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『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』3つのポイントとあらすじ

話題の映画『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』はどんな映画? 原作者のJ. K. ローリングの素顔は? 『ハリー・ポッター』シリーズとの関係は? 詳しく解説します!

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11歳の誕生日に自らが魔法使いだと知った少年、ハリー・ポッターがホグワーツ魔法魔術学校で様々な人々と出会い、成長する姿が描かれた『ハリー・ポッター』シリーズ。J.K.ローリングが書いたこの物語は現在70を超える言語に翻訳されており、4億5000万部という驚くべき販売部数を突破しています。この数字からも伺えるように、世界はハリーから魔法をかけられたのです。

そんな『ハリー・ポッター』シリーズは2007年に最終巻『ハリー・ポッターと死の秘宝』が刊行され、完結。物語の終焉を残念に思うファンが多くいましたが、2016年11月に、新たな物語が加わりました。

新作となる「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」は、ホグワーツ魔法魔術学校の教科書「幻の動物とその生息地」を基にした映画です。シリーズの新作であることもさることながら、ローリングが脚本を担当すること、主人公のニュートを2015年にアカデミー賞主演男優賞を受賞したエディ・レッドメインが演じることも話題を集めています。

今回は世界規模で大ヒット中のこの作品について、あらすじやファンの感想とともに紹介します。

 

ポイントその①:「ハリー・ポッターシリーズ」で世界に魔法をかけたJ.K.ローリングの素顔とは。

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出典:https://www.amazon.co.jp/dp/484010395X

『ハリー・ポッター』シリーズの作者、J.K.ローリングは幼少時より想像力が豊かであり、6歳にして初めてオリジナルのお話を創作しています。この頃から作家になりたいという夢を抱いてはいたものの、自信がないために自分からその夢を口にすることはありませんでした。しかし、小学校でレポートや日記を先生から褒められたことをきっかけに、ローリングは徐々に自分の得意分野を意識するようになります。

また、ローリングは大変な読書家でもありました。C.S.ルイスの『ナルニア国物語シリーズ』、イアン・フレミングの『ジェームズ・ボンド』シリーズのほか、『高慢と偏見』で知られるジェーン・オースティンを特に好んで読んでいたと語っています。大学生の頃は読書に多くの時間を費やす一方で創作も行っていましたが、自分の作品が受け入れられるだろうかといった不安を持っていました。

大学を卒業したローリングは、秘書や出版社の勤務などを転々とすることとなります。常に創作活動にふけっていた彼女にとって企業で働くことは退屈なものでしかなく、上司の目を盗んでは原稿を書いていました。

ローリングはフラストレーションを抱えながらも、マンチェスター商工会議所で派遣社員として働くことを決意します。この決意の裏には、大学生の頃の恋人がマンチェスターに移り住んでおり、一緒に暮らすことを考えていた、という理由がありました。しかしなかなか物件が見つからず、ローリングはロンドンとマンチェスターを列車で行き来する日々を送ります。

そんな1990年のある日、列車の窓から延々と続く田園風景を眺めていたローリングに、突然アイデアが浮かびます。自分が何者かを知らない男の子、魔法学校、そこで出会う親友……ローリングにとって自らの人生を大きく変える『ハリー・ポッター』シリーズが生まれた瞬間でした。

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出典:AnjelikaGr / Shutterstock.com

しかしこの後、母の死、結婚と離婚と辛い出来事ばかりが彼女に訪れます。そんな毎日で唯一の救いは、ハリーの存在でした。彼女は生活保護を受けながら、幼い娘が眠っている間にカフェで執筆を続けます。貧困と心労からうつ病を発症するも、1995年にローリングは第1作『ハリー・ポッターと賢者の石』を完成させます。

完成から出版までも、長く険しい道のりでした。12社もの出版社から断られるものの、ついにブルームズベリー・プレスが版権を購入。初版部数は500部だった第1作は発売後、出版社の予想を大きく裏切り大ヒット。さらに2001年にクリス・コロンバス監督がメガホンをとった実写映画も小説に続いて多大な興行成績を記録します。

小説、映画と今もなお熱狂冷めやらない『ハリー・ポッター』シリーズですが、ローリングが初めて脚本に挑戦した『ファンタスティック・ビースト』によって、世界は再びファンタジーの世界へ誘われるのです。

