した。

「『え? 作家デビューしたの?』って全然信じてくれなくて。『うちの雑誌に載せて10万部出してやるよ』みたいなことを言って、彼は約束を果たさなきゃいけなくなったんです」

そんな偉そうなこと言ってません、と同席する編集者氏が抗議する。

「だって伝わりやすいじゃないですか」「デフォルメはやめてください」。小説みたいなやりとりが続く。

「私は会社員時代からとにかく上の人にガミガミ言われる性格で、そんな先輩たちの集合体が『アッコちゃん』です。この作品がなかったらたぶん他のこともうまくいかなかった。『アッコちゃん』のおかげです」

 

素顔を知るための

SEVEN’S

Question-1

Q1 最近読んで面白かった本は?

パトリシア・ハイスミスの『キャロル』です。

Q2 よく見るテレビ番組は?

最近はネトフリ(ネットフリックス)ばかり。『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』という女囚もののドラマに夢中です。

Q3 最近見て面白かった映画は?

『ヘイトフル・エイト』。

Q4 『男はつらいよ』でいちばん好きな作品は?

第4作の『新・男はつらいよ』。ハワイへ行くはずだった寅さんたちが家にこっそり隠れていると、泥棒が入って鉢合わせして……。

Q5 最近気になる出来事は?

上島珈琲が飴湯を始めたこと。上島珈琲とロイヤルホストはマーケティングを一切しない姿勢が「アッコちゃん」に通じるので目が離せません。

Q6 ストレス発散法は?

ストレス、ないですね。そのせいで、私の周りはストレスフルかもしれませんが(笑い)。しいて言うなら行事をいっぱい楽しむこと。昨日はベビーシャワーとイースターで、友達の家で、必死でゆで卵に絵を描きました。

(取材・文/佐久間文子)

(撮影/浅野剛)

(女性セブン2016年3/31・4/7号より)

 

 

 

 

 

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