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【悩みの多い人生だから】兼好法師と蛭子能収から、解決法を学ぼう。

歳を重ねるごとに、悩みは増えていくもの。そんなときは、『徒然草』と蛭子能収氏の悩み相談本から、解決のヒントを探りましょう。ハッとさせられる気づきがあるかもしれません!

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生きている以上、どうしても悩みは尽きないもの。それも、年齢を重ねるごとに仕事や家庭、老後のことと悩みはますます増えていきます。

そんなときこそ、先人の知恵を借りてみるのもひとつの手。たとえば鎌倉時代末期に兼好法師が綴った『徒然草』には、迷いを解決に導くヒントが詰まっています。

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「つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ」

【現代語訳】
なんとなく暇だったので、一日中硯に向かって心に浮かんでは消えていくようなとりとめもないことをだらだらと書きつけていると、意外と熱中して変な気持ちになる。

 
『徒然草』は、兼好法師がなんとなく書き綴った、Twitterのようなもの。「人生ってこんなものじゃない?」、「こんなことってテンション下がるよね」といったゆるい文章ではありますが、押し付けがましくないためにふっと心に染み入ることでしょう。

漫画家・タレントとして活躍する蛭子能収氏の著書『笑われる勇気』にも、悩みを解決するヒントがゆるい言葉で綴られています。

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オレは、小さいときから、人から笑われることが嫌いではありませんでした。それは「笑われた」という感覚ではなく「笑ってくれた」と思っているからです。熱湯風呂に入れられようが、クイズ番組で恥をかこうが、「笑ってくれた」と思えば、なんだか嬉しくなるんですよね。

『笑われる勇気』-まえがきより

多くの人にとって恥ずかしい「笑われること」も、「笑ってくれた」と思うことで気持ちが楽になる……ある種の開き直りからハッと気付かされることも多い1冊です。

今回はそんな『徒然草』と『笑われる勇気』をもとに、悩める現代人を救う言葉を紹介します。

(合わせて読みたい:【人生相談本】村上春樹、町田康、遠藤周作…あの作家に“お悩み相談”してみよう!

 

Q1:飽きっぽい性格で、何事も三日坊主になってしまう……。

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ダイエット、家計簿、ブログの更新……誰しも、今まで三日坊主となってしまった物事に心当たりがあるはず。そんなお悩みに対する回答を見てみましょう。

或人、法然上人に、「念仏の時、ねぶりにをかされてぎょうを怠り侍る事、いかがして、この障りをやめ侍らん」と申しければ、「目のさめたらんほど、念仏し給へ」と答へられたりける、いととうとかりけり。又、「往生は、一定と思へば一定、不定ふじょうと思へば不定なり」と言はれけり。これも尊し。又、「疑ひながらも念仏すれば、往生す」とも言はれけり。これも又尊し。

『徒然草』第三十九段より

【現代語訳】
ある人が法然上人に向かってこう聞いた。「念仏を唱えていると、どうしても眠くなって怠けてしまいます。どうしたらいいのでしょうか。」と。

それを聞いた法然上人は「それならば、目が覚めているときに念仏を唱えなさい」と仰った。これは非常に尊い。また、「極楽往生できるかどうかは、確実だと思えば確実。不確実だと思えば不確実」だとも仰った。これも尊い。さらに「疑いながらも念仏を唱えれば、往生できる」とも仰った。これもまた尊いお言葉である。

死後、極楽へ行くために念仏が欠かせなかった当時。それでも眠気から続かないことを嘆く人に対し、「やる気があるときにやること、そして疑いながらもとにかく続けることが大事だ」という法然の言葉を借りて述べた兼好法師。義務感を持たせずに、続けることの意味を思い出させてくれています。

では、現代の言葉では同じ悩みに対し、どう答えているのでしょうか。

家計簿やダイエットなんてつまらないもの。長続きできなくてもいいですよ。おもしろくないから飽きているだけで、楽しいことだったら、きっと長く続けられますよ。

『笑われる勇気』より

長続きしないのは、楽しいことではないから続けなくていい……確かに、家計簿もダイエットも、人によってはつまらなく、辛いだけのものかもしれません。それを「別に続けなくてもいい」ときっぱり言われると、「続けられないのは別に悪いことではないのか」とどこかほっとするのではないでしょうか。

 

Q2:コミュニケーション能力に自信が無い。

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当然ながら、年齢を重ねれば重ねるほど、出会った人は多くなります。街中で偶然、久しぶりに会った人に対し、一方的に自分の話をしていたら相手が引いていた……なんて経験をした人もいることでしょう。

