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トランプ当選。今アメリカで一番売れている本は?|ブックレビューfromNY【第12回】

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの12回目。今回は、トランプ当選のタイミングで、ベストセラーに躍り出た、人種差別法廷小説に注目します。

11月8日、アメリカ大統領選挙が行われ、おおかたの予想を裏切ってドナルド・トランプ候補が次期大統領に選出された。白人から圧倒的支持を受けていたトランプ氏の勝利に危機感を抱く中南米系アメリカ人や移民、また黒人たちが、選挙後も各地でトランプ氏に反対するデモを行っている。アメリカにおける人種間格差は、大統領選挙結果にも暗い影を落とした。

この小説のタイトル“Small Great Things” は、イェール大学での最初の授業が始まる前日、ルースの母親が「キング牧師が言っていたように」[6]と前置きして伝えた言葉、“You are destined to do small great things”(あなたは小さな偉大なことをする運命を持っている)に由来している。アメリカにおける人種格差や差別を解消するために一人一人が小さな努力を積み重ねることで真の平等に結びついてほしいという作者ピコーの願いが、このタイトルには込められていると思う。

[6]“ マーチン・ルーサー・キング牧師の有名な言葉 “If I cannot do great things, I can do small things in a great way.”


佐藤則男のプロフィール

早稲田大学卒。米コロンビア大学経営大学院卒(MBA取得)。1971年、朝日新聞英字紙Asahi Evening News入社。その後、TDK本社およびニューヨーク勤務。1983年、国際連合予算局に勤務し、のちに国連事務総長となるコフィ・アナン氏の下で働く。
1985年、ニューヨーク州法人Strategic Planners International, Inc.を設立し、日米企業の国際ビジネス・コンサルティングを長く手掛ける。この間もジャーナリズム活動を続け、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官、ズビグニュー・ブレジンスキー元大統領補佐官らと親交を結ぶ。『文藝春秋』『SAPIO』などに寄稿し、9.11テロ、イラク戦争ほかアメリカ情勢、世界情勢をリポート。著書に『ニューヨークからのメール』『なぜヒラリー・クリントンを大統領にしないのか?』など。
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