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文学的「今日は何の日?」【12/7~12/13】

あの名作が世に出た日。
憧れのヒロインの誕生日。
かの大作家の失恋記念日。
……そう、毎日が何かの記念日です。さて、今日は何の日でしょうか。
12月7日から始まる1週間を見てみましょう。

12月7日

プリマ・バレリーナ姫宮真由美が殺人未遂の末に死亡――秋吉理香子『ジゼル』

秋吉理香子が描く、華麗なるバレエ・ミステリーの開幕です! 創立15周年の記念公演に『ジゼル』を上演することとなった東京グランド・バレエ団。主役のジゼルは同バレエ団のプリマ・紅林くればやし嶺衣奈れいな、アルブレヒトは嶺衣奈の夫で芸術監督の蝶野幹也と決まります。『ジゼル』は同バレエ団が長らく封印してきた因縁の作品でした。15年前の12月7日に行われた『ジゼル』公演で、ジゼル役の姫宮真由美が公演開始時刻に遅れ、急遽、嶺衣奈が代役に立ちました。しかしそれを逆恨みした真由美が嶺衣奈をナイフで襲い、もみ合いの末に死亡したのです。記念公演の準備が進むなか、真由美の亡霊を目撃した幹也が階段から落ちて足を骨折。「真由美の呪い」との噂が流れ、団員の間に動揺が走りますが……。


出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09406822

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12月8日

元ビートルズのジョン・レノンが自宅前で殺害される

今から40年前の1980年12月8日に起きたジョン・レノン殺害事件は、世界中に大きな衝撃を与えました。アメリカ・ニューヨーク市の自宅近くで、妻オノ・ヨーコと共にリムジンを降りたジョン・レノンが銃で撃たれ、亡くなったのです。1970年に解散したビートルズのメンバーとして、またソロ・アーティストとして、平和活動家として愛されたジョン。そんな彼が残した異色の作品が『絵本ジョン・レノンセンス』です。自在な言葉遊びに翻弄されるナンセンスなショート・ショート、そしてページからはみ出さんばかりにのびのびと描かれたイラスト。この機に、天才詩人とよばれたジョン・レノンの「センス」に触れてみませんか?


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4794968345/

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12月9日

芥川龍之介、雑誌の新年号の仕事に追われる――漱石忌

大正5年12月9日、近代日本文学を代表する作家・夏目漱石が亡くなりました。晩年に患った胃潰瘍が数度にわたり再発しては苦しんだ末の、49歳の死でした。漱石に師事した芥川龍之介は、それから9年後の年末のある日、旧知の新聞記者K君に頼まれて、彼を漱石の墓に案内することになり、雑司ヶ谷霊園を訪れます。しかし何度も道を間違えてしまい、K君に冷笑される始末。そして「毎年十二月九日には新年号の仕事に追われる為、滅多に先生のお墓参りをしなかった」ことを思い出したと、随筆『年末の一日』に綴っています。今も昔も変わらない、売れっ子作家の多忙な年末を垣間見ることができる文章です。


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4003600290/

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12月10日

ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』で、少年と病気の男が出会う

「現代アメリカを代表する短編小説の名手」として知られ、2017年には長編小説『リンカーンとさまよえる霊魂たち』でブッカー賞を受賞した、アメリカの作家ジョージ・ソーンダーズ『十二月の十日』は、「バカSF」と言いたくなるようなお話が詰まった短編集です。表題作は孤独ないじめられっ子の少年ロビンと、病に侵され自殺しようとしている男ドン・エバーの偶然の出会いの物語。自分は何も役に立たないのだと思っていた2人が出会い、知らず知らずのうちに互いの救済者となるのです。「作家志望の若者にもっとも文体を真似される作家」ソーンダーズが描く、現代アメリカの奇跡の物語です。


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4309207863/

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12月11日

常陸国の国府を焼き払った平将門、関東制圧を狙い下野国へ進軍

軍記物語『将門記』平将門の乱の一部始終に加え、冥界に落ちた将門の「その後」までも描く異色作。将門は自身の婚姻をめぐって伯父・良兼と対立したとされ、これに領地問題などが次々重なって一族間の抗争が激化。この抗争のさなかに将門は常陸国の国府を焼き払い、事態は一族の争いではなく、国家への反逆となりました。天慶2年12月11日、将門は数千の兵を率いて下野国へと進軍。下野国を落とし、上野国をも陥落させて勢いに乗る将門は「新皇」を名乗り、関東の分国化を目指します。しかし天慶3年2月、朝廷の命を受けた藤原秀郷、平貞盛の軍勢に敗れ、その首は獄門にかけられました。将門の首を祀る将門塚(東京・大手町)は関東有数のパワースポットとして知られています。


出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09658041

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12月12日

松本清張の名作『ゼロの焦点』で主人公の夫・鵜原憲一が出張から帰る予定の日

戦争の爪痕が残る当時の日本社会をリアルに描き、松本清張の代表作のひとつとされる『ゼロの焦点』。1958年11月、26歳の板根禎子は、10歳年上でA広告会社の金沢支社に勤める鵜原憲一と見合い結婚をしました。それからまもなく東京本社勤務の辞令を受けた憲一は、業務引継ぎと挨拶回りのため、後任の本多と共に金沢へと向かいます。途中、禎子宛に「十二日には帰れると思う」と葉書が届きますが、その12月12日になっても憲一は戻りませんでした。14日になって、憲一の勤務先から夫が予定通り11日の晩に金沢を発っており、その後の消息がわからないと知らされた禎子。翌日の夜行電車で、憲一が消息を絶った金沢に向かいますが……。


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4101109168/

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12月13日

被害者の部屋から見つかった北原白秋の詩集の発行日――桜木紫乃『氷の轍』

北海道釧路市を舞台に桜木紫乃が描く、警察小説シリーズ第2弾『氷の轍』。市内の海岸で他殺死体が発見され、札幌市の元タクシー運転手の滝川信夫とわかります。警部補の片桐周平と共に、札幌に向かった巡査長・大門真由は、滝川のアパートで1冊の本に目を留めます。「大正3年12月13日印刷」と奥付のある、北原白秋の詩集『白金之はっきんの獨樂こま』でした。この本だけに滝川の署名が入っていること、札幌市内の古書店が発行した5年前の領収書が挟まれていることに気づいた真由。古書店店主は、その本を売ったときの滝川の様子をよく覚えていました。それは若き日の滝川が、1人の女性に贈ったものだったのです。


出典:https://www.shogakukan.co.jp/books/09406723

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