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モーリーが語る、「ぼくたちは何を読んできたか」③その青春の軌跡 モーリーのBOOK JOCKEY【第4回】

国際ジャーナリストからミュージシャンまで、幅広く活躍中の「モーリー・ロバートソン」が、その青春時代を振り返る!歴史的背景や、歩んできた道…刺激に満ちた内容は必見!

マルクス経済学を専攻するケビンと予備役のロブが同じ食堂のテーブルについた時には、殊更の緊張感を伴う。まずケビンがよせばいいのにレーガン大統領の経済政策を、

「格差がひたすら拡大し、中産階級の富が抜き取られて富裕層に集中するだけだ」

と批判する。ロブが、

「大統領の決定は論理的なものだ。社会保障を手厚くすると、向上心が薄れてかえって貧困層が巨大化するからね」

と返す。続けてケビンが、

「中米ニカラグアに軍事侵攻しているのは、他でもない植民地支配のためだ。ソ連の抑止などではなく、資源と労働力を搾取するために大義名分を言い立てているにすぎない」

と切り込み、ロブが、

「中米の地図を君は見たことがあるのか。キューバがどれだけ近いかは、誰でもわかる。かつてキューバのミサイル危機が起きた時には別々の航路に分けて核ミサイルを運び込み、ジャングルの中で組み立てたんだぞ。ニカラグアのような小さな国から資源や労働力を搾取したって、そもそも意味がない」

そこに他の学生たちが、

「そもそもソ連は本物の社会主義とは呼べないだろう」

「レーガンは本気でニカラグアの戦争やってないよ。あれはアメリカ国内の問題から目をそらすための点数稼ぎだ」

などと持論を述べて飛び込む。すると今度は、

「俳優のレーガンが台本通り大統領を演じきっているところまでは、わかった。でもそれ以下の政策しか打ち出せない民主党って何なの?」

と茶化す者もいて、8人ぐらいで座るテーブルはとめどない言論の乱闘状態になる。ぼくはとにかく政治や経済の話が大嫌いだったので、なんとかして議論を脱線させようと日本の漫才から英語に翻訳したようなギャグを言い続けた。両手を空手チョップの形にして足の付根に当て、

「共産圏から来たコマネチ! ナディア・コマネチ!」

と言ってみる。だが笑ってもらえない。

「君は大人になるまで発言禁止」

とたしなめられた。

ROTCのロブは毎週土曜の早朝、近くのMIT(マサチューセッツ工科大学)の運動場に行ってドリル・チームの訓練をしていた。ドリル・チームとは軍事演習の一種で、模型の銃剣を正確に操って行進や体操などの模範演技を見せるものだった。女性の上官がいて厳しかったそうだ。

「Uniform askew!=制服が歪んでいる!」

などと指摘されると目を合わせずに真っ直ぐ前を見て、

「Ma’am, yes ma’am!=マム・イエス・マム!」

と声を張り上げなくてはならない。そんなロブはマッチョの塊だった。

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