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【茨城県民マンガ】だっぺ帝国の逆襲〈第18回〉 ま、まさか…茨城が天下を取るって!? 漫画/佐藤ダイン 監修/青木智也

筑波山神社を目指していたダイゴ、五月、ハチの3人。ロープウェイ、ケーブルカーと乗り継いで筑波山の景色を堪能しつつ、ダイゴが調べてきた水戸藩の歴史を五月とハチにレクチャー。なんと、天皇陛下直々に「水戸藩が幕政改革のリーダーとなれ」と命じられていた!

 

茨城はロケ地だけじゃないかんね!
ガルパンをはじめ茨城を舞台にした映画はいくつもあるが
いまでもストリーミングサービスなどで視聴可能な
茨城愛にあふれた映画をいくつか紹介しよう。
「河童」(1994年)
茨城出身である米米CLUB石井竜也の初監督作品。
地元の河童伝説をもとにした、これぞ郷土愛という映画。
「下妻物語」(2004年)
今は亡き「貴族の森」にロリータファッションのフカキョンが!
茨城=ヤンキーを決定づけ、「下妻」の名前が世界に
発信された貴重な作品。でもおかげで市町村合併が……
「ガマの油」(2009年)
こら!タイトルだけでB級映画扱いするんじゃないっ(汗)
監督・主演 役所広司、共演 瑛太、小林聡美、二階堂ふみ、
八千草薫という豪華な顔ぶれで描いたほんわかするヒューマンドラマ。
「桜田門外ノ変」(2010年)
茨城県内17箇所でロケを行った、茨城県民による地方創成映画。
水戸藩士の目線で描かれており、共感しつつ見ることができるぞ。
千波湖畔に作られたロケセットは、当時日本最大級だった。

 

マンガ中の記号(※1)などは、マンガのあとに出てくる“県民も知らない茨城の秘密”「だっペディア」の番号と対応しています。

 

■前回までのあらすじ
 筑波山神社に向かった一行は、道を間違えてしまい、「ガマ洞窟」で恐怖体験。
 で、ようやく神社に向かおうとしたらガマのお化けに襲われて……。
 
 
 
 
 
 
 









 
 

■エピローグ
 ここに登場する昆は第13回などに出ててきた、ダイゴたちに便乗して自分ものし上がろうとしている得体の知れない人物。
 さて、次回はどんな騒動を巻き起こすのか!?

 
 
 
 
 
 

だっペディア 第18回

マンガに登場するローカルな用語などを、徹底解説!
これであなたもイバラキアン(茨城人)の仲間入りだ!

 

(※1)ロープウェイ

 筑波山の「つつじが丘」と女体山を約6分で結ぶロープウェイ。冬季限定で、夜間営業も行っており、関東平野の夜景を楽しむことができる。クリスマスデートにも最適だっぺよ!
 つつじが丘には大きな駐車場があるので、ここに車を停めて山を登り、帰りにロープウェイを利用する人が多い。
 昔から小学校の遠足の定番コースにもなっており、私は小学3年生で筑波山登山を経験した。男体山山頂に近い御幸ヶ原で食べたお弁当は美味かったなぁ~。

 
 

(※2)水戸黄門(徳川光圀)

 水戸藩第二代藩主で、『大日本史』を編纂し、最初にラーメンを食べ、靴下を履いた……などエピソードには事欠かない、茨城というより日本のヒーロー
 名君の誉れ高く、庶民のあいだでも人気だったというが、黄門様がこれだけの知名度を誇っているのは、全国を漫遊して世直しをするテレビドラマ「水戸黄門」が大ヒットしたからだろう。ただし、それよりもずっと前、幕末に「水戸黄門漫遊記」という講談が生まれ、人気を誇っていたという。
 ちなみに私の子ども時代には、時代劇アニメ「まんが水戸黄門」やエドン国のミト王子が活躍するロボットアニメ「最強ロボ ダイオージャ」なんていうのもあって、水戸黄門は子どもにも身近な存在だった。
 ただ、いまの若者世代は「水戸黄門」を知らないから、認知度はだいぶ落ちているに違いない。時代劇が少なくなっているいま、狙うとしたらNHKの大河ドラマだろうか。すでに平将門や徳川慶喜も取り上げられているので、茨城県民としてはぜひ水戸黄門を主人公にした作品が欲しいところだ。個人的には「ダイオージャ」のリメイクも捨てがたいが(笑)。

 

(※3)水戸学

「水戸黄門」こと徳川光圀によって編纂が始まった歴史書『大日本史』は、二百数十年かかって明治時代にようやく完成したのだが、その過程で生まれた思想や学問が「水戸学」である。
 ざっくりいうと「天皇を中心に、日本が一つになって外国に対抗すっぺ」という考えで、幕末の尊王攘夷運動や明治維新に大きな影響を与えた。当時の水戸は時代の最先端だったんだかんね!
 
