【茨城県民マンガ】だっぺ帝国の逆襲〈第16回〉 茨城のB級グルメは想像の斜め上を行く! 漫画/佐藤ダイン 監修/青木智也
とある土曜日。引っ越したばかりのダイゴは、五月、ハチとともに近所の小学校の運動会見物へ。そこへ現れた“あの女”が、またまた波乱を巻き起こす。そして一行は、ガルパンの聖地で、大洗が誇るB級グルメに舌鼓!

大洗といえば、なんといっても海!
明治20(1887)年代から海水浴客が増えはじめ
水戸線の開通で東京方面からも
人が押し寄せるようになったんだちけ。
けっこう年季が入ってっとな。
そのいっぽうでバリアフリーな海水浴場として
日本初のユニバーサルビーチにもなってんだわ。
大洗は水族館もあるし、ガルパン人気も根強いけど
昔ながらの素朴なおやつが残ってんのは
まだまだ知らねえ人も多いんじゃね?
たまにはこんな“昭和の味”を堪能してみては?
マンガ中の記号(※1)などは、マンガのあとに出てくる“県民も知らない茨城の秘密”「だっペディア」の番号と対応しています。
第16回
マンガに登場するローカルな用語などを、徹底解説!
これであなたもイバラキアン(茨城人)の仲間入りだ!
■(※1)運動会に屋台
「運動会のいちばんの楽しみは、昼休みに屋台でかき氷を買ってもらうことでした」
この一文を読んでまったく違和感がない、いや、むしろ共感しかないというあなたは、根っからの茨城県民だ!
いやぁ、東京の人にはびっくりされっちゃーんだよねぇ。「なんで学校行事に屋台が出てるの?」って。まあ、気持ちはわかる(笑)。でも、「運動会」のとらえ方が、県民と非県民ですこ~し違うんだよね~。茨城以外の人にとっては、運動会はあくまで学校行事。だけど県民にとっては、かつて運動会は学校行事をこえた地域の一大イベントだったのだ。
だから家族みんなで応援に駆けつけるだけでなく、翌年小学校に入る幼児や老人会を招待するなど、運動会は地域に「開かれた行事」でもあった。そこに屋台が出ているのはごく自然なことだったのである。
ただ、このところ屋台の数は減少傾向にあり、また校庭ではなく校門の外に屋台を移動したところもあるなど、地域や学校ごとに状況が違うようだ。でもね、マジメに行儀よくやるのもいいけど、こういうユルい地元文化を残せる、懐の深い茨城であってほしいなぁ。
■(※2)煮いか
「煮いか」はお祭りや初詣などの屋台で提供される「オレンジ色」の食べ物で、ほのかな塩味がクセになる茨城のご当地グルメ。主に茨城県と栃木県で売られており、愛知県や静岡県では「煮するめ」という名前になったりする。
茨城の屋台では必ずといっていいほど売られている定番中の定番なので、他県にはないことを知らない茨城県民がいまだに多い。だから、初めてその事実を知ったときの衝撃はとてつもなく大きいのだ。たぶん、いまこのコラムを読んでショックを受けている茨城県民は少なくないだろう(笑)。
ちなみに茨城には「焼きいか」の屋台ももちろんあるが、登場したのは1980年代になってからじゃないかなぁ。だから、子どものころ「焼きいか」の幟を見て、「おっ、ニューウェーブだっぺな!」と思った記憶がある。
■(※3)アクアワールド
サメの種類日本一を誇る大型水族館で、茨城の観光名所の代名詞的な存在。また、マンボウにも力を入れており、270tのマンボウ専用水槽は日本最大である。
魚の展示以外でおススメなのはイルカ&アシカのショー。ある意味サメより危険である。早めに会場に入って、なるべく前方の席で見てほしいのだが、これがちょっと濡れるどころの騒ぎではなく、思いっきり「ずぶ濡れ」になるのだ(笑)。ずぶ濡れ防止用のレジャーシートが販売されているから、これを買えば少しは気休めになるかもしれないが、とにかく濡れたかったら大洗は裏切らない!
