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【ランキング】J・R・R・トールキンが残した作品に注目! ブックレビューfromNY<第35回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの35回目。今回は、『指輪物語(ロード・オブ・ザ・リング)』などで今なお絶大な人気を誇る、J・R・R・トールキンが遺した覚書や草稿を息子が編集し、出版した本を解説します!

<第35回>ロード・オブ・ザ・リングよりずっと昔の物語

The Fall of Gondlin 書影1
The Fall of Gondolin/ by J.R.R. Tolkien; edited by Christopher
Tolkien, illustrated by Alan Lee.
Houghton Mifflin Harcourt. 2018.304ページ. $30.00

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2018年10月7日の週)[1]を紹介する。

1.Lethal White

By Robert Galbraith
Mulholland/Little, Brown

ビリーが助けを求めて私立探偵のコーモラン・ストライクを訪ねてきた。ビリーは子供の時、犯罪を見たと思っている。明らかに精神的に問題があり、記憶もあいまいな青年だったが、ストライクはビリーの話には信ぴょう性があると思った。「コーモラン・ストライク」シリーズ4作目。作者名ロバート・ガルブレイスはJ・K・ローリングのペンネーム。
(ベストセラー初登場)


2.Juror #3

By James Patterson and Nancy Allen
Little, Brown

ルビー・ボザースはミシシッピー州ローズデールに来たばかり、ミシシッピー州の弁護士としても新米だった。ローズデールの旧家の女性殺人事件の容疑者、大学フットボールのスター選手を弁護することになった。
(ベストセラー2週目)


3.Time’s Convert

By Deborah Harkness
Viking

アメリカ独立戦争中、吸血鬼のマシュー・ド・クレルモンはマサチューセッツ出身の若い外科医のマーカス・マックネイルに不老不死の身にならないかと持ち掛けた。申し出を受けたマーカスだったが、吸血鬼に変身することは容易ではなかった……。
(ベストセラー初登場)


4.Sea Prayer

By Khaled Hosseini, illustrated by Dan Williams
Riverhead

2003年に世界的なベストセラー“The Kite Runner”(邦題:カイト・ランナー(2006年))を出版したアフガニスタン、カブール出身のカレード・ホッセイニの最新作。現在の難民危機をテーマにした短編(48ページ)ながら、力強い物語。父から幼い息子への手紙の形をとっている。イラスト入り。
(ベストセラー初登場)


5.Shadow Tyrants

By Clive Cussler and Boyd Morrison
Putnam

2000年余り前、東の帝国は人類の歴史を変えうるほどの力を持つ知識と秘密を守ることを、9人の男に託した、という言い伝えが語り継がれている。今この9人の子孫を名乗る2つのグループが覇権を争い熾烈な戦いをしている。フアン・カブリロ率いるオレゴン号の乗務員たちは、地球を破壊しかねない結果を避けるために、いがみ合う2つのグループの間に入った。「オレゴン・ファイル」シリーズ13作目。
(ベストセラー2週目)


6.Leverage in Death

By J.D. Robb
St. Martin’s

警察官のイブ・ダラスはウォール・ストリートのオフィスビルで起こった自殺爆破事件に困惑していた。爆破を起こしたポール・ローガンは妻子を人質に取られ、2人の覆面の男から自爆を強要されていた。そして爆破を強要したこの2人の覆面男の動機が良くわからなかった。“In Death”シリーズ第47作目。
(ベストセラー3週目)


7.Where the Crawdads Sing

By Delia Owens
Putnam

1969年、ノースカロライナ州の静かな町でチェース・アンドリューの死体が発見された時、地元の人たちは、当時湿地帯で一人暮らしの「湿地帯の少女」と呼ばれていた若い女性を犯人だと思った。
(ベストセラー3週目)


8.In His Father’s Footsteps

By Danielle Steel
Delacorte

合衆国軍がドイツを占領すると、ユダヤ人キャンプで苦しんでいたジェイコブとエマニュエルはニューヨークに渡ることができた。そして2人は新しい地で結婚し、ジェイコブは苦労の末ビジネスで成功を収めた。ニューヨーク生まれの息子のマックスは苦労を知らずに育ち、最高の教育を受け、良家の娘と結婚した。父親のように、自分の力で財産を築きたいと思ったマックスだったが、物事はなかなかうまくいかなかった。3代にわたる家族の愛と勇気の物語。
(ベストセラー3週目)


9.The President is Missing

By Bill Clinton and James Patterson
Little, Brown and Knopf

サイバー攻撃の危機にさらされる米国。一方米国下院特別調査委員会ではジョナサン・ダンカン大統領に対する弾劾を審議していた。そのような状況下、突然姿を消したダンカン大統領。元米国大統領ビル・クリントンとベストセラー作家ジェイムズ・パタースン共著の政治サスペンス小説。
(ベストセラー16週目)


10.Texas Ranger

By James Patterson and Andrew Bourelle
Little, Brown

ロリー・イェィツは、結婚生活を犠牲にしてでもテキサス・レンジャーとしての出世街道を突き進んできた。ある日、元妻のアンから助けを求める電話を受け取り、急いでかつて住んでいた家に行ってみると、妻は何者かに殺されていた。そしてロリーは元妻殺人の容疑者になってしまった……。
(ベストセラー6週目)


先月のリストから残っているのは9位の “The President is Missing”(16週目)と10位の“Texas Ranger”(6週目)だけだ。あとは今週初登場の3作品を含むここ3週間以内にベストセラー・リストに登場した新作ばかりだ。初登場で1位の“Lethal White”の作者名Robert Galbraithはハリーポッターの作者、J・K・ローリングのペンネームだ。新作ラッシュだが、作者を見ると、James Patterson(3作品), Clive Cussler、J.D. Robb、Danielle Steel、そしてJ・K・ローリングと、おなじみのベストセラー作家がやはり強い!

今月はJ・R・R・トールキンの“The Fall of Gondolin”を取り上げたいと思う。この作品は今週13位で、10位以内のリストから落ちてしまったが、4週間前、ベストセラー1位で初登場、先週まで、10位以内にランクされていた。もちろんJ・R・R・トールキンは既に故人だが、息子の94歳になるクリストファーが父親の残した覚書や草稿を編集してこの本を出版した。

[1]“A version of this list appears in the October 7, 2018 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending September 22, 2018. Lists are published early online.” (このベストセラー・リストは2018年10月7日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2018年9月22日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)

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