本との偶然の出会いをWEB上でも

【茨城県民マンガ】だっぺ帝国の逆襲〈第24回〉 埼玉さんには負けられめぇ! 漫画/佐藤ダイン 監修/青木智也

茨城独立のため、国境見学に来たダイゴたち。埼玉との“国境”では、茨城のとある町が埼玉との合併に乗り出していたことを知る。やれやれ、ホントに“国土”を守れんだっぺが……?

 

このあとのマンガでは、かつて蛇行していた
暴れ川・利根川を「まっつぐ」(日本語訳:まっすぐ)にしたことで
河跡湖が生まれたことを紹介しているが、
利根川の支流・小貝川も忘れちゃなんねえど。
川の太さじゃかなわないが、その暴れっぷりは
坂東太郎(利根川)に勝るとも劣らないほど
だったんだかんね。
たとえばある場所では小貝川が
常総市(右岸)とつくば市(左岸)の境になっているけど
地図をよ~ぐ見てみっと、常総市が左岸に張り出したり
つくば市が右岸に進出したりしてんのよ。
かつて、うねうねと蛇行していたので
水害が多発していた
ことを物語ってんだわ。
だから、河跡湖もあちこちに残っているっつーわけだ。
そのひとつ、吉野公園は珍しい市営のヘラブナ釣り場。
日々の喧噪に疲れたら、吉野公園でまったりすんのもいがっぺよ!

 

■登場順物紹介


水卜慶国(みと・よしくに)
茨城再生プロジェクトのリーダー。だが、頼りにならない……かも。


袋田ダイゴ
この物語の主人公。茨城の地位を押し上げるために奮闘を続ける。


平野五月
茨城愛にあふれるこの物語のヒロイン。平将門の末裔。


ハチ(湯田八郎)
茨城生まれの母と、栃木生まれの父をもつ、プロジェクトのアルバイト。

昆沙流(こん・さる)
経営コンサルタント。左遷されて水戸出張所にいるが、巻き返しを狙っている。

佐々木助五郎(ささき・すけごろう)
ご老公のアシスタント。茨城と群馬のハーフ。茨城弁は不得意。愛称は助さん。

熱海格之介(あつみ・かくのすけ)
熱心な茨城信者。助さんと同じく、ご老公のアシスタント。愛称は格さん。

 

■前回までのあらすじ

葉物野菜からトロピカルフルーツまで栽培しており、漁業も工業も宇宙航空産業も手中に収めている茨城。「その価値をわかってもらえないなら独立しよう!」ということになり……。
 
 
 
 
 
 
 

マンガ中の記号(※1)などは、マンガのあとに出てくる“県民も知らない茨城の秘密”「だっペディア」の番号と対応しています。
 
 








 
 

■エピローグ
果たして、助さん、格さんはちゃんとオシゴトしてくれているのか……!?

 
 

だっペディア 第24回

マンガに登場するローカルな用語などを、徹底解説!
これであなたもイバラキアン(茨城人)の仲間入りだ!

 

(※1)五霞町

 茨城側から見て、全域が利根川の向こう側にある県内唯一の市町村。現在、茨城側と五霞町は、国道4号バイパスおよび圏央道でつながれている。が、かつて利根川を渡る新利根川橋は有料で、同じ県内なのにお金を払わないと行き来することができなかった(汗)。しかも、新利根川橋ができる1981年までは、茨城本体と五霞町はダイレクトにつながっておらず、他県を経由しないと行けなかったのである(大汗)。そりぁ、埼玉と合併したくなるわなぁ……
 町内には工場が多く立地しており、キユーピーやヤクルトは小学校の工場見学の定番コースとなっている。
 なお、町内最大の商業施設といえる「道の駅ごか」は、同じ4号バイパス沿いにある「道の駅まくらがの里こが」と表記が似ているので間違えないように注意しよう。「まくらがの里」がつかないほうが五霞だかんね!

 
 

(※2)「こもれび森のイバライド」

 稲敷市にある農業体験公園で、かつては「ポティロンの森」という名称で親しまれていた。「ポティロン」はフランス語でかぼちゃを意味し、地元特産の「江戸崎かぼちゃ」にちなんで名付けられたものだ。2016年に「イバライド」としてリニューアルし、園内にはシルバニアファミリーの村を再現した「シルバニアパーク」がつくられている。
 ところで、イバライドという名称は明らかに茨城を連想させるものだが、語尾の「イド」の由来が個人的に気になるところだ。もしかして江戸崎の茨城なまり「イドサギ」から「イド」を取って、RPGゲーム「ハイドライド」っぽくしたのだろうか……。
 まあ、ホントは「イド」じゃなくて、乗り物を意味する「ライド」からネーミングしたのだろうが、園内にライドらしいライドはそんなにない(苦笑)。
 由来はともかく、イバライドはスバラシイド~!

