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ジャック・リーチャーが主人公の人気作に注目・今アメリカで一番売れている本は?|ブックレビューfromNY【第13回】

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの13回目。今回は、ジャック・リーチャーシリーズ21作目の話題作に注目します。

恐怖の遺物「デイビー・クロケット」

1996年、その日の朝、MPの少佐ジャック・リーチャーはペンタゴンで名誉あるレジオン・オブ・メリット勲章を授与された。そして午後、学校へ入学するよう命令された。夕方、バージニア州マックリーンにある指定された学校に行くと、そこには所在なげな2人の男がいるだけだった。1人はCIAのジョン・ホワイト、もう1人はFBIのケイシー・ウォーターマンで、ジャック・リーチャーも含め3人とも、なぜ学校に送られたのか、何を勉強させられるのか皆目見当もつかなかった。

しばらくすると、国家安全保障担当大統領補佐官アルフレッド・ラトクリフと副官のマリアン・シンクレアが4人のボディーガードとともにやってきた。ラトクリフの第一声は「ここは学校ではない」。MP, CIA、FBIの3人は、アメリカ大統領から直々の秘密任務を遂行するために集められた。ラトクリフは、シンクレアの指揮下で行動をするようにと言い残してその場を去った。

冷戦の終結後台頭してきたイスラム過激派組織は、本部とヨーロッパ各地に散らばるアジトとの間の通信手段として郵便、電話、電子メールよりは遅いが安全な《メッセンジャー》による《口伝え》を行っていた。事の起こりはドイツ・ハンブルグ。イスラム過激派組織のアジトとして使われている高級アパートに3人のサウジアラビア人と1人のイラン人が、金持の道楽息子を装って住んでいる。このイラン人は実は米国のスパイ。ある日、メッセンジャーがこのアジトで1泊した。住民のサウジアラビア人の1人とメッセンジャーは知り合いで親しかった。スパイのイラン人は、メッセンジャーが友達のサウジアラビア人にメッセージの内容をつい漏らしてしまうのを聞いてしまった。メッセンジャーが組織のリーダーに持ち帰るメッセージは「アメリカ人は1億ドルを要求している」というものだった。イラン人スパイは、それ以上は聞き取ることができなかった。1億ドルは何かの値段だろうと推察されたが、それが何かわからない。メッセンジャーは 《アメリカ人》とハンブルグのアジト近くで接触したとみられた。

シンクレアは、リーチャー(MP)、ホワイト(CIA),ウォーターマン(FBI)の3人に《アメリカ人》は誰なのか、何を売ろうとしているのか、そして買い手が誰なのかを突き止めることが秘密任務だと伝えた。もし《アメリカ人》が米国内にいるならFBIのウォーターマンが指揮を執り、外国在住ならCIAのホワイトが指揮を執ること、もしドイツ在住の場合は、統計的に多くのドイツ在住のアメリカ人は米軍に関係したことがあるので、陸軍MPのリーチャーは他の2人に協力するようにと指示した。

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