そんなシチュエーションについて、兼好法師はこう述べています。

久しくへだたりてひたる人の、我が方にありつる事、数々に残りなく語り続くるこそ、あいなけれ。隔てなく馴れぬる人も、程経て見るは、づかしからぬかは。つぎざまの人は、あからさまに立ちでても、今日けふありつる事とて、いきぎあへず語り興ずるぞかし。

『徒然草』第五十六段より

【現代語訳】
久しぶりに会う人が有無を言わさずに自分の近況報告だけを矢継ぎ早に話し出すのは、どうしてもいただけない。それがどんなに遠慮のいらない関係だったとしても、やはり「親しき仲にも礼儀あり」だ。そういう人に限って、ちょっと外出しただけであっても、息もつかずに嬉々として今日の出来事を語り始めるものだ。

「何か話さなければ」なんて焦りから自分の近況を延々と話してしまうのは、ついついやりがちな失敗。振る舞いに困った結果、一方的に話すことで沈黙をなんとかしようとするのはある意味で逃げなのかもしれません。そんな姿勢を兼好法師は「親しき仲にも礼儀あり」という言葉をもとに否定しています。

では、自分ではなく我が子にコミュニケーション能力が無かったとしたら? 「息子にコミュニケーション能力が無く、このままでは将来が不安」という相談に対し、蛭子氏はこう返します。

放っておけばいいんです。本人がなんとかしますよ。そもそもオレにコミュニケーション能力について聞きますかね。違う人に相談した方がいいですよ。

『笑われる勇気』より


「自分に相談するのが間違っている」
と、マイペースな返事をしながらも、いつまでも子離れができない相談者に「本人がなんとかします」とアドバイスをする蛭子氏。突き放しているように見えながらも、実は相談者のことを思った一言ですね。

 

Q3:過去の恋愛から一歩が踏み出せない。

過去の恋愛で忘れられない相手がいたり、納得できないまま別れてしまった経験があると、気持ちを切り替えられないかもしれません。それまでの想いに折り合いをつけ、新たな恋愛に向かって行動できる人がいる一方、そんな過去の思い出にとらわれている人には、以下の言葉を送ります。

花はさかりに、月はくまなきをのみ見るものかは。雨に向ひて月を恋ひ、たれこめて春の行方知らぬも、なほあはれに情けふかし。吹きぬべきほどの梢、散りしをれたる庭などこそ見所多けれ。(中略)

よろづの事も、始め終りこそをかしけれ。男女おとこおんななさけも、ひとへに逢ひ見るをばいふものかは。逢はでやみにし憂さを思ひ、あだなる契りをかこち、長き夜をひとりあかし、遠き雲居を思ひやり、浅茅あさぢが宿に昔をしのぶこそ、色好むとは言はめ。

『徒然草』第百三十七段より

【現代語訳】
桜の花は満開のときだけ、月は一点の曇りもないときだけを見るべきであろうか、いやそんなことはない。雨が降れば月を想像し、部屋にいながら春が暮れていくのを知らずに過ごす。それもまた、一層趣深いものだ。(中略)

どんなことも、始めと終わりこそが趣深い。男女の恋も、上手くいくことだけがいいわけではない。上手くいかない辛さを嘆いたり、終わってしまった恋を寂しく思ったりするのもしみじみとしてていいものだ。

そんな過去の恋愛を忘れられない人に対し、兼好法師は「終わってしまった恋を振り返るのもいいことだ」と否定することはしていません。桜や月を引き合いに出しながら、終わってしまった過去の恋愛を思い出すのはしみじみとしてていいものだと説いています。「早く切り替えて、新しい恋に進みましょう!」と忘れさせるような言葉を投げかける人も多い一方、兼好法師はそんな趣深さをもとに、優しい視点を持っていることがわかりますね。

同じく過去の恋愛を忘れられない相談者からの「元カレと同窓会で再会する。相手は家庭を持っているが、自分は彼を忘れられずに独身。恋に発展するかも……」という相談について、蛭子氏はこう述べます。

あなたが同窓会に行くか行かないかなんてどうでもいい話。元カレの家庭を壊すかもしれないけど、どうでもいいこと。過去のことは輝いて見えるもの。とにかく冷静になったほうがいいですよ。

『笑われる勇気』より

過去の恋愛がきっかけでトラブルに発展する可能性がある相談者に、「冷静になった方がいい」と釘を刺しています。両者の言葉を踏まえると、「過去の恋愛を振り返ってしみじみすることはあっても、相手に迷惑をかけるようなことは避けろ」ということなのかもしれません。