「ファンタスティック・ビースト」と「ハリー・ポッター」との関係性。

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出典:https://www.amazon.co.jp/dp/4915512436

新シリーズ、『ファンタスティック・ビースト』の主人公は世界中に生息する魔法動物を記録し、保護する魔法動物学者のニュート・スキャマンダーです。ニュートは旅の途中でニューヨークを訪れます。しかしそこで魔法動物が詰められていた不思議なトランクから魔法動物が逃げ出し、街は大混乱に。仲間たちとともに魔法動物を捕まえようとするニュートでしたが、やがて人間界と魔法界をまたにかけた大事件へ巻き込まれていきます。

ニュートはハリーたちがホグワーツで使っていた教科書、「幻の動物のその生息地」の著者という設定になっています。そしてこの教科書は2001年、現実の世界でも書籍化されています。妖精やドラゴンといった魔法生物に関する情報や危険度が記された教科書にはハリーたちが書き込んだ落書きも残されており、彼らの学校生活を想像できる、ファン垂涎のアイテムです。

また、ニュートはハリーたちと同じホグワーツに通った魔法使いであり、かつて魔法動物で騒動を起こし退学の危機に陥ったところを校長のダンブルドアに庇われたことが明らかになっています。時代や舞台こそ異なるものの、それぞれ同じ世界観を共有していることがうかがえる点に注目してみるのも良いのではないでしょうか。

【ファンはこう観た!ファンタビの感想①】

胸躍る冒険が中心だったハリー・ポッターシリーズと異なり、ファンタスティック・ビーストでは差別や負の感情といったダークな部分を描いていたのが印象的でした。また、1920年代のニューヨークが持つリアルさと、魔法動物がもたらす不思議な世界観とが混じり合う点も興味深かったです。

(男性・30代)

ポイントその②:注目のあらすじ!1920年代のニューヨークを舞台に、4人の物語が始まる。

1990年代のイギリスのどこかにある「ホグワーツ魔法学校」を舞台にしていた『ハリー・ポッター』シリーズと異なり、『ファンタスティック・ビースト』はさかのぼること70年前、ハリーの父も母もホグワーツにいない1920年代のニューヨークにおける主要キャラクター4人の物語が描かれています。

その他の設定もこれまでのシリーズと異なる点が見られます。今作は追われる立場となったニュートの窮地を救うヒロイン、ポーペンティナ(ティナ)、人の心が読めるティナの妹クイニー、偶然ニュートと出会ったことにより事件に巻き込まれる人間のジェイコブと、大人である彼らが中心となっています。前シリーズではほぼ活躍のなかった人間が主要キャラクターの1人に、さらに魔法の力を持たない人間の呼び名「マグル」が「ノーマジ」になるなど、既存の設定を踏まえつつ新たな視点が加えられています。

これまでにも「魔法にかけられて」や「ニューヨークの恋人」など、異世界の住人が現実のニューヨークに迷い込む作品が作られているように、ニューヨークは異世界と比較する対象となっていました。あくまでもそれぞれの世界は別物であり、異文化に戸惑うキャラクターの姿はユーモアを交えて描かれていましたが、『ファンタスティック・ビースト』の世界では現実にも「魔法」の存在が認知されています。

今作は、アメリカにおいて魔法使いを迫害する動きがあり、ニューヨークを混乱に陥れたニュートはアメリカ魔法省の魔法使いに追われる立場に……、そしてヴォルデモートが出現するまで最悪の魔法使いと言われていたグリンデルバルドが加わり、ニューヨークは大混乱と化す……というあらすじの元ストーリーが展開します。『ファンタスティック・ビースト』は魔法が存在するファンタジーではありますが、魔法界と人間界の対立が招く戦いや差別意識など、娯楽だけで終わらない作品です。

【ファンはこう観た!ファンタビの感想②】

人間が暮らす大都市とトランクの向こうの魔法の世界、2つの世界が交錯する中で、ノーマジ(人間)と魔法使いの絆が深まっていくのがよかったです。

NYが舞台なのでハリー・ポッターのようなメルヘンへの没入感はなかったのですが、その分魔法を使うシーンがより特別に感じられて、ドキドキしました。

(女性・20代)

