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【茨城県民マンガ】だっぺ帝国の逆襲〈第9回〉 え? うな丼の発祥の地は牛久!? 漫画/佐藤ダイン 監修/青木智也

うなぎが滋養強壮に効く、というのは万葉の昔から知られた話。蒲焼きも江戸の庶民に人気があった。でも、「蒲焼きをどんぶり飯に乗せる」という、ありそうでなかった大発明をしたのは、茨城出身のアイデアマンなのだ。これを読んだら、うなぎを食べに、牛久沼に行こう!

 

みんな、うなぎは好きだっぺ?
活きのいいうなぎを手練れの職人が丹念に焼き上げた一品は
てらてら光っていていかにも精がつきそうだどな。
じつは、うなぎは万葉集にも歌われてんだちけ


  石麻呂(いしまろ)に 我れ物申す
  夏痩せによしといふものぞ 鰻(むなぎ)捕り食(め)せ
                        大伴家持

1200年以上も昔から、「滋養強壮にはうなぎ」が常識だったんだっぺな。
そんなうなぎの世界に革命を起こしたのが茨城出身の大久保今助
それまで別個に食ってたメシとうなぎを
うな丼としてひとっづにまとめちったんだよ。
つまりよ、みんなが大好きなうな丼食えんのは
茨城のおかげ
だともいえっとな。
あよ、やっぱし茨城はすごがっぺよ!

 

緊急告知!

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マンガ中の記号(※1)などは、マンガのあとに出てくる“県民も知らない茨城の秘密”「だっペディア」の番号と対応しています。

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だっペディア 第9回

マンガに登場するローカルな用語などを、徹底解説!
これであなたもイバラキアン(茨城人)の仲間入りだ!

 

(※1)牛久沼

1 千葉県にあるけど東京ディズニーランド、龍ケ崎市にあるけど牛久沼――。そう、牛久沼という名前だけど所在地は牛久市ではなく龍ケ崎市なのだ(沼の周囲は龍ケ崎市、牛久市、つくば市、つくばみらい市、取手市にまたがっている)。最寄り駅も3月14日に「佐貫」から名前が変わったばかりの「龍ケ崎市」駅である。龍ケ崎市の金龍寺に伝わる伝説では、食べては寝てばかりいた小坊主がついには牛になってしまい、沼に身を投げたことから、「牛食う沼」→牛久沼と呼ばれるようになったとか。
 牛久沼といえばカッパ。いたずらカッパをくくりつけたという松の木「カッパ松」も残されているし、カッパの絵で知られる日本画家・小川芋銭のアトリエだった「雲魚亭」もあるが、こちらは龍ケ崎市ではなく牛久市である。ちっとややこしかっぺ。

 

■「牛・龍」戦争、勃発か!?

 牛久市ではカッパのキャラクター開発やカッパの像の設置、「うしくかっぱまつり」開催など、とことんカッパをフィーチャーして、牛久=カッパ=牛久沼という強固なイメージを築き上げてきた。牛久沼の所在地である龍ケ崎市と、イメージに勝る牛久市とのパワーバランスは完全に互角であり、ともすれば紛争に発展しかねない危うさを秘めているのである。

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小川芋銭を称えてつくられた「河童の碑」

 でも牛久沼を県南の火薬庫にしないためのとっておきの秘策があるから安心してほしい。それは「牛ケ崎(ぎゅうがさき)」を誕生させることだ。牛久と龍ケ崎が合併して牛ケ崎市となってしまえば問題も一気に解決!……え? 名前がダサすぎてダメだって?

 

(※2)大久保今助

2 現在の常陸太田市出身で、農民出身ながら、水戸藩の勘定奉行まで務めた立志伝中の人物。日本橋の芝居小屋で興行主として活躍していたとき、うな丼ないしうな重を思いついたということが、1865(慶応元)年に書かれた宮川政運の『俗事百工起源』にちゃんと載っている。江戸と水戸を頻繁に行き来していただろうから、牛久沼を舟で渡って経路をショートカットしたというのも、ありそうな話だ。
『俗事百工起源』によると今助は希代のアイデアマンとして名をはせたらしい。今助さん、“魅力度7年連続最下位”から浮上する方法を教えてくれない?

 

(※3)ワカサギ

3 茨城県の鳥といえばヒバリ。これは県民ならみんな知ってる基礎知識だ。では茨城県の魚といえば?……ヒラメ。これはちょっと難しい。さらに茨城県の淡水魚は?……アユやコイも有名だけど、答えは「ワカサギ」なのだ。ってか、「県の淡水魚」なんてあるんだね(汗)。
 関東近辺では、榛名湖(群馬県)や山中湖(山梨県)の穴釣りのイメージが強いかもしれないが、茨城県のワカサギ漁獲高は青森県、北海道、秋田県に次いで全国第4位関東ではダントツなのだ!
 霞ヶ浦や北浦が主な産地だが、なんといっても茨城のワカサギブランドを決定づけているのはワカサギの漢字の由来である。ワカサギを漢字で書くと「公魚」。これは江戸時代に麻生藩(現在の茨城県行方市)が幕府へ献上したことに由来し、将軍家御用達の魚という意味でワカサギ=公魚になったのだ。皆の者、ひかえおろう!

