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【栃木県民マンガ】負けるな!ギョーザランド!! 第1回 ギョーザの国の神様はダジャレがお好き!? まんが/いちごとまるがおさん 監修/篠﨑茂雄

世界遺産「日光の社寺」を擁し、中禅寺湖や華厳の滝、那須温泉郷……と、観光資源には事欠かない栃木県。しかし、いまひとつ……いや、みっつくらいアピールできていない。そこで、栃木県の神様チャオズと、いちごの天使が敢然と立ち上がった! 茨城、群馬、埼玉たちライバルの妨害に負けず、栃木の魅力をこれでもかというほど世間に見せつけてやる!

 

大ヒットマンガ「だっぺ帝国の逆襲」に次ぐ第2弾
今度の舞台はギョーザの国だ!

連載が始まるやいなや県内外で大きな評判を呼び
ラジオのレギュラー番組ができたりして
茨城県の“一時”最下位脱出に大貢献した「だっぺ帝国の逆襲」。
単行本も県内多くの書店でランキング1位を獲得し、
一大ブームを巻き起こしたが、
その勢いに乗って、県民マンガ第2弾となる
「負けるな!ギョーザランド!!」をお届けする!
舞台は言わずと知れた栃木県。
「日本一影が薄い県」と呼ばれ、
2020年にはついに「魅力度ランキング」最下位になっちまったギョーザの国を、
栃木神・チャオズと、いちごの天使イチマルが救う
痛快無比の下克上ストーリー
だ。
県を代表する姉妹漫画家と、県をこよなく愛する民俗の専門家が
がっちりスクラムを組んで、
栃木県民も知らない隠れ名所や歴史秘話、
全国区化必至の下野グルメなどもどしどし紹介すっから
見逃さないでくれ!

 

マンガ中の記号(※1)などは、マンガのあとに出てくる用語解説「餃子国の歩き方」の番号と対応しています。
 
 












 
 

 

■チャオズ(※1)


 このマンガにおける栃木県の神様の名前は「チャオズ」。栃木県の名物である「餃子」を中国語読みしたものだ。
 都道府県の神様の性格は、それぞれの県民性を反映している。そのためチャオズは、積極性に乏しく、気弱。アマテラスに栃木県の魅力度アップを命じられたが、この手のミッションは苦手なはず。大丈夫なのだろうか……?

 

■神番付(※2)


 県神の番付は、「地域ブランド調査」などのランキングや地域への貢献度などで決まるらしい。ブランド総合研究所が毎年行っている「地域ブランド調査」の2021年度の結果は41位。前年度の最下位からは浮上したが、まだまだ最下位争いからは抜け出せない。なんたって、2009年からの13回の調査で、栃木県が30位台になったのはたった一度だけなのだ。
 ただ、栃木県民は郷土愛が薄いといわれる。栃木県が最下位になったときには知事が厳重に抗議したようだが、全国ニュースで話題になるほどのインパクトはなかったようだ。
 もともと小さな藩が多かった栃木では、みんなで一致団結して「栃木を盛り上げよう!」なんてことにはなりにくいのかもしれない。
 でも、もはやそんなことは言っていられない。チャオズ、がんばってくれ。

 

■日光(※3)

 徳川家康を祭るために建てられた日光東照宮。東照宮のほかにも華厳の滝、中禅寺湖、江戸村など見どころが多く、担当編集者は毎年家族で日光猿軍団の校長先生がつくったログハウスを利用しているとか。
 ユネスコ世界遺産にも登録されており、そのネームバリューは世界レベル。「日光は知っているけど、栃木県だなんて知らなかった!」なんていう県外の人も多い。完全に「日光>栃木」という図式になってしまっているが、もう嘆いても仕方がないだろう。
 栃木県民は小学校の遠足などで、たいてい一度は日光に行っている。とはいえ、小学生に歴史的な建造物の重みなんてわかるはずもないから、バスで「いろは坂」を通ったときにメチャメチャに車酔いしたり、華厳の滝で心霊写真が撮れてしまって大騒ぎになったり、県民的には、そんなしょうもない思い出が9割を占めているはずだ。

 

■餃子(※4)

 宇都宮といえばギョーザ。だが、近年ではその地位が少し危うくなってきた。2010年まで15年連続で餃子の消費額が日本一だった宇都宮市は、2011年から浜松市に何度も追い抜かれてしまっている。また、最新のランキングでは宮崎市がトップに立っており、宇都宮、浜松、宮崎の三つどもえの様相だ。
 ギョーザランド、うかうかしていられねーべ。

 

■栃木市(※5)