 

 

(※4)徳川斉昭

 第二代藩主・光圀と並び称されるのが、第9代藩主の斉昭。「とにかく勉強が必要だ」ということで藩校・弘道館をつくったり、藩民の憩いの場・偕楽園を整備したりと、業績は枚挙にいとまがない。
 子だくさんでも有名で、男の子22人、女の子14人をもうけている。つけた名前が結構適当で、長男以外は二郎麿、三郎麿……二十麿など。なんだかなぁ。で、7男の七郎麿がのちに一橋家に養子に行き、最後の将軍・慶喜となった。慶喜は、茨城にルーツを持つ人のなかで、最も出世した人物といえるだろう。

 

(※5)ケーブルカー

 筑波山神社の拝殿(お宮)の脇にある「宮脇駅」と、男体山の御幸ヶ原にある「筑波山頂駅」を結んでおり、関東では2番目に古いケーブルカー(いちばん古いのは箱根のケーブルカー)。
 筑波山頂駅のとなりにはケーブルカー直営の「コマ展望台」があり、これはレストランのフロア全体がコマのように回転して、席に座ったまま360度見渡せたことに由来している。が、現在フロアは回っていないので、自分がコマになって回るしかない(汗)。
 
 
 

 

(※6)藤田東湖

 水戸学中興の祖といわれる藤田幽谷の子で、水戸学を発展させた人物。尊王思想を説いて、幕末の歴史、思想史に大きな影響を与えた。東湖の子が、天狗党のリーダー・小四郎である。
 ちなみに名前の「東湖」は、生家の東側に千波湖があったことから。その生家は「藤田東湖生誕の地」として井戸が残っており、東湖の像と石碑が立っている。
 でも待てよ! その場所から千波湖は「南(南西)」だっぺよ!?……じつは千波湖は埋め立てが進んで、当時の3分の1の大きさになっており、東に湖はなくなってしまったのだ。
 

 

(※7)もし幕府と対立したら……

 あの渋沢栄一が編纂した『昔夢会筆記』(平凡社/東洋文庫 1966年)によると、斉昭は光圀以来の家訓として、慶喜に次のように伝えたとか。
「もし朝廷と幕府が武力衝突するようなことがあれば、幕府に背くことになっても朝廷に逆らうようなことがあってはならない」
 もうすぐ1万円札に描かれる名士・渋沢は尊王思想に大きく傾斜しており、天狗党にも心を寄せていたんだな。ところが慶喜との出会いで、渋沢は天狗党討伐に加わることに……
 という話が、2021年の大河ドラマ「青天を衝け」で描かれるはず。天狗党ネタは、時代を先取りしてんだかんね!

 

(※8)安政の大獄/桜田門外の変

 歴史の授業で必ず習うこのふたつ、じつは茨城県に大いに関係のある話なのだ。
 大老・井伊直弼にとって、バリバリの尊皇派である斉昭は目の上のたんこぶ。不平等条約を天皇の許可なく勝手に結び、幕府の跡継ぎを水戸徳川家出身の慶喜ではなく、紀州徳川家の家茂にした直弼は、反対勢力を「やりすぎだっぺ!?」ってぐらい、徹底的に弾圧。これが「安政の大獄」だ。ほんの一例をあげると、水戸藩の重鎮や尊皇派の吉田松陰は死罪、水戸藩主・慶篤や、その弟で一橋家を継いでいた慶喜は謹慎、斉昭は永蟄居、てな具合。
 これにいじやけた水戸藩士や一橋派(後継問題で慶喜を推していた一派)の薩摩藩士などが暴発。いまの東京タワー近くの愛宕神社で集合して、江戸城の桜田門近くで直弼を襲撃し首をとった。これが「桜田門外の変」だ。
 2010年には、「水戸藩開藩四百年記念」ということもあり、茨城県が総力を挙げて映画化に協力(『桜田門外ノ変』原作:吉村昭)。水戸藩士の視線から描かれているので、まだ観たことのない人はぜひチェックしてくれ!

 

(※9)天狗党

 開国で海外の安い綿織物などが国内に流通するようになり、それまで綿花などを作って暮らしていた庶民の生活が圧迫され、「なんとがすっぺ」と立ち上がった人たちが起こしたのが「天狗党の乱」。「乱」というのは多数派から見たもので、本人たちに言わせると「義挙」になる。
「水戸藩士=テロ集団」などといわれることもあるけど、無差別に破壊行為をしたのではなく、彼らの行動にはきちんと筋が通っているのだよ。
 え、その「かたくなさ」がいけないんだって? 根回しをしたりして、もっとうまくやれって? そんな器用なことができるなら、そもそも「7年連続魅力度最下位」にはなってねえべよ

 
 
 

だっぺ帝国の逆襲は隔週掲載です。
次回は10月5日ごろに公開予定です。

 

作者よりひとこと+プロフィール

今回のお題:茨城の秋

sato
■漫画:佐藤ダイン(サトウ/ダイン)
 僕は高校まで茨城にいて、それ以降しばらく茨城を離れていたこともあり、秋っぽいところにどこか行ったかなと思い返してみると「絶景スポット〇選!」というような場所よりかは、小学校時代の思い出がじんわりと蘇ってきました。
 それはイチョウの木の鮮やかな黄色と銀杏の独特の匂い、それからサツマイモをアルミホイルで包んで落ち葉で焼き芋にしたりといった何気ない日常の1コマです。

1984年、茨城県大子町出身。芸術系の大学在学中から漫画誌に投稿を続ける。サラリーマン生活、漫画家のアシスタントを経て、『桃色な片想い』(『月刊!スピリッツ』)でデビュー。

 

aoki
■監修:青木智也(アオキ/トモヤ)
 秋の風景といえば「紅葉」を思い浮かべる方が多いと思いますが、紅葉の時期って秋の終わり頃なんですよね。茨城で秋の訪れというとやはり「稲刈り」でしょうか! 稲刈りが始まると秋が来たな~って感じますね。稲刈りが終われば「新米」も食べられますし、景色の面でも味覚の面でも季節の変化を感じられるのです。
 まあ、味覚といえばお米に限らず、栗やさつまいもなど、茨城には美味しいものがいっぱいありますよ。秋の茨城は、コロナ太りの私の身体をさらに成長させてくれることでしょう(苦笑)。

1973年、茨城生まれ。WEBサイト「茨城王(イバラキング)」を立ち上げるかたわら、常総ふるさと大使、いばらき統計サポーター、茨城県まちづくりアドバイザーなどとしても活動。

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