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文学的「今日は何の日?」【9/28~10/4】

あの名作が世に出た日。
憧れのヒロインの誕生日。
かの大作家の失恋記念日。
……そう、毎日が何かの記念日です。さて、今日は何の日でしょうか。
9月28日から始まる1週間を見てみましょう。

9月28日

10代目松川鶴蔵、永田町の八百善で結婚披露宴を行う――宮尾登美子『きのね』

宮尾登美子の代表作『きのね』は、歌舞伎役者・11代目松川玄十郎(前名・10代目松川鶴蔵、本名・雪雄)を支えた妻・光乃の一代記。結核療養中の雪雄の世話をする下女中として光乃が雇われたのが、2人の出会いでした。快復した雪雄は歌舞伎の名門・松川家の養子となり、その美貌と実力で人気役者となっていきます。その間、彼の健康はもちろん、結婚・離婚、女性問題のすべてを影から支え続けた光乃を、雪雄も次第に大切に思うように……。2人の間に1男1女が生まれ、翌年には長男が小学校に上がろうという昭和28年9月28日、雪雄と光乃の結婚披露宴が永田町の料亭・八百善で行われます。この披露宴の場面は、宮尾の別の作品『菊亭八百善の人びと』にも描かれています。


出典:https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D052190000d0000000


出典:https://www.shogakukan.co.jp/digital/09D053120000d0000000

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9月29日

田中芳樹『アルスラーン戦記』の主人公・アルスラーンの誕生日

刊行開始から31年を経て2017年に完結した、田中芳樹のヒロイック・ファンタジー『アルスラーン戦記』。ルシタニア王国に征服されたパルス王国の王太子・アルスラーンが国を取り戻し、蛇王ザッハークとの戦いを終えるまでを描く大作です。パルス暦324年9月29日は、パルス国王となったアルスラーンの18歳の誕生日。ですがアルスラーンは都を離れ、ミスル王国との国境であるディジレの河畔にいました。ミスルがディジレ河を渡って侵攻してきたのです。パルス軍は、騎兵部隊が馬首をめぐらし、歩兵が作る盾の壁に身を隠しはじめます。勇み立つミスル軍ですが、次の瞬間、彼らが目にしたのは……!?


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9月30日

ギニア行きの途中で遭難したロビンソン・クルーソーが孤島に漂着する

ダニエル・デフォーの名作『ロビンソン・クルーソー』の主人公クルーソーは、イギリスの裕福な家の生まれ。外国に行きたいと思い続けていますが、両親は大反対です。しかし、18歳の時に友人の誘いでロンドン行きの船に乗り、家を出ました。貿易でひと稼ぎしようとギニアに向かい、海賊に捕らえられて奴隷生活を経験。やがて脱出してブラジルで農園経営を始めますが、仲間の誘いで再度ギニアに向かう途中で遭難し、孤島に漂着しました。1659年9月30日のことです。難破船から食料や道具類を持ち出してテントを作り、1人きりで自給自足の暮らしを始めて15年がたったある日のこと、彼は海岸の砂の上に人間の足跡を発見します。まさか食人種がこの島に!? 恐怖にかられたクルーソーは……。


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10月1日

世界的天文学者が、時間と意識の意味を問う――『10月1日では遅すぎる』

世界的な天文学者フレッド・ホイルは、『暗黒星雲』『アンドロメダのA』などの作品を残したSF作家でもありました。1966年に発表した『10月1日では遅すぎる』は、イギリスの物理学者ジョン・シンクレアが旅行先で突然失踪することから始まる物語です。13時間後に自力で戻ってきたジョンは、太陽が発信源とみられる「指向性を持った輻射線」のこと以外、失踪中の記憶を失っていました。何者が、何のために輻射線を発信しているのか? ジョンが研究を始めた矢先、戦争が始まってロサンゼルスが破壊されたとの知らせが入ります。しかし、これはさらなる混沌の始まりにすぎませんでした……。当時の最新理論を用いて、時間と意識の意味を問うたホイルの野心作です。


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10月2日

2万ポンドを賭けた世界一周の旅が始まる――ジュール・ヴェルヌ『八十日間世界一周』

ジュール・ヴェルヌの名作『八十日間世界一周』の主人公フィリアス・フォッグは、正確さを何よりも重んじるイギリス紳士。毎日同じ時間に起床し、〈改革クラブ〉で昼と夜の食事を取り、新聞を読み、トランプのゲームをして、毎晩12時に帰宅する生活を守っています。1872年10月2日、数日前に銀行で起きた盗難事件の話題から、「80日間で世界一周」ができるかが、クラブで議論になりました。全財産の半分にあたる2万ポンドを「できる」方に賭けたフォッグ。召使パスパルトゥーと共に、その夜8時45分の汽車で出発します。フォッグが盗難事件の犯人と睨む刑事フィックスも密かに2人を追います。期限は12月21日の夜8時45分。2人は無事に戻ってくることができるでしょうか?


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10月3日

パリ市庁で舞踏会が開かれ、国王夫妻が出席する――大デュマ『三銃士』

アレクサンドル・デュマ(大デュマ)『三銃士』は、ルイ13世時代のフランスが舞台の歴史小説。ルイ13世の妃アンヌは、フランス王家の仇敵ハプスブルク家の出身で、国王とは不仲でした。一方でイギリス貴族バッキンガム公爵と思いを通じ、国王から贈られたダイヤの飾りを「私だと思って」と渡してしまいます。それを嗅ぎつけた枢機卿リシュリユーは、舞踏会を開いて王妃にあのダイヤの飾りをつけさせるよう、国王をそそのかします。1625年9月20日のことでした。しかしその飾りはバッキンガム公と共にロンドンに渡っているのです。舞踏会が開かれるのは10月3日。主人公ダルタニャンと三銃士はそれまでにダイヤの飾りを取り戻し、王妃を救うことができるのでしょうか?


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10月4日

アーバーダンが電子掲示板討論フォーラムへの参加申請を行う――馬伯庸『沈黙都市』

歴史小説から武闘もの、寓話まで、幅広いジャンルの作品を手掛ける馬伯庸マーボーヨンの短編小説「沈黙都市」。「健全」と指定された言葉だけが使用を許されるという、極度の検閲体制が敷かれた管理社会を描くディストピア小説です。プログラマーのアーバーダンは、2046年10月4日付けで電子掲示板討論フォーラム(BBS)への参加申請を行っていました。子ども時代に経験したBBSへのノスタルジーと、刺激を求める気持ちからのことです。最終手続きの際に受け取った書類に奇妙なへこみがあることに気づいたアーバーダンを、思わぬ出会いが待っていました。『紙の動物園』などで日本でも人気の高いケン・リュウが編者を務める『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー』に収録されている作品です。


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