 
 

(※3)「常陽銀行」

 明治時代の第六十二国立銀行(水戸)と第五十国立銀行(土浦)を源流とする県民銀行。六十二銀行はのちに常磐銀行と改称され、そこに五十銀行がくっつくことになるのだが、「常陽銀行80年史」によると、合併後の新銀行名を「常磐銀行」とするのは憚られたので、「常磐」と同じ意味の「常陽」としたらしい。五十銀行への気遣いが生んだ行名なんだな。
 ともあれ、常陽銀行は北関東最大の銀行でもあり、おとなり栃木の足利銀行と経営統合した「めぶきフィナンシャルグループ」は地銀としては全国第3位の銀行グループとなっている。
 県内ほとんどの市町村に支店があるが、河内町と五霞町にだけは支店がない。ただし、河内町にはATMがあるので、常陽銀行を利用できない市町村は五霞町だけとなっている。五霞町の埼玉化を防ぐために、ぜひATMだけも作ってほしいものだ。

 
 

(※4)(五霞町は)埼玉になりかけた

 ただでさえ生活圏が埼玉の五霞町がホントに埼玉県になりかけた、平成の大合併における県内最大の合併未遂事件。
 町民アンケートで埼玉県幸手市との合併を望む声が多かった五霞町が、幸手市と合併協議会を設立し、越境合併に乗り出す。しかし、相手先の幸手市では久喜市との合併を優先する声が根強く、幸手市長のリコール運動にまで発展。五霞町との合併を進めていた当時の市長は辞職し、市長選挙で五霞派と久喜派が激突した。結果、久喜派が勝利し、五霞町と幸手市との合併協議会は解散……茨城県民はほっと胸をなでおろしたのだった。
 以後、五霞町に合併の動きは見られないが、もし今後「令和の大合併」があるなら、けっして油断はできぬ! 県民は五霞町の動きを注意深く見守らねばなるまい。

 
 

(※5)利根川の東遷

 江戸に幕府を開いた徳川家康は、治水や水運、新田開発のために、東京湾(江戸湾)に注いでいた利根川を付け替えて、銚子方面の太平洋に流す大工事に着手した。それまでは五霞と茨城本体の間に川はなく、完全に陸続きだったのだが、この利根川東遷事業で五霞が川で隔てられることになる。
 ただ、この時点では五霞の西側、つまり、埼玉との県境に「権現堂川」が流れており、こちらが利根川の本流だった。それが、昭和3(1928)年に廃止されて、現在の利根川の流路が確定。こうして五霞町はまるごと埼玉県側になってしまったというわけだ。
 とはいえ、権現堂川は上流の利根川との接続部分がせき止められただけで、その跡は残っており、再び流路を変えて利根川とつないであげれば、名実ともに五霞町を茨城側に持ってこられる可能性は残されている(笑)。
 まあ、そんなことをしたら、利根川の水があふれだして、埼玉が水浸しになって大ひんしゅくを買うことは間違いないが(苦笑)。えっ、別にいいって!?(汗)

 
 

(※6)古い妖怪の末裔

 五月は平将門の娘・瀧夜叉姫(五月姫)の末裔。瀧夜叉姫は将門が討ち取られた恨みで妖術を身につけ、朝廷を襲ったといわれる。五月は「妖術なんて使っていない」と否定しているが、五月自身がときおりゾッとするような表情を見せたりしており、「妖怪の末裔」ってのもあながちウソとも思えないんだけど……。
 詳しくは第12回を見てくれ。

 
 
 
 
 
 
 
 