 県名と同じ名前なのに、県庁が置かれていない市は全国に3市だけ。沖縄市(県庁所在地は那覇市)、山梨市(同・甲府市)、そして栃木市だ。那覇市も甲府市も県誕生当初からの県庁所在地で、沖縄市と山梨市は市町村の合併で誕生した比較的新しい自治体だ。
 ところが、栃木市の場合は事情が違う。1871(明治4)年の廃藩置県で栃木県と宇都宮県が誕生し、その後、宇都宮県が栃木県に併合されたので、県庁は、当然栃木(現在の栃木市)に置かれた。ところがその後、「栃木より宇都宮のほうが発展している」「栃木は県の南端だけど、宇都宮は県の真ん中にある」などとして県庁移転運動が盛り上がる。そこへ新しく赴任してきた県令(知事)・三島通庸(みちつね)が「宇都宮がいい」と肩入れし、1884年に移転が実現したのだ。
 その後、東日本の大動脈・東北本線が大宮-宇都宮間で開通してますます宇都宮の格が上がる一方、ルートから外れてしまった栃木には両毛鉄道(現・両毛線)が敷かれたが、勢いの違いは歴然。現在の人口は、北関東最大の都市である宇都宮が約52万人、県内3位の栃木市が約15万人と、トリプルスコア以上の差が付いてしまっている。ああ……。
 でも、穏やかな雰囲気の栃木市はそぞろ歩きにうってつけ。蔵造りの街並みが保存されているし、県庁跡地に建てられた旧栃木町役場は、いま流行の大正ロマン漂う建物だ(修復されて栃木市立文学館として今春開館予定)。そのすぐ目の前には、「県庁堀」という掘り割りも残されている。いい町なので、ぜひ来てくろな!

 
 

■栃木県はオリジナリティあふれる県(※6)


 県名の由来は、栃木の神明宮の屋根にある千木(ちぎ)は、遠くから見ると10本(とお)あるように見えたから、神社の周辺を「とおちぎ」と呼ぶようになったとか。それが「とちぎ」に変化したらしい。ほかに、トチノキがたくさんはえていたから、という説もあるけど、こっちのほうがおもしろい。
 で、「トチ」には橡、杤、櫔、栩、檪、杼……など、昔からいろんな字があてられてきた。このうち「杤」は日本で作られた国字で、「とお(十)×ち(千)」で「万」だから、「木+万」をトチノキを表す字にしたらしい。つくられた、といっても平安末期のことだから、1000年以上前の話だけど。
 さて、廃藩置県で栃木県ができたとき、地元の人が普段から使っていた「杤木」が県庁の看板にも使われていた。でも、公式文書では小難しい「橡木」使われていたから、いったいどっちが正しいんだ! と大騒ぎに。で、県か国の官僚が、トチという音を持つ字のひとつ「櫔」から、「萬」を略して「栃」という字を編み出し、それが正式に採用されて「栃木県」になったとか。
 さらに、栃木県のために生まれた「栃」という字が、やがてデファクトスタンダードになって、全国の地名や植物の名前に使われるようになった。つまり、あなたの知らないうちに「日本全国栃木化作戦」が進行中なのだよ。
 全国の諸君!「栃」という字を見る度に、栃木県に思いをは馳せてくれたっていいんじゃないか!?

 
 

「負けるな!ギョーザランド!!」は、毎月10日と25日に公開予定です。


 

■プロフィール

まんが:いちごとまるがおさん

田んぼに囲まれた田舎で創作活動を続ける、ひきこもりのおたく姉妹ユニット。栃木県佐野市在住。
姉の小菅慶子(代表)は1985年生まれ。グラフィックデザインから漫画、動画編集、3DCGまでやりたいことはなんでもやる。通信制高校の講師も。趣味はゲーム、ホラー映画、都市伝説。

 

監修:篠﨑茂雄

1965年、栃木県宇都宮市生まれ。大学・大学院で社会科教育学(地理学)を専攻したのち、県立高校の社会科教員を経て、現在は博物館に勤務。学芸員として、栃木県の伝統工芸、伝統芸能、生産生業、衣食住等生活文化全般(民俗)の調査研究、普及教育活動を行う。
著書は『栃木「地理・地名・地図」の謎』(じっぴコンパクト新書)、『栃木民
俗探訪』(下野新聞社)など。

■作者よりひとこと

(いちごとまるがおさん)
栃木県佐野市に生まれ育ち、はや30年以上……今回、栃木県漫画を描くにあたり、改めて栃木の魅力やおもしろさを再発見しながら漫画を描いています! 個性的なキャラたちと一緒に、自虐も込めて楽しく魅力を伝えられるよう制作しますので、最後まで生暖かく見守っていただけると嬉しいです!

(篠﨑茂雄)
生まれも育ちも栃木県。地元の自然や文化を愛するあまり、人生の大半を栃木で暮らしている。趣味は鉄道旅行。暇を見つけては、各地を訪問し異文化にふれている。栃木の知名度が低いことは気になるところ。この場をかりて栃木の魅力を伝えていきたい。

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