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【ランキング】アメリカのベストセラーを発表!ブックレビューfromNY<第23回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの23回目。新作が目立つランキングとなった今回。おなじみの作家の作品かシリーズ物が多くランクインしています。その中から、ベテランのベストセラー作家スー・グラフトンの作品を紹介します。

<第23回>女子高校生殺人事件の真相と10年後の顛末 大人気シリーズも残り2作!

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Y is for Yesterday/ by Sue Grafton
Marian Wood/Putnam. 2017. 496ページ. US$29.00 (USA)
Mantle/Putnam. 2017. £18.99 (UK)

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2017年10月1日の週)[1] を紹介する。

1.A Column of Fire

By Ken Follett
Viking

16世紀半ば、若いエリザベス女王が治めるイギリスではカトリック派とプロテスタント派の激しい権力争いがあった。恋人同士だったプロテスタントのネッド・ウィラードとカトリックのマージェリー・フィッツジェラルドは、否応なくその争いに巻き込まれていった。中世イギリスの仮想都市キングズブリッジを舞台にしたシリーズ3作目。
(ベストセラー初登場)


2.The Girl Who Takes an Eye for an Eye

By David Lagercrantz
Knopf

リスベット・サランデルは男の子の命を救ったにもかかわらず2カ月の禁固刑を受け刑務所にいる。そしてジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィストはリスベットの幼児期の秘密をひも解いていく。2004年に死没したスティーグ・ラーソンの「ドラゴン・タトゥーの女」に始まる「ミレニアム」3部作の続編2作目(「ミレニアム」シリーズ5作目)。
(ベストセラー初登場)


3.Enemy of the State

By Kyle Mills
Atria/Emily Bestler

サウジアラビア王の甥がイスラム国(IS)に資金援助をしていることが判明した時、米国大統領はミッチ・ラップに秘密任務を与えた。2013年に死没したヴィンス・フリンの「ミッチ・ラップ」シリーズは彼の死後も継続している。シリーズ14作目。
(ベストセラー2週目)


4.The Romanov Ransom

By Clive Cussler and Robin Burcell
Putnam

1918年、ロマノフ王家の人々をボルシェビキから解放するために莫大な身代金が払われたにもかかわらず、ロマノフ家の人々はすべて殺されてしまった。そしてその身代金は第2次世界大戦中ナチスドイツに奪われた後、何処にあるのかわからなくなっている。サムとレミ・ファーゴは北アフリカで行方不明になった2人の映画製作者を探索するうちにナチ第四帝国を作ろうとするグループに遭遇してしまった。「ファーゴ・アドベンチャー」シリーズ9作目。
(ベストセラー初登場)


5.A Legacy of Spies

By John le Carré
Viking

引退生活を送っていた元英国諜報部員のピーター・ギラムは冷戦時代の諜報活動の再調査のためにロンドンに呼び戻される。このジョン・ル・カレの最新作は、彼の小説の名キャラクターと言われているジョージ・スマイリーが26年ぶりに登場することでも話題になっている。
(ベストセラー2週目)


6.Secrets in Death

By J.D Robb
St. Martin’s

ニューヨーク市警のイブ・ダラスは、ゴシップ記事の記者であり、裏ではゴシップ情報をもとにゆすりも働いていた女性の殺人事件を捜査することになった。作者名J.D Robbはノラ・ロバーツがサスペンス小説を書く際のペン・ネーム。“In Death”シリーズ45作目。
(ベストセラー2週目)


7.Little Fires Everywhere

By Celeste Ng
Penguin Press

クリーブランドの郊外のシェイカー・ハイツはすべてが区画どおりの静かな住宅地だった。そこにエネルギッシュなアーティストでシングル・マザーのミア・ウォーレンと娘のパールが引っ越してきた。ミステリアスな過去を持ち、現状無視の態度を取るミアはこの住宅地の秩序をかき乱した。ルール重視のエレーナ・リチャードソンは、そんなミアに立ち向かったのだが……。
(ベストセラー初登場)


8.Enigma

By Catherine Coulter
Gallery Books

FBIエージェントのサビッチとシャーロックは国際的犯罪者を捕らえ、「名無しの権兵衛」を名乗る男の不可解な事件を解決した。FBIシリーズ21作目。
(ベストセラー初登場)


9.Y is for Yesterday

By Sue Grafton
Marian Wood/Putnam

カリフォルニア州のエリート私立学校の元学生フリッツが、殺人罪で収容されていた州の少年刑務所から出所してきた。私立探偵キンジー・ミルホーンはフリッツの母親から脅迫状を受け取ったと相談を受けた。一方以前キンジーを瀕死の目に合わせた反社会的異常者がキンジーの命を狙っていた。「キンジー・ミルホーン・ミステリー」シリーズ25作目。
(ベストセラー4週目)


10.Camino Island

By John Grisham
Doubleday

プリンストン大学から盗まれたF・スコット・フィッツジェラルドの自筆原稿探索の舞台はニュージャージー州からフロリダ州のリゾート地に移った。
(ベストセラー15週目)


読書の秋、新作がたくさん出版され、今月のリストでも新作が目立つ。1作品だけが先月のリストから残っているが(15週目になる“Camino Island”)、残りの9作品は目新しい。3作品がベストセラー2週目(”Enemy of the State”, “A Legacy of Spies”, “Secrets in Death”)、5作品が今週初登場だ(“A Column of Fire ”, ”The Girl Who Takes an Eye for an Eye ”, “Romanov Ransom”, “Little Fires Everywhere”、“Enigma”)。ただ、新作といっても、すべておなじみのベストセラー作家の作品かシリーズ物なので、やはり固定読者やファンを持っている作家は強いと言える。

そしてベストセラー4週目に入っているのがやはりベテランのベストセラー作家スー・グラフトンの“Y is for Yesterday”、今月はこの小説を紹介したいと思う。

[1] “A version of this list appears in the October 1, 2017 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending September 16, 2017. Lists are published early online.”(このベストセラー・リストは2017年10月1日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは9月16日で終わる週の売り上げをもとに作成されている)

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