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【先取りベストセラーランキング】幽霊が出るという噂の邸宅で、子供が謎の死。犯人は保育士か、それとも…… ブックレビューfromNY<第46回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの46回目。今回はイギリスのサスペンス・ミステリー作家による、「曖昧さ」が後を引く小説を紹介します。

<第46回>スコットランドの人里離れた邸宅で子供が謎の死、犯人は?

The Turn of The Key 書影
The Turn of The Key/ by Ruth Ware
Scout, 2019.352ページ. US$27.99

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2019年9月1日の週)[1]を紹介する。

1.Where the Crawdads Sing

By Delia Owens
Putnam

1969年、ノースカロライナ州の静かな町でチェース・アンドリュースの死体が発見された時、地元の人たちは、湿地帯で一人暮らしをし、「湿地帯の娘」と呼ばれていた若い女性を犯人だと思った。
(ベストセラー49週目)


2.The Inn

By James Patterson and Candice Fox
Little, Brown

海辺の崖の上に建つ小さなホテルのオーナー兼支配人のビル・ロビンソンは、最近ボストン市警の警察官を辞めたばかりだった。ロビンソンも、このホテルの2階に住んでいる保安官のクレイトン・スペアも、ホテルの住民たちのプライバシーに関しては、家賃をきちんと払っている限りは関知しない主義だった。ところが、このホテルにミッチェル・クラインが宿泊し、地元の悪人たちと違法で暴力的なビジネスを始めようとした時、保安官やロビンソン、そしてホテルの住民たちは自分たちを守るために、悪と戦わざるを得ない状況に追い込まれていった。
(ベストセラー2週目)


3.The Bitterroots

By C.J. Box
Minotaur

元警察官のキャシー・ドゥエルは個人で私立探偵事務所を開こうとしていた。そんな時、旧友から、有力な家族の娘に暴行を働いたといわれている男の容疑を晴らすのを助けてほしいと頼まれ、引き受けてしまった。そして、真実を探ろうとするキャシーの試みは、複雑に深く絡みあう家族内の忠誠心や利害に直面して難航した。「キャシー・ドゥエル」シリーズ4作目 (「ハイウェイ・カルテット」シリーズ5作目)。
(ベストセラー初登場)


4.One Good Deed

By David Baldacci
Grand Central

1949年、第二次世界大戦の元兵士であるアロイシウス・アーチャーは刑務所から仮釈放になった。仮釈放の身で数々の制限がある中、やっと借金の取り立てをする仕事を見つけた。そんな時、殺人事件が起き、仮釈放中のアーチャーが疑われた。刑務所に戻らないためには、彼は自分で真犯人を見つけなければならなかった。
(ベストセラー4週目)


5.The Nickel Boys

By Colson Whitehead
Doubleday

1960年代初め、両親に捨てられた黒人少年エルウッドはマーチン・ルーサー・キング・ジュニア牧師の言葉を信じていた。しかし、無実の罪で有罪になり少年更生施設「ニッケル・アカデミー」に送られたエルウッドは、「更生」とは名ばかりで虐待や不正が横行するこの施設で生き抜く手段を友人のターナーとともに模索せざるを得なかった……。
(ベストセラー5週目)


6.The Turn of the Key

By Ruth Ware
Scout

インターネットで、スコットランドの人里離れた邸宅に住む家族が住み込みのナニー(保育士)を募集していることを知ったロンドンの保育園勤務の27歳の女性は、これに応募し、採用された。そして両親が不在の夜、4人の子供の1人が死んだ時、この新しいナニーは殺人容疑で逮捕され、勾留された。
(ベストセラー2週目)


7.The New Girl

By Daniel Silva
Harper

スイスの私立学校に通っていたサウジアラビア皇太子の娘が誘拐された。イスラエル諜報機関の長であるガブリエル・アロンは皇太子と協力し、誘拐犯に対峙する……。「ガブリエル・アロン」シリーズ19作目。
(ベストセラー5週目)


8.Outfox

By Sandra Brown
Grand Central

FBI捜査官のドレクス・イートンは詐欺師のウェストン・グラハムを追っていた。どうやら彼は過去30年間に色々な偽名を使って8人の裕福な女性に近づき、彼女たちが消息不明になる前に、財産を奪っていたようだった。ドレクスはこの8人の女性達は殺されたと睨んでいた……。
(ベストセラー2週目)


9.Chances Are…

By Richard Russo
Knopf

9月のある日、66歳になる大学時代の友人3人がマーサズ・ヴィ二ヤード島で再会した。3人は、1971年のメモリアル・デーにこのマーサズ・ヴィ二ヤード島で起こった不思議な出来事に、今でもいったいどういうことだったのだろうかと、当惑した気持ちを持っていた……。2001年出版の“Empire Falls”でピューリッツァー賞(2002年、フィクション部門)をとったリチャード・ルッソの最新小説。
(ベストセラー3週目)


10.Contraband

By Stuart Woods
Putnam

ロースクール出身の元ニューヨーク市警の警察官で、今は弁護士事務所で働くストーン・バーリントンはフロリダで休暇中に、成り行きで現地での密輸捜査の手助けをした。ところが、マンハッタンに戻った後も、ストーンはこの密輸団の全国ネットワークの網の目から逃れることができなかった。「ストーン・バーリントン」シリーズ50作目。
(ベストセラー初登場)


今月、堂々1位に帰り咲いた“Where the Crawdads Sing” はベストセラー49週目のロングセラーとなっている。このほか先月からリストに残っているのは、公民権運動時代を反映した歴史小説、コルソン・ホワイトヘッドの‟The Nickel Boys”、そしてダニエル・シルバの ‟The New Girl”だ。

今月は、ベストセラー2週目の “The Turn of the Key”を取り上げたいと思う。

[1]“A version of this list appears in the September 1, 2019 issue of The New York Times Book Review. Rankings reflect sales for the week ending August 17, 2019. Lists are published early online.” (このベストセラー・リストは2019年9月1日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2019年8月17日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)

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