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【NYのベストセラーランキングを先取り!】2023年にドラマ化決定! 男性中心社会を生きるシングルマザー化学者の物語 ブックレビューfromNY<第81回>

NY在住のジャーナリスト・佐藤則男が紹介する、アメリカのベストセラー事情と、注目の一作をピックアップするコラムの81回目。女性は結婚して主婦になることが理想とされた20世紀のアメリカで、未婚のシングルマザーとなって研究所から解雇された化学者が、テレビの料理番組のスターとなって奮闘する話題作を紹介します。

<第81回>男性中心社会の20世紀アメリカで、シングルマザーの化学者が奮闘


Lessons in Chemistry/ by Bonnie Garmus
Doubleday, 2022.400ページ. US$29.00.

今月のベストセラー事情

今月の「ニューヨーク・タイムズ ベストセラー事情」は、ハードカバー・フィクション部門のトップ10 (2022年9月4日の週)[1]を紹介する。

1.All Good People Here

By Ashley Flowers with Alex Kiester
Bantam

マーゴ・デイビスが6歳の時、近所に住む、同じ年齢のジャニュアリー・ジェイコブスが失踪し、他殺体で発見された。この事件以来、マーゴは自分が殺されていたかもしれないという思いを捨てきれなかった。事件は迷宮入りし、成人したマーゴはジャーナリストとして働くようになった。マーゴが病気の叔父の看病のため故郷のインディアナ州ワカルサに戻った時、隣町の5歳の女の子が失踪した。ジャニュアリーの事件と同じような状況だった。
(ベストセラー初登場)


2.The Challenge

By Danielle Steel
Delacorte

モンタナ州の牧場主のポーラック家とブラウン家は親しく、両家の息子、ピーター・ポーラックとマット・ブラウンも親友だった。この2人は、最近近所に引っ越してきたジュリエット、そしてあと2人の近所の友達と、夏休み中いつも一緒に行動していた。8月のある午後、山の頂に挑戦した5人は遭難してしまった。
(ベストセラー初登場)


3.Overkill

By Sandra Brown
Grand Central

元スーパーボールMVPクォーターバックのザック・ブリジャーの別れた妻レベッカは、暴漢に襲われ瀕死の重体となった。回復の見込みはなく、生命維持装置を外すかどうかは、離婚していても法的にはザックの決断次第だった。裕福な家の御曹司である犯人は、わずか4年という不当に短い刑期を終え、自由の身となった。レベッカが死亡すれば、犯人は傷害罪ではなく殺人罪で再び裁判を受けることになる。ザックは決断を迫られていた。
(ベストセラー初登場)


4.The 6:20 Man

By David Baldacci
Grand Central

一流投資銀行で新米アナリストとして働いているトラヴィス・ディヴァインは毎朝、安物のスーツに合成革のブリーフケースを持ち、6時20分の電車でマンハッタンに通勤していた。しかし、同僚で元カノのサラが会社の倉庫で死体となって発見されたことで、彼は経済パワーの殿堂であるこの会社の闇を探る役割を担うことになった。
(ベストセラー6週目)


5.The Hotel Nantucket

By Elin Hilderbrand
Little, Brown

1922年の火事で19歳の従業員グレース・ハドリーが死亡して以来、荒廃していたナンタケット島のホテルがロンドンの富豪に買い取られ、新装オープンした。総支配人として雇われたリズベット・キートンは複雑な過去を持つホテル従業員と客への対応を迫られた。
(ベストセラー10週目)


6.Wrong Place Wrong Time

By Gillian McAllister
Morrow

10月末の深夜、17歳の息子が見知らぬ男を殺害するところを家の窓から目撃した母親は、翌朝目覚めると、殺人の起こった日の前日の朝だった。
(ベストセラー3週目)


7.Portrait of an Unknown Woman

By Daniel Silva
Harper

伝説的なスパイであり、美術修復師のガブリエル・アロンはイスラエル諜報機関との関係を保っているものの、今はベニスで若い妻と2人の幼い子供と静かに暮らしている。しかし、ロンドンの画商が最近再発見された古い絵画の売買に関わる調査をガブリエルに依頼したことで、危険なゲームに巻き込まれる羽目に陥った。「ガブリエル・アロン」シリーズ22作目。
(ベストセラー5週目)


8.Lessons in Chemistry

By Bonnie Garmus
Doubleday

1950年代の終わり、まだ男性優位の時代に、 エリザベス・ゾットは唯一の女性化学者として研究所内で難しい立場にあった。そして、シングルマザーになることが明らかになると、研究所から解雇された。そんな彼女は1960年代の初め、なんとテレビの料理番組のスターになっていた。
(ベストセラー16週目)


9.The It Girl

By Ruth Ware
Scout

エイプリルはハナ・ジョーンズがオックスフォード大学に入学して初めて知り合った学生だった。快活で明るく、しかし時として小悪魔的な典型的な《イットガール》で、ハナはたちまち彼女の虜になった。エイプリルを中心にウィル、ヒュー、ライアン、エミリーそしてハナはいつもつるんでいたが、2学期の終わりにエイプリルは死んだ。10年後、ウィルと結婚して出産を控えていたハナは、エイプリルを殺害した罪で服役していた元オックスフォード大学のポーター、ネヴィルが刑務所で死んだと聞いて、過去に終止符を打ったと思った。しかしある日、若いジャーナリストの訪問を受け、ネヴィルが無実である証拠を示されたことで、ハナは昔の仲間に連絡してエイプリルの死の謎を探り始めた。
(ベストセラー6週目)


10.Tomorrow, and Tomorrow, and Tomorrow

By Gabrielle Zevin
Knopf

MITの学生セイディとハーバード大学のサムは卒業の前年、共同でビデオゲームを開発した。そして、サムのルームメートのマークスも加えた3人はビデオゲーム会社を立ち上げた。
(ベストセラー7週目)


今月は、先月のリストから6作品が引き続き10位以内にランクされている。歴史的なロングセラーとなっているThe Midnight Libraryは、ついに10位以内から姿を消したが、それでも11位で、ベストセラー89週目になっている。

今月紹介するボニー・ガルムスのLessons in Chemistryは、4月24日に14位で初登場して以来、ベストセラー・リストに16回ランクされているが、そのうち10位以内に入ったのは今週も含めて6回だけで、あと10回は11~14位の間だった。この間、ベストセラー・リストから3回落ちながらも、しぶとく堅実に売り上げを維持しているこの作品を今月は取り上げたい。

[1] “A version of this list appears in the September 4, 2022 issue of The New York Times Book Review. Rankings on weekly lists reflect sales for the week ending August 20, 2022.” (このベストセラー・リストは2022年9月4日のニューヨーク・タイムズ紙ブックレビュー欄に掲載。リストは2022年8月20日で終わる週の売り上げをもとに作成されている。)

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