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これ1冊で作文が苦痛じゃなくなる。「読書感想文の書き方」を教えてくれる本3選

学生の夏休みの課題の定番である「読書感想文」。本を読むこと・作文を書くことに苦手意識のある子どもやその親御さんに向けて、読書感想文の書き方のヒントを教えてくれる良書を3冊ご紹介します。

学生の夏休みの宿題の定番、読書感想文。作文を書くことに苦手意識がある人にとっては、たとえ少ない文字数の課題でも、どんよりと気分が重くなってしまうのではないでしょうか。なかには、「そもそもどうやって本を選べばいいのかわからない」「どうやって書き出せばいいのか決まらない」と頭を悩ませてしまう人もいるかもしれません。

今回は読書感想文の書き方に悩みがちな中高生や、読書感想文に苦戦している子どもに書き出すためのヒントを与えてあげたいという親御さんに向けて、本の選び方や書き出し方のコツも含めた「読書感想文の書き方」のポイントを解説してくれる良書を3冊ご紹介します。

『脚本家が教える読書感想文教室』


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4074431866/

『脚本家が教える読書感想文教室』は、劇作家の篠原明夫による書籍です。著者の篠原は脚本家としてのノウハウを活かした子ども向けの読書感想文教室を主催しており、“予約が取れない講座”として人気を博しています。本書は、そんな篠原が小学1~6年生向けに書き下ろした、子どもが自分ひとりの力で読書感想文を書けるようになるための作文講座となっています。

篠原は本書のなかで、脚本におけるプロット(物語を書き始める前に組み立てるあらすじ)のような、「フレームワークメソッド」という方法を使って読書感想文を書き進めていくことを提案しています。

篠原のこのメソッドではまず、感想文を書き始める前になぜその本を選んだかの理由を数行だけメモしておき、選んだ本を読みながら、面白かったシーンを3箇所まで選んで付箋を貼っておきます。読み終えたあとでその3つのシーンのうちから特によかったところをひとつ選び、簡単にメモしておきます。

そして、

①本を読む前の自分の体験・考え
②どうしてこの本を選んだか
③あらすじ
④一番いいと思ったところ
⑤どうしていいと思ったか
⑥これからどうしたいか

という6つの「フレーム」をそれぞれ数行ずつ書き、この内容をベースに文章を整えることで読書感想文を完成させていきます。原稿用紙1枚(400字)の感想文の場合はそれぞれのフレームを2~5行で書いていき、2枚(800字)の場合はこの6つのフレームに「もし自分が登場人物だったら」というフレーム、3枚(1200字)の場合は「作者は何を伝えたいか」「この本はどんな人におすすめか」といったフレームをさらに加える──という方法で文字数を増やしていきます。

篠原のこのメソッドは、書くべきことがあらかじめ決まっている非常に明快な方法なので、「どうやって書き始めていいかわからない」「本のあらすじを何行くらい使って説明すればいいかわからない」と悩んでしまう子どもには非常におすすめです。

読書感想文のコツを教える本のなかには、課題図書によく選ばれる実在の本を用いて読書感想文の実例を載せているものも少なくありません。しかし本書は「子どもの考えが見本作文に縛られないように」「書き写してしまわないように」という理由から架空の本の作文例のみを載せているので、子どもの作文が見本作文の影響を受けてしまうのではないかと心配されている親御さんにとっても安心できる1冊です。

『だれでも書ける最高の読書感想文』


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B00N4M5USI/

『だれでも書ける最高の読書感想文』は、『声に出して読みたい日本語』などのベストセラーを持つ教育学者・齋藤孝による本です。本書は、主に中高生の子どもの読書感想文(原稿用紙3~5枚程度)を対象としています。

齋藤は、読書感想文を書くための本はできれば図書館で借りず、自分で買うべきであると言います。3色ボールペンなどの筆記用具を使い、本に書き込みを入れながら読み進めていくことを提唱しているからです。

みんなも、ぜひ気に入った筆記用具を用意して本を読んでみてほしい。
やり方はいろいろあります。

・横に線を引く
・○や□でかこむ
・マークをつける
・つっこみを入れる
・コメントを書きこむ
・(書くだけでなく)本の角を折っておく

たとえば、「ここはいいこと書いてあるな」とか「グッとくる言葉だなあ」と思ったら、その言葉や文章の横に線を引く。そして、そのページの角を折っておく。そうすると、あとで見つけやすいからね。
「これは、この本の大事なところ、キモの部分だな」と思ったら、そこの部分を囲ったり、ここからここまでと矢印をつけて、その段落の上に「◎」をつけておく。
「えっ、そうなの?」「驚いたなあ」と思ったとき、僕は「!」と書いておくよ。

