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アメリカ人で根強い人気があるファンタジー・古代戦記の名作がベストセラーに!-ブックレビュー from NY【第3回】

NY在住ジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラーランキング。今回は、映像化もされやすいジャンル「ファンタジー・古代戦記」から、注目の作品を紹介します。

完成が待たれるシリーズ第6作

ところで、最初の物語のタイトルで使われている言葉“Hedge knight”は普通の英語で使われる単語ではない。文字通り訳せば《生垣》の騎士になってしまうが、《放浪》あるいは《流浪》の騎士の意味で使われている。作者のマーティンは、ファンタジーの世界を創りあげる時に、このように独自の言葉も作る。単語が独特の意味で使われる例も多い。例えば”Sept“という言葉は物語の中では神社とか神殿の意味で使われるが、普通の英語ではそのような意味はない。“Hand of king”は文字通り訳せば《王の手》だが、物語の中では宰相とか側近を指している。“Kingsguard” は2つの単語をくっつけた造語で、「王の盾」すなわち親衛隊の意味だ。登場人物名も英語の普通の名前は少なく、どのように発音しカタカナ化をするか迷う事も多い(※注:本コラムでは、「氷と炎の歌」シリーズの日本語訳をできるだけ参考にしているが、シリーズの途中で翻訳者が変わり、同じ言葉の日本語訳や同じ人物のカタカナ名が違っていて読者も混乱しているようだ。人物の名前に関しては新しい翻訳者のカタカナ表記のパターンに従った)。

『七王国の騎士』は書き下ろしではなく、以前別々に発表された3作品に、新たに描かれた160のイラストを加えて1冊にまとめて出版されたものだ。
ジョージ・R・R・マーティンの創り上げたウェスタロス大陸とその東のエッソス大陸を舞台に、王や騎士たちが七王国を巡り戦いを繰り広げるという壮大なファンタジーの世界に魅せられた熱狂的なファン・読者は世界中にいる。2015年末までには出版予定だった「氷と炎の歌」シリーズの第6作“The Winds of Winter”の完成が大幅に遅れている現在、待ち焦がれたファンの多くが本作品に飛びついたのかもしれない。
このロングセラー・シリーズの人気を見ても、アメリカのファンタジー小説、古代戦記の根強い人気は当分続きそうである。

佐藤則男
早稲田大学卒。米コロンビア大学経営大学院卒(MBA取得)。1971年、朝日新聞英字紙Asahi Evening News入社。その後、TDK本社およびニューヨーク勤務。1983年、国際連合予算局に勤務し、のちに国連事務総長となるコフィ・アナン氏の下で働く。
1985年、ニューヨーク州法人Strategic Planners International, Inc.を設立し、日米企業の国際ビジネス・コンサルティングを長く手掛ける。この間もジャーナリズム活動を続け、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ズビグニュー・ブレジンスキー元大統領補佐官らと親交を結ぶ。『文藝春秋』『SAPIO』などに寄稿し、9.11テロ、イラク戦争ほかアメリカ情勢、世界情勢をリポート。著書に『ニューヨークからのメール』『なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか?』など。

佐藤則男ブログ「New Yorkからの緊急リポート」http://blog.livedoor.jp/norman123

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