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文学的「今日は何の日?」【1/11~1/19】

高性能コンピュータが完成した日。
あの名作オペラの初演の日。
誰もが知る別れの名場面の日。
……そう、毎日が何かの記念日です。さて、今日は何の日でしょうか。
鏡開きが行われる1月11日から始まる1週間あまりを見てみましょう。

1月11日

将軍・徳川家光の忌日を避け、鏡開きが行われるようになる

現在では鏡開きといえば本日1月11日ですが、古くは1月20日に行われるのが一般的でした。徳川幕府の三代将軍・家光が慶安4年4月20日に急逝し、20日が忌日とされたことから、11日に行われるようになったとされます。小杉健治の人気時代小説シリーズ「三人佐平次捕物帳」の第14弾『七草粥』は、書き出しに「正月十一日、きょうは鏡開きである」とありますが、このことから第四代将軍・家綱以降の時代の物語であることがわかります。このような細部にも、時代小説を読む小さな楽しみがひそんでいるのです。


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1月12日

超高性能コンピュータHAL9000が完成――アーサー・C・クラーク『2001年宇宙の旅』

1997年1月12日は、アーサー・C・クラークのSF小説『2001年宇宙の旅』(1968年)において、チャンドラ博士が超高性能コンピュータHAL9000を完成させ、HAL9000が稼働し始めた日です。HAL9000は土星探査のため、6番目のクルーとして宇宙船ディスカバリー号に搭載され、同船のあらゆる制御を担いますが、次第に暴走をはじめて……。映画監督スタンリー・キューブリックとクラークの共同作業から生まれた同作は、キューブリックによる映画版と小説とが同時進行で作られ、探検の目的地やHALの完成時期、あの有名なHALの台詞まで、細部にまでわたってさまざまな違いがあります。一度比べてみてはいかがでしょうか。


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1月13日

松本清張『点と線』において、安田辰郎が赤坂の割烹料亭「小雪」に某省の部長を招く

1957年の今日、松本清張『点と線』の冒頭で、安田商会社長の安田たつが赤坂の割烹料亭「小雪」に某省の部長を招きました。その翌日、安田は「小雪」の女中お時が東京駅で若い男と博多行きの特急電車に乗り込むのを目撃しますが、2人は福岡県の香椎で死体となって発見されます。一見して情死と思われた事件でしたが、男が汚職問題で揺れる省庁の課長補佐であったこと、遺留品から一人旅をうかがわせる品が見つかったことから疑念が……。果たして2人は本当に心中なのでしょうか? 時刻表トリックの先駆けと言われる傑作ミステリーです。


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1月14日

プッチーニの名作オペラ『トスカ』が初演される

ジャコモ・プッチーニの代表作といわれるオペラ『トスカ』は、1900年1月14日、ローマのコスタンツィ劇場で初演されました。フランスの劇作家ヴィクトリアン・サルドゥーが俳優サラ・ベルナールのために書いた戯曲が元になっています。深水黎一郎のミステリー小説『トスカの接吻』では、ヒロインのトスカが敵役スカルピアを刺殺する場面で、小道具のナイフが本物にすり替わっていたことから、上演中の舞台で殺人事件が発生してしまいます。芸術に造形の深い探偵・神泉寺瞬一郎はこの難事件をどう解き明かすのか? オペラ好きの方も、それほどではない方も、続きはぜひ作品でお楽しみください。


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1月15日

銀座の宝石店が襲われ、凄惨な連続殺人の幕が開く――横溝正史『悪魔が来たりて笛を吹く』

1947年1月15日の午前10時ごろ、東京・銀座の宝石店「天銀堂」に東京都衛生局を名乗る男が訪れ、13人の店員に伝染病の予防薬と偽って青酸カリを飲ませて殺害、30万円相当の宝石類を奪う事件が発生しました。その容疑者と目されたのは子爵椿英輔。しかし彼は失踪し、遺体となって発見されます。それは凄惨な連続殺人の始まりでした。本作のタイトルにもなったフルート曲『悪魔が来たりて笛を吹く』に作曲者・英輔が込めたメッセージとは? 名探偵・金田一耕助の推理が冴える、横溝正史の傑作です。


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1月16日

騎士道物語にのめり込んだ男の冒険譚『ドン・キホーテ』が出版される

1605年1月16日、スペイン・マドリッドでミゲル・デ・セルバンテスの代表作『ドン・キホーテ』第一部が出版されました。正式なタイトルは『才智あふるる郷士ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』。騎士物語に心酔した老郷士が、自ら遍歴の騎士ドン・キホーテとなって虐げられた人々を救う旅に出ますが、風車を巨人と見違えて突進するなど、行く先々で珍事件を引き起こします。滑稽本として絶大な人気を集め、わずか半年後の7月には第5版が出されたほど。1615年には第二部も出版されました。音楽、演劇、バレエ、ミュージカルなど、さまざまに作品化されている、古典の名作です。


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1月17日

間貫一の涙が曇らせる、今月今夜のこの月――尾崎紅葉『金色夜叉』

1月17日といえば、熱海の「紅葉祭」。冬なのに紅葉? いえいえ、紅葉もみじではなく紅葉こうようです。尾崎紅葉の名作『金色夜叉』で、自分を棄てて富豪の富山ただつぐに嫁ごうとする許嫁・鴫沢しぎざわ宮の不実をなじるはざま貫一が、お宮を蹴りつけ別れを告げる、あの有名な場面の日付が1月17日なのです。「いか、みいさん、一月の十七日だ。来年の今月今夜になつたならば、僕の涙で必ず月は曇らして見せるから」。高等中学校の学生で秀才の誉れ高かった貫一は、失意のうちに学業をやめ、高利貸の手代となって金儲けに走りますが……。純な恋情と失意、復讐の鬼と化した貫一の凄絶さを、華麗な美文調で描いた大ベストセラー。著者の死後も弟子たちによって書き継がれたほどの人気作でした。一度手に取ってみてはいかがでしょうか。


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1月18日

囲碁界の革新に貢献した21世本因坊秀哉が没する

1940年1月18日、囲碁棋士の本因坊ほんいんぼうしゅうさいが、静養中の熱海の旅館で息を引き取りました。秀哉は家元本因坊家の21世で、終身制名人位についた最後の人物です。本因坊をそれまでの世襲から棋士による選手権制とするなど、囲碁の近代化に貢献しました。1938年に64歳で引退を表明、挑戦者決定リーグを勝ち上がった木谷實七段(当時)と引退碁を行います。秀哉の入院・加療をはさんで半年にわたって打たれたこの対局の観戦記を担当したのが、自身も囲碁愛好家として知られる川端康成でした。のちに川端は秀哉の最後の日々を小説『名人』に書き上げます。小品ながらも、川端の冷徹な目が光る名作です。


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1月19日

影のようにつきまとう同姓同名男の恐怖――エドガー・アラン・ポー『ウィリアム・ウィルソン』

1839年に発表された、エドガー・アラン・ポーの恐怖小説『ウィリアム・ウィルソン』。主人公のウィリアム・ウィルソンはロンドンの寄宿学校で、同じ日に入学した、同姓同名の男と出会います。名前ばかりか生年月日(1831年1月19日)も同じで、姿形もよく似ていました。在学中も、退学して別の学校に移ってからも、この「もうひとりの男」になにかと邪魔だてされ続けることに苛立った主人公はついに……! 美しくたたみかけるような文体が恐怖をあおる物語です。そして作者のポー自身も、1809年のこの日の生まれ。この物語には自身の寄宿学校生活が色濃く反映されているといわれています。


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