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【心温まる名作多数】さだまさしのおすすめ小説5選

シンガーソングライターとして、数々の名曲を世に送り出している、さだまさし。歌だけではなく小説も数多く生み出していることはご存知ですか?思わず涙がこぼれてしまうような心温まる作品が多く、アーティストとしての感性が生きた繊細な描写に感動必至です。

sadamasashi

『解夏』(げげ)

解夏_書影
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徐々に視力が失われていく原因不明の難病に冒された男性教師。その苦悩と葛藤を描いた表題作を含む短編集です。主人公の隆之は、教師の仕事を辞め、母親が暮らす、故郷の長崎へ帰ります。東京には陽子という恋人がいましたが、病のことは告げずに離ればなれになるという選択をします。長崎で、大切な日々と景色を記憶に刻んでいく隆之。そこへ。東京に残した恋人の陽子がやって来ます。何の迷いもなく、笑顔で、隆之を支えようとする陽子。ある日、二人は、寺で、僧から「解夏(げげ)」の話を聞きます。「解夏」は行の明ける日。隆之が失明するまでの恐怖が、まさに「修行」であると説く僧。その僧の言葉が深く余韻を残すラストシーンが心に染みます。人間の強さ、弱さ、温かさ、そしてどう生きるかについて、考えさせられる感動作。2003年に、大沢たかお主演で映画化されています。

『アントキノイノチ』

アントキノイノチ_書影
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高校時代の悪意ある人物によって、大きく人生を狂わされてしまった、主人公の杏平。そんな彼は、高校を中退して以来、心を病み、他人とうまく関わることができなくなっていました。やがて遺品整理会社の見習いとなった杏平の心は、仕事に真摯に向き合うこと、壮絶な現場でも誠実に仕事に取り組む会社の先輩たちの姿に触れることを通じてほぐれていきます。また、同い年の「ゆき」と過ごすことでも、明るさを取り戻していく杏平。しかし、ある日、ゆきが抱える、人には言えない壮絶な過去を知り……。壊れた自分を取り戻しながら、生きていく強さを重ね合わせていく登場人物の姿に、「命」の意味を考えさせられる感動の長編です。2011年に、岡田将生と榮倉奈々のダブル主演にて映画化されています。

『かすてぃら 僕と親父の一番長い日』

かすてぃら
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微笑ましく温かい情景に満ちた、さだまさしの自伝的小説。昭和30年代の長崎が舞台となっており、明るくて、豪快な生き方をした父親に捧げるオマージュ的作品です。カステラの香りと、バイオリンの調べに包まれた、さだ少年の記憶の中に生きた、家族の物語。破天荒な父親の、そのダイナミックで家族を振り回すエピソードの数々が、涙と笑いに彩られつつ展開します。父親の生き様が手に取るように伝わる、ユーモアに溢れた文章も魅力。義理堅く、お人好しであった父親がいとおしく感じられ、同じようにカステラをちぎって食べたくなります。家族の温かさを身に染みて感じる作品。2013年に、NHK BSにて、遠藤憲一主演でテレビドラマ化されています。同じじくさだまさしの自伝的小説を原作とする『ちゃんぽん食べたかっ!』は、本作の続編にあたります。

『風に立つライオン』

風に立つライオン
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実在の医師のエピソードにインスパイアされたさだまさしが、作詞・作曲したシングル曲が小説化された作品。若き医師が、アフリカ・ケニアの地で、遠い日本を思いながらも人々の命を守るために闘う姿は、まるで風に立ち向かうライオンのようだ、と歌う楽曲。さながらに小説に描かれている医師は勇敢で、僻地での医療に真摯に携わる真摯な姿勢に心打たれます。1988年のケニアの戦傷病院が舞台。そこではたらく日本人医師の島田航一郎は、「オッケー、ダイジョブ」が口癖です。そこへ、少年兵・ンドゥグが担ぎ込まれます。心身ともに傷ついた少年は、一生懸命現地の人々の命を救おうとする航一郎の姿に心を掴まれ、二人は特別な絆で結ばれて行きます。そして、成長したンドゥグは、東日本大震災の被災地・石巻に立ちます。・心のバトン、命のバトンが次々に継承されていく様子に、涙を流さずにはいられません。2015年に、大沢たかお主演で映画化されています。

『笑って、泣いて、考えて。永六輔の尽きない話』

笑って泣いて考えて
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ベストセラー『大往生』を始め、テレビやラジオ、作詞などで多くの功績を残し、2016年に惜しまれつつ世を去った永六輔と、さだまさしの対話集。晩年の永六輔が、時間を決めずに、「話疲れるまで」という条件で続けた、という対話には、仕事の秘密やヒットの舞台裏、有名事件の真相などの、ここでしか読めないエピソードが盛りだくさん。「人生のお手本」として、永六輔の背中を追い続けているというさだまさしが、その偉業の数々の裏話を引き出します。時代を超えて語り継いでいきたくなるような逸話が、これでもかというほど登場し、幅広く活躍した永六輔の偉大さが垣間見えて、凄い、の一言。もっともっと話を聞きたくなり、永六輔の人となりやその魅力が手にとるようにわかる一冊です。さだまさしの心に生き続ける、永六輔という人を、身近に感じることができます。

おわりに

映像化されているものが多数あるさだまさし作品。ミュージシャンとしてだけでなく、小説家としても、多数の名作を生んでいることには、改めて驚かされます。その作品は、エンターテインメント性よりも、静かながら温かい、優しさに溢れた感動作が多いのが特徴です。作家としてのさだまさし、に、今一度注目してみてはいかがですか?

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