斎藤は、書き込みをせずに本をただ読み進めてしまうと、一度感じた新鮮な驚きや感動が流されて薄れていってしまうため、“読んだその瞬間の感情の揺れ動きを書きこんで、本の上に定着させておく”ことが重要なのだと言います。そして、その書き込みを元に、自分が感想文を通じていちばん人に伝えたいことは何かを箇条書きで挙げていき、3つまで選んで優先順位をつけた上で、いちばん伝えたいと思ったことから書けと説きます。

本書は篠原明夫のフレームワークメソッドのように、「あらすじを○行で書く」「これからどうしたいかを○行で書く」といった具体的な文章構成(組み立て方)の指南はしません。しかしその代わりに、「感想文のなかに本のあらすじは必ずしも入れなくてよい」「作品のなかの“フツウじゃない”点を掘り下げていく」といった、ちょっとひねりのきいた作文のコツが満載となっています。無難な作文ではなく自分らしい読書感想文を書きたいという人、作文のコピーを思わず手元に取っておきたくなるような読書感想文を書きたいという人には特におすすめの1冊です。

『文章を読む、書くのが楽しくなっちゃう本』


出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B08L8W5YRR/

『文章を読む、書くのが楽しくなっちゃう本』は、東京大学の卒業生・現役生を中心としたグループ、QuizKnock(クイズノック)による書籍です。QuizKnockは「身の回りのモノ・コトをクイズで理解する」をコンセプトとした知的WebメディアとYouTubeチャンネルを運営しており、YouTubeはチャンネル登録者数が170万人を超えるなど、10代の学生を中心に社会現象と呼べるほどの人気を博しています。

本書はそんなQuizKnockの伊沢拓司・須貝駿貴・ノブといった人気メンバーらが中心となり、漫画と文章の2本立てで中高生向けに文章の読み方・書き方のコツを説く本です。「読み方」についての章では、主に論説文と小説文のふたつの文章の読み解き方を解説しています。小説文についてのパートでは、「違う人物の視点が突然交じる」「口調や人の呼び方が変化する」といった小説を読んでいるなかで感じた“違和感”を掘り下げることで物語を深く味わうというコツを紹介しており、読書感想文を書く上でも大いに参考になる内容となっています。

書き方についての章では、文章を書くことへの苦手意識をできるだけ捨てるため、「きれいな文章」を目指すのではなく、「はたらく文章」を書いてみようという提唱をしています。「はたらく文章」とは、言い換えるなら目的意識のある、機能的な文章。感想文を“あなただけが持つ視点を、他の誰かにもわかるように共有する”ための文章と定義し、物語を読み進める上で感じた自分の気持ちをメモしながら、「どうしてそれを感じたのか?」「どうしてここで違和感を覚えたのか?」という問いを繰り返していくことで、

読む人があなたと同じ視点に立てるように、必要な情報を与えていく

というゴールまでたどり着くことを目指しています。そのほかにも、おまけとして“クイズの問題文を「書く」ときのポイント”や、辞書編集者の飯間浩明と伊沢拓司の対談といったQuizKnockならではの視点が楽しめるトピックもあり、読書感想文の書き方に悩む中高生はもちろん、QuizKnockのファンにも存分に楽しんでいただける内容となっています。

おわりに

読書感想文や作文の書き方を指南する書籍のなかには、「作文コンクールで賞を取りやすい文章を書くコツ」「時間をかけずに作文が書き終わるコツ」といったポイントを強調する本も少なくありません。しかし、子どものうちから「評価されやすい文章」や「要点を掴んだ簡潔な文章」ばかりを書く訓練をしすぎると、1冊の本とじっくり向き合うためのせっかくの機会が奪われてしまうことにもなりかねません。

今回ご紹介したのはどれも、まずは本を読むことを楽しみ、素直な感想を臆せずに書くことをあと押ししてくれる書籍ばかりです。読書感想文は、作文を書くのが苦痛で仕方ないという子どもにとっては嫌な宿題かもしれませんが、1冊の本を腰を据えて読み込む時間はのちのち必ず財産になるはずです。ご紹介した書籍も参考にしつつ、自分ならではの読書感想文にトライしてみてください!

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