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【先取りベストセラーランキング】野生動物学者の処女作に注目! ブックレビューfromNY<第40回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの40回目。今回は今年に入ってから急速に売り上げを伸ばしている、野生動物学者の処女作を紹介します。

<第40回>野生動物学者の処女作がベストセラー24週目の大ヒット

Where the Crawdads Sing 書影1
Where the Crawdads Sing/ by Delia Owens
Putnam, 2018.370ページ. US$26.00

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10(2019年3月3日の週)[1]を紹介する。

1.Where the Crawdads Sing

By Delia Owens
Putnam

1969年、ノースカロライナ州の静かな町でチェース・アンドリュースの死体が発見された時、地元の人たちは、湿地帯でひとり暮らしをし、「湿地帯の娘」と呼ばれていた若い女性を犯人だと思った。
(ベストセラー24週目)


2.Black Leopard, Red Wolf

By Marlon James
Riverhead

孤独なハンターとして並外れた嗅覚を持つトラッカーは3年前行方不明になった不思議な少年を追っているが、今回はいつものような単独行動ではなく、人間離れした特性を持つ雑多の集団と一緒に行動していた。そのうちのひとりが、豹に変身する能力を持つ男だった。“The Dark Star”3部作の、第1作目。
(ベストセラー2週目)


3.Connections in Death

By Marion James
Riverhead

ニューヨーク市警の刑事イブ・ダラスと富豪の夫ロークは、若者を悪の道から救うための学校を作っていた。そして児童心理学者のロッシェル・ピッカーリング博士を雇った。その博士の弟ライルが殺された時、イブとロークは事件解決のための行動を起こした。“In Death”シリーズ48作目。
(ベストセラー2週目)


4.An Anonymous Girl

By Greer Hendricks and Sarah Pekkanen
St. Martin’s

ジェシカ・ファリスはシールズ博士の心理リサーチ・プロジェクトの被験者になったことで、心の奥底に閉ざされていた本当の自分と向き合わざるを得なくなっただけでなく、シールズ博士の心の闇に巻き込まれていった……。
(ベストセラー6週目)


5.The Silent Patient

By Alex Michaelides
Celadon

アリシア・ベレンソンは有名な画家で、今を時めくファッション・フォトグラファーの夫を持ち、ロンドンの一等地に住み、幸せの絶頂のように見えた。しかしある夜、帰宅した夫のガブリエルの顔面に、アリシアは5発の銃弾を撃ち込んだ。そしてその後、彼女は一言も話さなくなった。犯罪心療内科医のセオ・フェイバーはアリシアの治療をすることになった。
(ベストセラー2週目)


6.Reckoning

By John Grisham
Doubleday

ミシシッピー州クラントンに住むピーター・バニングは第二次世界大戦のヒーローであり、名家の出身、良き父親・隣人であり、メソジスト教会のメンバーだった。ある10月の朝、ピーターは教会へ行き、友人でもあるデクスター・ベル牧師を射殺した。そして警察に対しても誰に対しても彼はただ、「何も言うことはない」と述べるだけだった。
(ベストセラー17週目)


7.Devotions

By Mary Oliver
Penguin Press

ピューリッツァー賞詩人で、今年1月に83歳で亡くなった、メアリー・オリバーの50年間の作品の中から彼女自身が選出した200作以上が納められた詩集(2017年出版)。
(ベストセラー3週目)


8.Fire and Blood

By George R.R. Martin
Bantam

米国で人気のファンタジー・テレビドラマ・シリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の原作者の最新小説。テレビドラマの時代より300年以上前に始まったターガリエン王朝の栄枯盛衰の物語。2部作の最初の作品。
(ベストセラー13週目)


9.Love Poems for Married People

By John Kenney
Putnam

ニューヨーカー誌の常連執筆者ジョン・ケニーによる、結婚している人たちのためのブラック・ユーモア満載の「愛」の詩集。
(ベストセラー初登場)


10.Early Riser

By Jasper Fforde
Viking

冬の4カ月間、人類は冬眠する。チャーリー・ワージングの役割は人々の冬眠の安全に責任を持つことだ。ウィルス性の夢が冬眠中の人々に感染し、感染した人々が次々と死んでいった時、チャーリーはその対策を探索し始めた……。
(ベストセラー初登場)


今年1月になって急速に売り上げを伸ばし、上位でロング・セラーを続けている(24週目)“Where the Crawdads Sing” は今週も1位の座を保っている。そのほか“Reckoning”、“Fire and Blood”、はそれぞれ17週目、13週目でベストセラー・リストにとどまっている。前回取り上げた“An Anonymous Girl”も第4位で健闘している。

今月は全くタイプの違う2つの詩集がランクインしている。ピューリッツァー賞を1984年に受賞し、「この国のベストセラー詩人」[2]と言われ、今年1月17日に83歳で亡くなったメアリー・オリバーの50年間の集大成、200以上のベスト作品を収めた詩集“Devotions”(2017年出版)がその1つ。もう1つは、ニューヨーカー誌の常連執筆者ジョン・ケニーによる、結婚の現実をダイナミックに、ウィットを込めて、(ブラック)ユーモアいっぱいに詠んだ詩集‟Love Poems for Married People”だ。詩集がベストセラー入りをすること自体が珍しい。

[1]“A version of this list appears in the March 3, 2019 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending February 16, 2019. Lists are published early online.” (このベストセラー・リストは2019年3月3日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2019年2月16日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)
[2]Identified as “far and away, this country’s best selling poet” by Dwight Garner…(https://www.penguinrandomhouse.com/books/536247/devotions-by-mary-oliver/9780399563249/

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