本との偶然の出会いをWEB上でも

トランプ当選。今アメリカで一番売れている本は?|ブックレビューfromNY【第12回】

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの12回目。今回は、トランプ当選のタイミングで、ベストセラーに躍り出た、人種差別法廷小説に注目します。

<第12回>トランプ当選のタイミングでベストセラーに躍り出た人種差別法廷小説

SmallGreatThings_書影

Small Great Things / by Jodi Picoult
Ballantine, 2016. 480ページ. US$28.99

今月のベストセラー事情

「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2016年11月6日の週)[1]を紹介する。

1.Escape Clause

By John Sandford
Putnam
ミネソタの動物園から珍しい種類の虎が2頭消えた。当局は、漢方薬の原料にするために盗まれたのではないかと疑った。ミネソタ犯罪逮捕局のヴァージル・フラワーズは犯人を突き止めようとしていたが、事態はヴァージルの恋人フランキーの姉(妹)スパークルを巻き込み複雑化していった。 ヴァージル・フラワーズ・シリーズの9作目。
(ベストセラー初登場)


2.Two by Two

By Nicholas Sparks
Grand Central
32歳でラッセル・グリーンはすべてを手に入れていた。美しい妻、かわいい6歳の娘、広告マンとしての輝かしいキャリア、そして広大な自宅。しかしある日、すべてがひっくり返ってしまった。妻と職をなくし、娘と2人きりになってしまったのだ……。
(ベストセラー3週目)


3.Small Great Things

By Jodi Picoult
Ballantine
コネティカット州の病院のベテラン看護師ルースは、病院での新生児の死を巡り殺人と過失致死の疑いで逮捕され裁判にかけられた。病院で唯一の黒人看護師だったルースの裁判が進むにつれ、次第に明らかになっていく人種格差・差別の問題。
(ベストセラー2週目)


4.The Obsidian Chamber

By Douglas Preston and Lincoln Child
Grand Central
FBI特別捜査官ペンダーガストが行方不明、死亡と推定された。一方ペンダ―ガストの被後見人のコンスタンスが誘拐された。誘拐犯を追っていたボディーガードのプロクターは真実を突き止めたのだが……。ペンダ―ガスト・シリーズ16作目。
(ベストセラー初登場)


5.Vince Flynn: Order to Kill

By Kyle Mills
Emily Bestler/Atria
2013年に死去したヴィンス・フリンの小説の登場人物、CIA スパイのミッチ・ラップが主人公。中東におけるロシアの勢力拡大を防ぐために、アメリカ人のイスラム国戦闘員に成りすましてロシアに潜入、危険なロシアの陰謀を明らかにしていく。
(ベストセラー2週目)


6.The Secret History of Twin Peaks

By Mark Frost
Flatiron
1990~1991年にかけて放映されたテレビドラマ・シリーズのノベライズ作品。1992年に公開された映画「Twin Peaks」の共同制作者の一人によって書かれた。ケーブルテレビ局「Showtime」は2017年に新シリーズを放映予定。
(ベストセラー初登場)


7.Commonwealth

By Ann Patchett
Harper
50年にわたる2家族(カズンズ家とキーティング家)の愛、ユーモア、悲しさに満ちた絆の物語。
(ベストセラー6週目)


8.The Woman in Cabin 10

By Ruth Ware
Scout
旅行ライターのロー・ブラックロックは1週間豪華クルーズ船に乗り、記事を書くことになった。贅沢な船室、まばゆいばかりのディナーパーティ、エレガントな乗客。クルーズを楽しんでいたローは、ある日1人の女性が船から海に突き落とされるのを目撃した。しかしすべての乗客に異常はなく、船は何事もなかったように航行を続けた。「何かがおかしい……」とローは必死に真相を突き止めようとするが……。
(ベストセラー14週目)


9.Home

By Harlan Coben
Dutton
10年前、裕福な家庭の2人の少年が誘拐され身代金の要求があったが、そのあと犯人からの連絡が途絶えた。そして10年後、マイロン・ボリターと友人のウィンは誘拐された少年のうち1人を見つけ出した。10年間、どこにいたのか? 10年前に何があったのか? もう1人の少年はどうなったのか?  友情、家族、家庭(Home)の意味について考えさせられるスリラー。マイロン・ボリター・シリーズ11作目。
(ベストセラー5週目)


10.Today Will be Different

By Maria Semple
Little, Brown
エレノアは今日こそは物事をきちんと予定通りやろうと決心した。まず、シャワーを浴びて着替える。息子のティムビーを預けてから、詩とヨガのレッスンを受ける。夫のジョーとセックスする。でも行動を始める前にすべてが狂ってしまった。まずティムビーは仮病を使って家で母親と一緒に居ることにした。夫のジョーはエレノアには何も言わず、オフィスを休んでしまった(いったいどこに行ったのか)。思わず笑ってしまう、心温まる物語。
(ベストセラー3週目)


先月からリストに残っているのは2作品Commonwealth” と“The Woman in Cabin 10″だ。後者はランクインが14週目とロングセラーになっている。

4作品(Escape Clause”, “The Obsidian Chamber”,“Vince Flynn: Order to Kill”、“Home”)がシリーズ物、5作品(シリーズ物の4作品+“The Woman in Cabin 10”)がミステリー・サスペンス・スリラー小説のジャンルに入る。

[1] “A version of this list appears in the November 6, 2016 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending October 22, 2016. Lists are published early online.”(このベストセラー・リストは11月6日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載されたもの。リストは10月22日で終わる週の売り上げをもとに作成されている)

記事一覧
△ トランプ当選。今アメリカで一番売れている本は?|ブックレビューfromNY【第12回】 | P+D MAGAZINE TOPへ