なお、茨城県民にとってはここが水族館の基準になっているため、他県のそこそこ名の知れた水族館を見て物足りなさを感じてしまうのは「茨城あるある」のひとつと言っていいだろう。
ちなみに、茨城の水族館はこれだけだと勘違いされがちだが、他に「かすみがうら市水族館」(かすみがうら市)、「山方淡水魚館」(常陸大宮市)がある。どちらも淡水魚がメインで、規模・種類とも大洗には到底及ばないものの、ソーシャル・ディスタンスはバッチリ確保できる、時流に合ったスポットなんだかんね。
■(※4)みつだんご
大洗とおとなりの那珂湊(ひたちなか市)に昔から伝わるご当地スイーツ。名前から「みたらしだんご」を連想するかもしれないが、形が真ん丸ではなく平べったい丸型で、食感もモチモチというよりフワフワである。
だんごには「みつ」が絡まり、きなこがまぶしてあって、軽い食感なのでついついたくさん食べてしまう。みつだんごだけに「みっつ」といわず、たくさんよばれてくれっけ(笑)。
■(※5)ガルパン
正式名称を「ガールズ&パンツァー」といい、女子高生が茶道ならぬ戦車道を究めるアニメ作品。架空の「県立大洗女子学園」を舞台としているが、実在する大洗の街並みに戦車が突撃するなどの描写があって、大洗は町をあげてバックアップしている。
2012年からのアニメ本放送や映画は終了しているが、ガルパン人気、声優人気は衰えることを知らず、現在でも商店街の各店舗にはキャラクターの等身大パネルなどが展示されており、聖地巡礼をするファンが後を絶たない。大洗の商店街では、ガルパンファンのことを、親しみを込めて「ガルパンさん」と呼んでいるそうだ。
ああ、あやかりたい……。
■(※6)たらし焼き
大洗に伝わる粉もんで、もんじゃ焼きと同じように、昔は駄菓子屋で食べられる子どものおやつのような位置づけだった。水で溶いた小麦粉にキャベツや切りいか、しょうが、ソーセージ、ベビースターなど好きな具材を入れてかきまぜ、鉄板で焼いて食べる。土手は作らないが、独特の形をした「ヘラ」で食べるのはもんじゃと同じである。
ちなみに、このヘラは「へがし」と呼ばれており、茨城弁では「剥がす」を「へがす」というので、名前はそっからきてんだっぺ。
数は減っているが、まだ数店舗残っているので、アクアワールド帰りに寄ってみてはいかがだろう。では最後に茨城弁でたらしの感想を!
「アヅアヅのたらしをへがしでへがして食うのはんめーどな」
(熱々のたらしをヘラで剥がして食べるのは美味しいよね)
だっぺ帝国の逆襲は隔週掲載です。
次回は8月上旬に公開予定です。
作者よりひとこと+プロフィール
今回のお題:「旅に行くなら」
■漫画:佐藤ダイン(サトウ/ダイン)
漫画内でも登場した「りんりんスクエア土浦」で自転車を借りて「つくば霞ヶ浦りんりんロード」で霞ヶ浦を一周するというのを一度やってみたいです。と言いますのも、取材で一度訪れて霞ヶ浦周辺を少し歩いたのですが、それだけでも十分気持ち良かったからです。それから、3月にオープンした「星野リゾート BEB5土浦」に泊まってサイクリストな旅を満喫したいです。
1984年、茨城県大子町出身。芸術系の大学在学中から漫画誌に投稿を続ける。サラリーマン生活、漫画家のアシスタントを経て、『桃色な片想い』(『月刊!スピリッツ』)でデビュー。
■監修:青木智也(アオキ/トモヤ)
今はまだ県をまたいで遠出しにくい状況ですよね。だったら、今は地元茨城を楽しむのがベストだっぺよ~。
私は茨城でも内陸部(県西)の人間なので、海にあこがれます。北茨城から高萩、日立、ひたちなか、大洗……さらには、鉾田、鹿嶋、神栖……と1日かけて海沿いを縦断したら面白そう!
ではここで問題です。上に名前が出ていない海沿いの市町村はどこでしょうか?
答えはあえて書かないので自分で確認してみてね。
1973年、茨城生まれ。WEBサイト「茨城王(イバラキング)」を立ち上げるかたわら、常総ふるさと大使、いばらき統計サポーター、茨城県まちづくりアドバイザーなどとしても活動。

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