 

(※4)ろっこく

4 東京・日本橋から千葉、茨城、福島を通って仙台にいたる大動脈・国道6号線のこと。総延長は400㎞を超えており、459ある国道のうち14番目にランキングされる。ちなみに1位は844㎞の国道58号線。ただし鹿児島から種子島、奄美大島を経て沖縄本島に至る、ルートの大半は海上という“エア国道”だ。
 国道は愛称で呼ばれることが少なくない。国道6号線は東京から水戸あたりまでは広く「水戸街道」として認知されているが、茨城県内では断然「ろっこく」である。南は取手から北は北茨城まで、県内ならどこでも通じる愛称で、これを知らなければ県民失格だっぺよ。私イバラキングが作っている茨城弁グッズのなかでも「ろっこくTシャツ」は大人気だ。
 他に愛称で親しまれている国道といえば、千葉県香取市から霞ヶ浦の西側を通って古河を抜け、埼玉県熊谷市にいたる国道125号線。茨城では「ワンツーファイブ」と呼ばれている。ネーミングセンスはどうあれ(苦笑)、地元ならではの呼び方があったほうが愛着が湧くのはまぢげねえべ!

 

(※5)うなぎ街道

5 牛久沼周辺の「ろっこく」沿いに、うなぎの店が並ぶ一角がある。観光客はもちろん、地元の人たちにも熱心なファンを持ち、子どもの節句や行事のたびごとに利用されているそうだ。ところが、牛久沼にほど近い場所にありながら、うなぎを一切食べないところがある。「若柴」(龍ケ崎市若柴町)という地区だ。
 うなぎは若柴の氏神神社・星宮神社の神様の遣いで、氏子たちのあいだでは「うなぎを食べると目が潰れる」という言い伝えがあった。うなぎを食べて、三日三晩苦しんだ、という話もある。だからいまでも、少なくとも古老たちは、うなぎを禁忌扱いにしているんだとか。
 うなぎの町のすぐ近くにこんな伝説が残っているなんて、茨城の歴史は奥ふけーべよ。

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星宮神社

 
 

(※6)常磐道

6 茨城を縦断する高速道路といえば常磐自動車道(常磐道)。首都高と直結したのは、いまから35年前、科学万博が開催された1985年のことだ。道が狭いし、曲がりくねっているし、降り口が右左どっちかわかんなくておっかねー首都高と違って、片側三車線が多い常磐道は快適そのもの。首都圏の高速道路網のなかでは、いちばんすいているので、お出かけするなら常磐道を使って茨城県に行くのがおすすめだかんね。
 でも、利根川を越えるといつの間にか照明が少なくなって、夜は真っ暗。気づいたら前にもうしろにも車が走ってなくて、ひとりなら耐えきれなくなるのが「常磐道あるある」なんだわ(汗)。

 
 

(※6)土用

7 立春、立夏、立秋、立冬の前の約18日間が土用。とくに立秋前の18日間(おおむね7月後半~8月頭)は「夏の土用」といわれる。江戸時代の発明家・平賀源内が、流行らないうなぎ屋に「本日土用丑の日と書いて貼り出せ」と知恵を授けたところ、店が大繁盛した――という話があるが、「丑の日」とはカレンダーに干支を当てはめて「丑」にあたる日のことだ。ちなみに2020年3月30日は「申」、4月4日が「丑」の日である(詳しくは「干支カレンダー」で検索を)。
 平賀源内の話は話半分に聞いておくとして、丑の日にはうなぎのほかドジョウやナマズ、ナスなど黒っぽいものを食べる風習があった。これは丑の方角の守護神が玄武という黒い神様だったかららしいけど、ちょっと待て! 丑の日は年がら年中あるし、土用だって春夏秋冬ある。夏の土用だけ特別扱いする必要などどこにもないはずだ。
 もとよりうなぎの旬は秋から冬にかけて。よって「だっぺ帝国」では「立春」前の18日間(おおむね1月半ば~2月頭)を「だっぺの土用」と認定する。もちろんそのあいだには丑の日もあるから、大いに盛り上げていぐべ!

 
 

だっぺ帝国の逆襲は隔週掲載です。
次回は4月13日(月)に公開予定です。

 

作者よりひとこと+プロフィール

今回のお題:オリンピック延期決定で……

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■漫画:佐藤ダイン(サトウ/ダイン)
 オリンピック延期。1ヵ月前には想像もしていなかった事態だ。選手はいま、どんな気持ちだろう?ちょっと想像してみる。だけど僕はオリンピック選手ではないから良くわからない。こんな時は自分の問題に置き換えてみる。
 何年も構想を練って準備してきた新連載開始がついそこまで迫っている。しかし突然「やっぱり連載はなしで。やるとしたら今年中。もしかしたら来年かも」と、突きつけられる。なるほど、めちゃくちゃショックだ。

1984年、茨城県大子町出身。芸術系の大学在学中から漫画誌に投稿を続ける。サラリーマン生活、漫画家のアシスタントを経て、『桃色な片想い』(『月刊!スピリッツ』)でデビュー。

 

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■監修:青木智也(アオキ/トモヤ)
 まずは中止じゃなくていがったよ~。「東京オリンピック」は延期になった希有な大会として、強く記憶に刻まれることでしょう。
 記憶に残るオリンピックといえば、茨城県民的には地元常総市出身の鈴木桂治、下妻市出身の塚田真希が揃って金メダルを獲得した2004年のアテネが印象に残っています。
 がんばれ日本! がんばっぺ茨城!

1973年、茨城生まれ。WEBサイト「茨城王(イバラキング)」を立ち上げるかたわら、常総ふるさと大使、いばらき統計サポーター、茨城県まちづくりアドバイザーなどとしても活動。

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