(※7)小堀

『角川日本地名大辞典 8茨城県』によると、「小堀」は、「堤防決壊によってできた沼地をオッポリとよぶところから由来したとも考えられる」らしい。とはいえ、無理矢理なこじつけにも見えるから、本当のところはわからない。葦(アシ)は「悪し」に通じるからをヨシ(良し)といったり、スルメは「(賭に負けてお金を)擦る」「(お金を盗む意味の)掏る」と通じるからアタリメ(当たり! ラッキー)といったりするなど、日本にはネガティブな響きの言葉を験担ぎで逆の呼び方にする伝統があるから、この地名もそういう由来なのかもね。
 ちなみに取手市に問い合わせたところ、小堀では上水道や電気は千葉県側の施設を利用しているそうだ。電話の市外局番も、取手市の0297ではなく、千葉県我孫子市の04。まあ、千葉側が地続きなんだから当たり前か。でもゴミ集積所の管理や回覧板などの地域活動は地元の自治会が行い、ごみ収集は取手市が実施している。
 けっして理想的な環境とはいえないと思うけど、五霞町のように、県境を変えようとする動きは記録に残っていないそうで、なんだが安心しちったよ。

 
 

(※8)

 小堀地区と取手市の本体とを結ぶ「小堀の渡し」大正3(1914)年に運行を始めたというから、100年以上の歴史を誇っている。現在の「とりで号」は、小堀から対岸の取手緑地公園駐車場前まで7分、そこから取手駅に近い取手ふれあい桟橋まで6分、小堀に戻るのに13分というひと筆書き航路で運航。一日7本、1区間大人200円だ。ちなみに住民の足だった経緯があるので、小堀地区の住民は無料で利用することができる。
 かつては通学にも使われていたが、マンガでも描かれているように、数名いる小中学生は現在、スクールバスで取手市内の学校に通っているとか。
 江戸川沿いの葛飾区柴又と松戸市下矢切を結ぶ「矢切の渡し」は定番すぎておもしろくないというあなた、一度は利根川の「小堀の渡し」を試してみてくろっ!

 
 

だっぺ帝国の逆襲は隔週掲載です。
次回は4月中旬ごろに公開予定です。

 

作者よりひとこと+プロフィール

今回のお題:「私が考える魅力度ランキング」

sato
■漫画:佐藤ダイン(サトウ/ダイン)
1位 沖縄県
2位 茨城県
3位 東京都
4位 神奈川県
5位 新潟県
6位 栃木県
7位 埼玉県
8位 大阪府
9位 愛知県
10位 山梨県

 魅力度ランキングというよりは、「どれだけ自分と関りが深いか」のランキングになってしまったかもしれません。つまりは、長く住んでいれば当然ながらその土地に思い入れが強くなり、それらの県が上位になっています。そういった意味では、住んだことがないのに沖縄を1位にしたのは、思い入れを抜きにしてもたった1回の旅行のインパクトが大きかったからです。
 いざランキングをしようと思ったときに、あまり知らない県はそもそも順位のつけようがないので、あらためて「まずは知ってもらうこと」の大切さを感じました。

1984年、茨城県大子町出身。芸術系の大学在学中から漫画誌に投稿を続ける。サラリーマン生活、漫画家のアシスタントを経て、『桃色な片想い』(『月刊!スピリッツ』)でデビュー。

 

aoki
■監修:青木智也(アオキ/トモヤ)
1位 茨城県
2位 群馬県
3位 栃木県
4位 山口県
5位 滋賀県
6位 岡山県
7位 埼玉県
8位 福島県
9位 山梨県
10位 徳島県

 これは2010年に「茨城王」のWebサイトで発表された「裏魅力度調査」のトップ10です。この調査は、巷の魅力度調査に対して、「魅力度とか言ってっけど、結局、わかりやすくて、キャラが立ってて、口がうまくて、イメージが画一的な観光地の勝ちだっぺよ」とか、「いや~観光で行くのはいいかもしんねーけど、はっきり言ってぜんぜん住みてえとは思わねぇ」という、茨城県民が口にせずとも心に秘めた不満に応えることを目的に行われたものです(笑)。
 どういう基準でこのような順位になったかは、ここでは書ききれませんのでぜひ「茨城王」のサイトでご確認ください。

●茨城県が裏魅力度調査2010で第1位を獲得
http://www.ibaraking.com/archives/1540

1973年、茨城生まれ。WEBサイト「茨城王(イバラキング)」を立ち上げるかたわら、常総ふるさと大使、いばらき統計サポーター、茨城県まちづくりアドバイザーなどとしても活動。

<「だっぺ帝国の逆襲」連載記事一覧はこちらから>

記事一覧
△ 【茨城県民マンガ】だっぺ帝国の逆襲〈第24回〉 埼玉さんには負けられめぇ! 漫画/佐藤ダイン 監修/青木智也 | P+D MAGAZINE TOPへ