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池上彰・総理の秘密<3>

早くも大好評の連載「総理の秘密」の3回目。ロシアのプーチン大統領が来日し、北方領土問題など、日本を取り巻く世界の情勢は日々動いている。さて、1回目のテーマで「総理と首相の違い」について述べたが、では、「首相と大統領の違い」については、正確にわかるだろうか? たとえばロシアには、大統領と首相が存在する。そこにはどのような違いがあるのか? 知っておくとニュースがより面白くなる、必読のコラム。

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首相と大統領の違いは?(前編)

このコラムの一回目のテーマは「総理と首相の違い」でした。同じように多くの読者が疑問に思うのが、首相(総理)と大統領の違いではないでしょうか。日本のように首相はいても大統領がいない国がある一方で、大統領と首相の両方が存在する国もあります。何が違うのでしょうか。

一言で言えば、大統領は共和制国家(王様がいない国)の国家元首であり、首相は行政組織のトップです。

共和制国家の多くは、かつて君臨していた皇帝や国王を革命やクーデターで追放(あるいは殺害)して成立しています。アメリカのように、まったく新しく国づくりをしたところもあります。その国家を代表するトップなのです。

一方、首相は、財務省や外務省など国家の行政組織のトップです。首相が内閣を組織し、各大臣に命じて組織を動かします。

大統領と首相の両方がいる国は、大統領が国家を代表し、首相が国内政治を受け持ちます。

でも、国によって、大統領の力の強いところと、首相の方が強い力を持っている国があります。その違いは、大統領が国民の直接選挙で選ばれているかどうかです。

ロシアやフランス、韓国などは大統領が国民の選挙で選ばれますから、強い力を持ち、首相を任命して、ふだんの国内の政治は首相に任せます。

一方、ドイツやオーストリア、インド、イスラエルなどは、選挙で選ばれた国会議員の中の多数政党のトップが首相に就任し、政治的に一番強い力を持ちます。こういう国では、大統領は議会が選ぶことが多く、大統領は国家元首ではありますが、国民統合の象徴のような存在で、政治的な力はありません。では、アメリカや日本は? それは次回に。

池上彰 プロフィール

いけがみ・あきら

ジャーナリスト。1950年、長野県生まれ。慶應義塾大学卒業後、NHKに入局。報道記者として事件や事故、教育問題などを取材。「週刊こどもニュース」キャスターを経て、2005年に独立。著書に『そうだったのか! 現代史』『伝える力』『1テーマ5分でわかる世界のニュースの基礎知識』ほか多数。

1961年6月21日 ワシントン発 ホワイトハウスで20日、一連の会談を前に、写真撮影に先立っておしゃべりするケネディ大統領(左)と池田勇人首相。後方左から朝海浩一郎・駐米大使、ディーン・ラスク国務長官、小坂善太郎外相、エドウィン・ライシャワー駐日米大使、通訳のジェームズ・ウィックル(UPI=共同)

談笑する池田勇人総理とアメリカのケネディ大統領(左)
1961年(昭和36)6月20日からの日米首脳会談で訪米した池田総理は、J.F.ケネディ大統領と会談を重ね、「貿易および経済問題に関する閣僚級の日米合同委員会を設立する」などの共同声明が出された。写真は、会談前にホワイトハウスで雑談を交わす池田総理とケネディ大統領。写真/共同通信社

(『池上彰と学ぶ日本の総理3』小学館 より)

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