ファンタジーの伝統と現代性

ローリングが生まれ育ったイギリスは元々、ファンタジー文化が強く根付いています。その背景にあるのは、妖精や魔法の存在を根付かせたケルト文化。現在もアイルランドなどを中心にケルト文化は根強く残っており、妖精や魔術の存在が語られるケルト民話を基に、イギリスにはファンタジーの伝統が現代まで受け継がれてきたのです

『ハリー・ポッター』シリーズ以前にも、イギリスでは近代ファンタジー文学の転機にもなった『指輪物語』や『ナルニア国物語』といった作品が残されています。いずれも設定が徹底された異世界での冒険を軸とした物語ですが、『ハリー・ポッター』シリーズにはホグワーツへ向かうためにイギリスに実在するキングス・クロス駅から特急に乗る場面が登場しており、ファンタジーと現実の境界線が曖昧になっています。魔法と魔法使いが生きる世界を題材としている一方で、現代のリアルな世界との融合を試みた点もまた、『ハリー・ポッター』シリーズの魅力なのです。

 

ポイントその③:物語のカギを握るのは、魔法のトランクと魔法動物。

タイトルにもなっている魔法動物(ビースト)は、不思議な力を持った動物で、魔法使いたちは人間からこれらを隠そうとしています。

作品のポスターに描かれたニュートの手には、必ず魔法のトランクがあります。どんなに大きく、凶暴な動物でも問題なく入ってしまう魔法のトランクの中にはサバンナや雪山、ジャングルなど広大な世界が広がっているのです。

前シリーズでも重要なアイテムだった「透明マント」の素材となるデミガイズ、小さな樹木のような姿を持つボウトラックルなど、今作に登場する魔法動物も魔法使いに負けず劣らず個性豊か。今作を彩る幻想的な動物たちとニュートがどのように対峙していくのかに注目です。

魔法のトランクの他にも魔法の杖や望遠鏡、魔法省のIDカードといったアイテムも数多く登場します。これらを作り上げたのは、前シリーズの小道具も手がけた造形美術監督のピエール・ボハナ。ニュートが動物を愛する設定から彼の持ち物には動物素材を使わない、全体を通じ1920年代に合わせたデザインと、ハイレベルな小道具のためにボハナは強いこだわりを持って『ファンタスティック・ビースト』の世界に浸るアイテムを具現化しています。

【ファンはこう観た!ファンタビの感想③】

ファンタビはハリーポッターシリーズとは全く別物だと思いました。ハリーポッターを観た人も観たことのない人も楽しめる映画です。

映画の途中途中には、ダンブルドアなどシリーズに登場する人物の名前が上がります。これまではハリーを通してしかホグワーツを観たことがなかったのですが、スキャマンダーという人物を通してダンブルドアとの関わりや、スキャマンダー自身の学校時代の青春などを見る事ができ新鮮でした。特に彼がレストレンジ家の娘と一時付き合っていた事実にも驚きました。家に帰ってどの作品に登場しているのか思わず確認したくなりました。これは「ポッタリアン」には堪らないポイントです!

映像も、「実はすぐそこに魔法界があるのでは?」と感じてしまうほどリアルで、存分に非日常を味わうことができました。

(女性・20代)

魔法界は終わらない!

世界中を夢中にさせた『ハリー・ポッター』シリーズが完結して9年。原作者が脚本を務めた『ファンタスティック・ビースト』は今、再び新たな魔法をかけようとしています。これまでのシリーズが好きだった人はもちろんのこと、今作をきっかけに新たにこの世界に飛び込む人も楽しめる作品であることは間違いありません。

先日、ロンドンとロサンゼルスで行われた今作のグローバルイベントでは、キャストをはじめローリングが登場したことに世界中のファンが大興奮したとのこと。公開前にも関わらず、未だローリングが作り上げた魔法界は終わることはありません。

また、今シリーズは5部作となるとローリング本人から発表されています。物語の幕開けとなる『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』が、魔法界と人間界にどのような波乱を巻き起こすのか、あのグリンデルバルドの行方は……今から世界中の人が続編を待ち焦がれていることでしょう。

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