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文学的「今日は何の日?」【2/24~3/1】

あの名作が世に出た日。
憧れのヒロインの誕生日。
かの大作家の失恋記念日。
……そう、毎日が何かの記念日です。さて、今日は何の日でしょうか。
2月24日から始まる1週間を見てみましょう。

2月24日

今日の日付がタイトルになった運命悲劇『二月二十四日』

ドイツ・ロマン派の劇作家ツァハーリアス・ヴェルナーは、『フン族の王アッティラ』や『サルマート人の女王ヴァンダ』といった歴史劇で有名です。代表作は『二月二十四日』で、スイスの寒村で旅籠を営む夫婦が零落し、いよいよ明日には住居を競売にかけられるという2月24日の深夜、ひとりの男が一夜の宿を求めてやってきたことで起きる悲劇を描きます。1810年、ワイマールでドイツ文壇の巨人ゲーテの手で初演され、大成功を収めました。「運命劇」と呼ばれるジャンルの嚆矢とされています。

20200224
出典:https://www.amazon.co.jp/gp/product/4336026947/

 

2月25日

手紙だからこそ伝わる「本気」が2人の運命を狂わせる

直木賞作家・井上荒野の小説『綴られる愛人』において、この日を最後に、クモオからの凜子への手紙が届かなくなりました。2人の名はどちらもペンネームで、文通コミュニティ「綴り人の会」を通じて知り合います。何度か手紙のやりとりをするうちに、凜子が夫からDVを受けていること、毎月決まった日に決まった道を歩いて酩酊状態で帰宅すること、夫さえいなくなればクモオに会えること――を凜子が書き送っていたのでした。返事がなかったことで、凜子の「本気」を感じたクモオが逃げたかと思われた矢先、事件が……。

20200225
出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4087710122/

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2月26日

江戸の町を騒がせた御金蔵破りの犯人2人が召し捕られる

明治期に活躍した劇作家で、小説家としても名高い岡本綺堂の人気小説シリーズ『半七捕物帳』。その第47話「金の蝋燭」において、安政7年のこの日、御金蔵破りの藤岡藤十郎と野州無宿の富蔵が捕らえられました。大胆にもこの2人は、江戸城本丸の御金蔵から小判4千両(現在の1,600万~4,000万円)を盗み出したのです。それから一月ほどして、両国橋から1人の女が身を投げます。腕に抱えた風呂敷包みにはやけに重たい数本の蝋燭が……。それは金無垢の延べ棒に蝋を流しかけ、蝋燭に見せかけたものでした。女の正体は何者か。御金蔵破りの4千両との関わりは? 半七の推理が光ります。

20200226
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2月27日

継兄との確執、母への愛惜――非行少年・宇野行助の真実に迫る

昭和文芸を代表する稀代の流行作家・立原正秋の小説で、テレビドラマ化もされた『冬の旅』。作中でこの日、宇野行助(ぎょうすけ)が多摩少年院から仮退院しました。行助の母・澄江は、宇野理一と互いに子連れで再婚をしており、行助は理一の連れ子で継兄の修一郎を出刃包丁で刺して重傷を負わせ、少年院に送られたのです。両親や担任教諭、取り調べに当たった刑事までもが「このようなことをする子ではない」という行助。けれど彼は頑なに口をつぐみ、修一郎を刺した理由を語ろうとしません。母への愛惜の念と、血のつながらぬ継兄に対する復讐心を胸に、孤独に満ちた生活を送る行助。社会復帰を希う非行少年たちのあたたかい友情自己格闘を描く長編です。

20200227
出典:https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D029460000d0000000

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2月28日

幸地秀吉とその妻が、幼い娘とともに謎の失踪

たたみかけるようなハードボイルドタッチの作風で人気の佐藤正午。彼の山田風太郎賞受賞作『鳩の撃退法』において、2月28日の朝8時半、幸地秀吉は幼稚園生の娘・茜に「ヒデヨシ、起きて」と揺り起こされます。妻の体調が悪く、娘の朝食と登園のつきそいを頼まれたのでした。妻の体調不良は妊娠によるものとわかりますが、なぜかその日のうちに、幸地一家は忽然と姿を消してしまいます。同じ日の未明、偶然にもドーナツショップで秀吉と相席したかつての売れっ子作家・津田伸一もまた、この日を境に大量の偽札をめぐる裏社会とのトラブルに巻き込まれていくのでした。幸地一家はどこへ消えたのか? 鳩の撃退とは何をさすのか? すべてはこの日、動き出すのです。

20200228
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09406486

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2月29日

同じ誕生日のぼくとおばけの「うるう」の友情の物語

劇作家であり、「ラーメンズ」でコメディアンとしても人気の小林賢太郎が絵と文を手がけた『うるうのもり』。新興住宅地に越してきた10歳のぼくは、「行ってはいけない」と言われた黒い森で、髪は真っ白だけれど老人ではない、不思議な男性「うるう」と出会います。2人はともに2月29日が誕生日。二人三脚でも騎馬戦でも、いつも1人だけ余ってきたと話す、うるうは、自らを「うるう(びと)と呼び、「ないはずの1が世界のバランスをとる」と孤独を選んで、ぼくとの交流を拒みます。ですが、うるうにはもっと大きな、切ない秘密があったのでした。美しい友情にほろりとさせられる、大人こそ読みたい絵本です。

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出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4062199173/

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3月1日

狙う相手は義弟! 剣の達人・又十郎の孤独な戦いが始まる

脚本家として数々のヒット作を生み出してきた金子茂人の人気時代小説『脱藩さむらい』において、天保6年の3月1日、石見国(現在の島根県)で、浜岡藩奉行所の同心頭を務める香坂又十郎が、実父である戸川瀬兵衛の三回忌法要に参列しました。その晩、又十郎の義弟・兵藤数馬が秘かに香坂家を訪れ、先月又十郎が発見した水死体が公儀の密偵のものではないかとの疑念を口にします。後日、大目付・平岩左内から城内に呼び出された又十郎は、謀反を企てて出奔した藩士の追討を命じられますが、その藩士とはなんと数馬でした。失敗すれば妻はもとより戸川家にも累の及ぶ密命を帯び、又十郎の孤独な追跡が始まります。

20200301
出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09406555

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