 

Q4:我が子が夢を追う姿に戸惑いを感じている。

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「大きくなったらこうなりたい」、「いずれはこんな仕事をしたい」と、幼い頃からさまざまなことを夢見た人もいるでしょう。しかし、我が子が「ミュージシャンになって武道館の客席をいっぱいにしたい」、「YouTuberになって億万長者を目指したい」といった、途方もない夢を口にしていたとしたら、思わず「それはやめなさい」と止めてしまうのではないでしょうか。

夢を叶えられるのは一握り。そんな厳しい世の中で夢を叶えるための方法を探ってみましょう。

大事を思ひたたん人は、去りがたく、心にかからん事の本意(ほいを遂げずして、さながら捨つべきなり。「しばし、この事はてて」、「同じくはかの事沙汰しおきて」、「しかしかの事、人の嘲りやあらん、行末難なくしたためまうけて」、「年来としごろもあればこそあれ、その事待たん、ほどあらじ。もの騒がしからぬやうに」など思はんには、えさらぬ事のみいとどかさなりて、事の尽くるかぎりもなく、思ひ立つ日もあるべからず。おほやう、人を見るに、少し心あるきはは、皆このあらましにてぞ一期は過ぐめる。

近き火などに逃ぐる人は、「しばし」とや言ふ。身を助けんとすれば、恥をも 顧みず、たからをも捨ててのがれ去るぞかし。命は人を待つものかは。

『徒然草』第五十九段より

【現代語訳】
大事なことを成し遂げようとする人は、心懸かりなことをなんとかしてから取り掛かるのではなく、目的以外のことをいっそ全て捨ててしまうべきだ。

「もうしばらく待とう。これが終わってから」だとか、「まずこのことをちゃんとしておかないと、笑われてしまう」だとか、あれこれ考えているうちに、目的以外のことはどんどん増えていくし、尽きることはない。世間には、そんな「やりたいことはあるけど、結局何もできないまま一生を終えてしまう人」は多い。

火事が起きたとき、逃げる人は「しばらく待ってみよう」なんて思わない。とにかく助かりたいから、恥も財産も捨ててただただ逃げるにちがいない。命には限りがあるんだから、機会なんて待っちゃくれない。

兼好法師は「結局夢を叶えられない人は、あれこれ他の物事に気を取られているから」と断言しています。「とりあえず準備をしてから」、「協力してくれる人を探してから」、「タイミングを待ってから」と周りを固めるのではなく、「とにかくやってみる」という心持ちが夢を叶えるためには大切なのでしょう。

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『笑われる勇気』の前作、『蛭子能収のゆるゆる人生相談』において蛭子氏は、「勉強をせずに漫画家になる」と語る中学生の娘に「堅実に生きて欲しいし、このままではろくな大人にならない」と危惧する相談者に、次のように答えています。

これは絶対、娘さんの思いを尊重してあげるべきですよ。
漫画家になれるかはわからない。挫折することもあるかもしれない。
でも、その経験も、いつかは役に立つはずです。
なぜ、子どもが将来の夢を見ることを止めるんですかね。
夢を持つことは大事です。それに「将来○○になりたい」と思っていれば、簡単になれるとオレは思っているのです。
ただし、「どうしてもなりたい」と強く思わない人は絶対に無理。(中略)
それにしても、「このままではろくな大人にならない気がする」って……
あなたこそ、ろくな大人じゃないですよ。

『蛭子能収のゆるゆる人生相談』より

「どうしてもなる」という強い意志を持つことを前提に、夢の大切さを説く蛭子氏。蛭子氏もまた、会社員として働きながらも「漫画家になりたい」と強く願い、今がある人物です。自身の経験があるからこそ、将来の夢を持つ子どもを尊重してあげるべき、だと答えられるのでしょう。

限られた時間のなかで、なりふり構わず夢に向かって取り組む覚悟が我が子にあれば、親として背中を押してあげてもいいのかもしれません。

 

過去も現代も、背伸びしない言葉にヒントがある!

今回ご紹介した両者の言葉に共通しているのは、「悩める君をなんとかしてあげよう」という上からの目線が感じられないこと。「まあ、そんなこともあるよね」と認めたうえでの、肩肘張らないメッセージは自然と読者の心を和ませます。

そんな脱力系の言葉に、日々を生きるためのヒントはあるかしれません。あなたもぜひ、迷いが生まれたときは兼好法師や蛭子能収氏の言葉に触れてみてはいかがでしょうか。

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