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『アルテーミスの采配』

【今を読み解くSEVEN’S LIBRARY】話題の著者に訊きました!

真梨幸子さん

YUKIKO MARI

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1964年生まれ。多摩芸術学園映画科卒業。2005年『孤虫症』でメフィスト賞を受賞しデビュー。ベストセラーとなった『殺人鬼フジコの衝動』の他、『人生相談。』『鸚鵡楼の惨劇』など著書多数。『5人のジュンコ』が2015年11月21日からWOWOWプライムでドラマ化された。

 

座右の銘は「読者を騙す前に自分を騙せ」。

私自身読んでびっくりするから読者も騙されてくれるのかな

 

何が真実で何が嘘なのか。AV業界を舞台に繰り広げられる謎の連続殺人事件と運命の選択に、あなたは今夜、眠れなくなる―

 

アルテーミスの采配

『アルテーミスの采配』

幻冬舎 1728円

 

なぜ彼女たちはAV女優になったのか。ライターが5人の女優に取材して、それをワイドショーなどで活躍する西園寺ミヤビがエッセイにまとめる本の企画が立ち上がる。しかしそれは、AV女優連続不審死事件により暗転し、謎が謎を呼ぶ展開に。「いつ死ぬかわかりませんから、私はこれが最後の作品になるかもしれないと思って、毎回、目の前の作品に全てを注ぎ込んでいるんです」。

 

たたみかけるような終盤のどんでん返しと、いやーな読後感がボディーブローのように効く、通称「イヤミス」の女王としてファンの多い真梨さん。新作でアダルトビデオ業界を取り上げたのはなぜなのか。

「どうしてかたぎのお嬢さんがこういう作品に出ることになるんだろう、という単純な疑問ですね。クリックひとつで簡単にアダルトサイトを見られるけど、本来、性産業は、日陰の存在であるはず。ここまでオープンになったせいで起こるトラブルって結構あるんじゃない? と、気になって調べ始めたんです」

裏ビデオの代名詞といえる「洗濯屋ケンちゃん」を女友達数人と興味半分で見て衝撃を受ける、という真梨さん自身の経験エピソードを軸に、ニュースや裁判の事例など実際に事件になったエピソードを盛り込んで、それまで縁のなかった世界をつくり上げていった。

どんな業界を取り上げる時でも、美化はしない、と決めている。今回はとくに、闇の部分をデフォルメすることで、読んだ人が安易に足を踏み入れないように、もし入っても無防備にはならないように、という願いを込めたという。

「都市伝説とかホラー映画の感じで書いています。職業に貴賤なし、というけど、働いている人自身、ここまでおおっぴらにされることを望んでないのでは。うちの親が水商売をしていて、私もかたぎの世界とヤクザな世界の間のグレーゾーンを垣間見て育ったので、よけいそう感じるんでしょうね」

小説の第一部は、AV女優に取材したルポ、第二部は、そのルポをめぐる、殺人ミステリーという、二部構成になっている。えっ、この人がと裏切られ、そうだったのかと納得したところで、またも裏切られる。

「私の作品はどんでん返しがお約束のようになっているので、返さざるを得ない(笑い)。一回うまく返したと思っても、さらにもう一回返したくなる。そうやって、自分を地獄に追い込んでしまいます」

プロットはつくらず、ボードゲームをする感覚で、登場人物を分岐点で動かしていく。昔、好きだったというジェットコースタードラマを彷彿させる、アップダウンの激しい展開で読者を飽きさせない。

「雑誌に連載している間は、『未来の私、よろしく』って投げておいて、後で必死に回収します。何でこんなところに伏線をばらまいたんだろうって自分を恨むこともしょっちゅうですけど、うまく拾えた時には『やった!(今の)私の勝ち』って思う。座右の銘は『読者を騙す前に自分を騙せ』。自分で読んでびっくりするぐらいですから、読者も気持ちよく騙されてくれるのかな」

 

素顔を知るための

SEVEN’S Question+0

Q1 最近読んで面白かった本は?

『良心をもたない人たち』(マーサ・スタウト)。

Q2 好きなテレビ番組は?

『相棒』。『あさが来た』は『カーネーション』以来のヒットで、久しぶりに早起きするようになりました。

Q3 好きな映画は?

『ゴッドファーザー』。

Q4 最近気になる出来事は?

マンションの消防点検。なぜ年に2回もやるんでしょう。隅々まで開けられて、強制捜査みたい。国家ぐるみで、怪しい人がいないか調べているんじゃないかと疑うほど憂鬱です(笑い)。

Q5 趣味は何ですか?

ウオーキング。あとはテレビを見ること。一日中つけっぱなしです。

Q6 1日のスケジュールは?

午前8時に起きて、洗濯、掃除、メールチェック。お弁当を買って、仕事場までウオーキングして、お昼を食べて夕方まで仕事をして、自宅に帰ると後はひたすらテレビタイムです。

Q7 次のテーマは?

女子校出身なので、女子校特有の空気感を覚えているうちに書いておこうと思っています。タイトルは『6月31日の同窓会』です。

 

(取材・文/佐久間文子)

(撮影/三島正)

(女性セブン2015年11月12号より)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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